2、悪の組織登場
「な、なんだ!?」
「お兄ちゃん!」
狼狽していると、月凪が抱きついてくる、それでハッとして、妹と知木を守る構えを取る。
「今のは…まさか!?」
知木が驚くと同時に自分達の目の前に何かが落ちてきた!
「ガハハ!本当に平和ボケしている所だな!」
その落ちてきたものは声を出した、それと共に着地時に生じた土煙が消えて姿が見えるようになってきた。
落ちてきた存在は全身が毛に覆われて、そうだ、小説やゲームで見たことあるコボルトに近い姿をしていた…だがコボルトといっても巨大で、その手の大きさは人を鷲掴み出来そうだ。
「俺はネガゴッドの破壊将軍!今日からここは俺の縄張りだ!」
破壊将軍と名乗るコボルトが咆哮をあげる。
「ね、ネガゴッド!?」
「悪の組織よ!逃げるよ半身、月凪!」
知木が逃げるように提案してくるが…。
「こい、トテモネガティブダー!」
破壊将軍が近くで売られているテレビに向けてなにか黒い塊を投げつける、すると黒い塊が直撃しましたテレビは黒いオーラを纏い、大きくなり、電源コードみたいな手足が生えて、自分達の前に現れた!
「トテモネガティブダー!」
「く、知木!俺が時間を稼ぐから月凪を逃がしてくれ!」
「きゃ!?」
心を鬼にして、妹の月凪を知木に向かって突き飛ばす!
「バカ!死ぬわよ!?」
「だとしても2人を死なせるわけには行かない!」
知木の声を背にテレビの化け物に相対する。
「トテモネガティブダー!」
テレビ型の化け物が電源コードを鞭みたいに振るい攻撃してくる!
「うおお!」
相手の懐に飛び込み回避する、自分がさっきまで立っていた地面に鞭が激突して地面に亀裂を生み出す!
「逃げるよ月凪!早く逃げないと半身がやばい!」
「でも、でも!」
「いいから!逃げるよ!」
月凪を引っ張りながらこの場から離れる知木、幸いな事に破壊将軍は2人を追いかけることなくこちらを見つめている。
「ほう、ただの人ながら人を庇うか…」
「はあ、はあ…」
たった1度攻撃を回避しただけで息がきれる。
恐怖で体がこわばる、本調子が出ない。
「だが余りにも無謀だ」
「トテモネガティブダー!」
再びテレビの化け物が電源コードを振り回し、攻撃してくる!
「だああああ!」
再び全力の跳躍で回避するが…回避した直後にがしりと破壊将軍の手に捕まってしまう!
「ぐう!」
「あはは!このまま握りつぶしてやる!」
破壊将軍が握りしめて、こちらを潰してきてくる!
メキメキ……バキ!
「がああああ!?」
全身の骨が悲鳴をあげるどころか骨が折れる音が聞こえる、痛みが全身を貫き、ただ悲鳴をあげることしかできない。
次の瞬間、体が宙を舞ったとおもったら壁のようなものに叩きつけられる!
「がはは!呆気ないものだな!」
「………」
体が動かない、視界がぼやける…。
「さて、さっきの2人を追いかけていたぶるか」
「ま……まて」
「ほう、まだ生きているのか…」
なんとか声を出して破壊将軍を引き止める。
妹と親友は逃げ切れたのだろうか?いや確実に逃がせるように少しでも時間を稼がないと…俺がやらなきゃ…。
痛みに苦しんでる場合や死に怯えてるどころじゃない…!
「不思議な物だな、死にかけなのにネガティブエネルギーを一滴も出さないとは…まあいい、せめての慈悲だトドメをさしてやる」
ドシンドシンと破壊将軍が近づいてくる、ここまでか…ああ、全身が痛い、死ぬならせめてお母さんのオムライス食べたかったな…。
「壁牙お兄ちゃん!!」
月凪の声が聞こえる……ばか……なんで戻ってきた…。
「ほう、戻ってきたか…馬鹿だな、そこの男の努力を無駄にしたな」
「む、無駄じゃない!知木お義姉さんが逃げる時間を稼いでくれました!」
破壊将軍の言葉に言い返す月凪…嬉しいけど………逃げて………くれ。
もう誰でも良いから月凪を助けてくれ………体が動かない…。
手放しそうな意識で天に祈っていると、新たな声が聞こえ始めた。
「見つけた!純粋な力を持つ子!」