35、デートに誘うその前に
デートに誘うと決めたのは良いけどプランを立てないといけない、と言っても俺は今まで一度もデートしたことがない、月凪や知木とのお出かけはデート感なく、身内とのお出かけ感が強い。
「別に身内とのお出かけ感覚で…と言いたいけど、まだそこまで仲は良くないんだよね?」
「ああ…というか心読んでない?」
「長い付き合いだからね、でも妖精の感性がどんなものか分からないからアドバイスは出来ないわ…そもそも私の感性は独特だからあんまり参考にならないよ」
知木がこちらの考えを読みつつ力になれないと伝えてくる。
「まあ、デートプランは後々考えるとして…ひとまず家の近くまで帰るか…」
30分ランニングしたが、帰りもランニングで30分かかる距離だ、お金を使い電車やバスを使えば時間短縮、楽だろうがそれではトレーニングにはならないので却下だ、そもそも知木が折りたたみが出来ない籠付き自転車なので電車やバスは使えない。
「そうだね、帰りも走って帰るんでしょ?」
「ああ、疲れるだろうが頑張ってくれ」
「流石に自転車を軽く漕ぐだけだから息切れは起こさないよ、それよりファイト半身!」
知木はそう言うとチリンと自転車のベルを鳴らして自分の後ろにつく、足を止めたら容赦なく引かれるスタンスだ。
因みに俺が要望したスタンスだ、ガンガン追い込んハードなスタンスだ、このままランニングを初めて10分位走る。
人気のない河川敷を走っていると前方から悲鳴が聞こえる。
「そこの二人その人止めて!引ったくりよ!」
前を見ると全身黒いカッコをして、ヘルメットを被った人が乗った原付がこちらに向かって走ってくる!手には黒尽くめのカッコと不釣り合いな高そうなバックが握られている。
「どけ!轢き殺すぞ!」
「知木!」
「了解」
背後に居る知木に声をかけて退避させる。
ドンドン原付引ったくりとの距離が近付く、避けて逃げる気はない、これでも警察を志す身…それに悪の組織と戦うと比べたら、突撃してくるだけならそんなに怖くない!
「はあ!!」
原付の突撃を避けて蹴り上げを放つ、蹴りの狙いは盗品と思われるバックを持つ腕、蹴りは見事にバックを持つ手首に当たり、バックが宙を舞う。
「キャッチ!」
それをチャリから降りた知木がキャッチした。
「く!くそ!」
蹴られてふらついたが、体勢を立て直したひったくり犯は逃げようとする…短剣を投げればタイヤをパンクさせて転ばせて捕まえられると思うが…止めておこう、万が一投げるのをミスって人に刺したらやばいし、原付でコケて大怪我したら流石に責任が背負いきれない。
「ナンバーは写真撮ったから大丈夫、窃盗車…窃盗原付の場合もあるけど、その場合は無駄にはならないはず」
ひったくり犯から逃げられたが、少なくとも警察が追いかけるには十分な証拠を得た。
「はあ…はあ……ひ、ひったくりは?」
1人の女性が息も絶え絶えな状態で話しかけてくる、見た目50代の女性だ。
「逃したけど、バックは取り返しました」
「ああ、ありがとう!これはなくなった祖父が私に残した物なんです!本当にありがとうございます!」
知木からバックを受け取り、泣いて感謝する女性。
「あーすみませんがこの後警察に行って、ひったくり犯に関して情報提供したいんですが、協力お願いしていいですか?」
「え?でも被害は貴方達が防いだから捕まえられないんじゃ…?」
「未遂罪というのがあるので大丈夫です、もしかしたらあの乗っていた原付も窃盗車である可能性があるので協力お願いしても良いですか?」
「ええ、勿論未遂とはいえまたしてくる可能性があるなら防ぎたいわ」
事情を説明したら納得してくれた。
「知木、悪いけど交番によっていいかな?」
「あ、棚水さんの所に行くのね、了解」
こうして、帰る前に自分達は知り合いの警官がいる交番に向かうのだった。




