38、マフナとカラオケデート(前半)
8時半、マフナが公園に来てくれた。
因みに俺は8時頃に公園で待機していた、楽しみすぎて早起きしてしまったからだ。
まあお陰で服装の準備とかしっかり出来たからむしろ幸運だった。
今の自分は下はデニムのズボン、上は白シャツに黒色のジャケット、そして大きめのボディバックだ…これでいいよな?普段着飾る事を意識したこと無いから分かんない、月凪に聞くことも恥ずかしくて聞けなかったし…。
「…こんにちは壁牙」
「こんにちはマフナ、来てくれて嬉しいよ」
マフナの格好は何時もはファンタジー感溢れる所々に葉っぱを模したふわふわしたワンピースのような服を着ていたが、今は現代的な赤色のロングスカートに上はカッターシャツのようなものだ。
「妖精の世界にも色んなファッションがあるんだな…似合っているぞ」
「そ、そうですか…それよりもどこ行くんですか?」
「カラオケに行くつもりだ、行ったことはあるか?」
「無いわ、魔法少女のサポーターをカラオケに誘う人なんてきっと貴方くらいよ?」
え?いや、俺以外にも居て良いはずだ…別に魔法少女は1人だけじゃない、チームで戦う魔法少女もいるし、そうなったらチームでカラオケに行くこともあるはずだ。
まあそういうのは後で考えよう、今はマフナを楽しませる事に集中しよう!
「ならその魔法少女のサポーターで最もカラオケを楽しむ権利を得られたんだ、存分に楽しもうぜ!所でマフナは現状隠蔽魔法で姿を隠しているのか?バックの中に隠れる必要とかあるか?」
「ええ、今の私は貴方か魔法少女に深く関わる者か悪の組織以外にしか見えないわ、だからバックに隠れる必要はないわ」
見える範囲が広いのか狭いのかイマイチわかんないな。
「分かった、それじゃあ移動は俺の肩に乗ってくれ、ずっと飛び続けるのも疲れるだろう?」
「……ええ、それなら肩を借りさせて貰うわ」
うん?なんか反応がちょっと遅かったが、マフナは肩に乗ってきた。
「それじゃあレッツゴー!」
「一応言っておくけど、私の声は他の人には聞こえないからあんまり大声で喋ると周りから変に見られるわよ」
「き、気を付ける…流石に不用意に変な噂が流れるのは防ぐよ」
声を抑えて自分は歩き出した。
カラオケがある所は少し遠い為、バスで移動する。
「本当に誰も気付かないんだな…」
「当たり前よ、誰にでも見られたら魔法の価値が暴落するわよ…」
バスで隣に人が座ったが、マフナに反応しない、そのままこちらが目的地に降りるまで誰もマフナに反応しなかった…妖精だけじゃなくて魔法少女のサポーターなんて殆ど見ないから、少しでもみたら人は反応するはずだ、子供の場合は特に反応するだろうが、バス内にいた子供は反応しなかった。
「…マフナてこうして出かけることてあんまりないのか?」
「無いわよ、基本的私達魔法少女をサポートする存在は基本的に娯楽とは無縁なのよ、まあ食事やのんびり眠るという娯楽はあるけど…」
「そうだ、マフナてご飯て何を食べているんだ?」
「私は魔力か甘い物を食べて生きているわ」
「魔力て、俺がハート型の石に込めた物か?」
「違うわ、ややこしいかもしれないけどポジティブエネルギーと魔力は別物よ」
「そうなのか…」
魔力は全く心当たりがないので準備は出来ないが、甘い物をなら準備出来そうだ。
ふふふ、妹の月凪が時折甘い物を食べたいとわがままになる事がある為、甘い物が売っている場所の知識はある、マフナを満足させることが出来るはずだ。
そう思っていると、バスが目的地に着いたので降りたのだが…。
これマフナの分払わずに降りちゃったけど良かったのかな……よくよく考えたらカラオケの料金も1人分でいいのか?
……カラオケはフードも注文とドリンクバーも付けよう…。
内心そう思いつつ、自分はカラオケに向かった。




