12、タワーシールドと妹
「壁牙お兄ちゃん、コンビニ強盗の時に出したあの盾なんだったの?」
「あれは知木から貰った盾だよ、なんかあった時に盾で身を守ってとの事だ」
帰宅後、自室にて月凪から盾に関して問い詰められる。
…短剣出さなくて良かった、そもそも警察の手前で短剣なんて出した日には真面目に健人さんに数時間説教された挙句、没収されていただろから出す訳にはいかないけどね。
「ねぇ、月凪…君のお兄さんは魔法少女に気付いている訳じゃないよね?」
月凪の問い詰めに答えていると、マフナがそんな事を口にする。
「…ごめん壁牙お兄ちゃん、ちょっとトイレ!」
「あ…ああ…」
月凪を見送り、月凪が自室から出ていった…悪いと思いつつ、聞き耳を立てるともろに声が聞こえる。
「まったく、そんなわけないじゃない、隠蔽魔法使っているんでしょう?今のこの声も私が魔法少女と知っていないと聞こえない隠蔽魔法で周りに聞こえてないんでしょ?」
「そうだけど…何度かあのお兄さんと目が合う気がするの…」
「本当に見えていたら絶対言われると思うよ、こんなに長時間肩に妖精乗っけていて、突っ込まない方がおかしいよ」
「…それもそうね」
「一応トイレに行くと言っちゃったからトイレにも行くね」
隠蔽魔法の条件から外れているのか、もろに聞こえている…。
ドア1枚しかないからよく聞こえるな…。
声が聞こえなくなって、数分待っていると、月凪が戻ってきた、相変わらず肩にマフナが乗っている。
「おまたせ壁牙お兄ちゃん…でなんの話だっただけ?」
「忘れたのか…盾の事聞かれて答えた所だな、盾を出したほうがいいか?」
「ちょっと見てみたい」
「えーと、盾よ!」
腕輪を盾にする…思うだけで腕輪を盾に出来る機能は魔法少女と同レベルの技術というか魔法だな…。
「……ねえ、月凪…この盾魔法少女の力使われてるわ…これを作った人は何者なの?」
「相変わらず知木お義姉さんは何でもありだね…知木お義姉さんが魔法少女…というわけないよね?」
「まあ、そうだな、体力ないのと結構騙されやすい以外欠点無いんじゃないかな?魔法少女ではないと思うぞ…知木がそんな隠し事俺にするとは思わないし…」
コンビニ強盗相手の時は盾をよく見る暇はなかったが、盾をじっくり見てみると、徹底的に無駄なデザインを省いたシンプルな白いタワーシールドだ、触れてみると結構軽く、持ち運ぶのに疲れはしないと思う。
知木がそんな隠し事しないと言ったら月凪がちょっと苦しそうにう、となった…あー考えなく言ったけど、月凪は現在進行系で魔法少女と言う事を隠しているつもりだもんな、実際の所はモロ見えにモロバレなんだが…。
「でも壁牙お兄ちゃん、盾があるからってもう囮なんてしたら駄目だからね!……言った処で聞いてくれるとは思わないけどさ!」
「あー…」
昨日は悪の組織の囮、今日はコンビニ強盗相手に囮をやったからもう囮なんてしないと言っても説得力なんてないだろう。
それにまた悪の組織が出て来たら首突っ込む気があるしな。
「さて、そろそろ勉強しないとな…」
「あ…もうお兄ちゃん…」
気まずくなったのでタワーシールドをしまい、露骨に話題を終わらせたら月凪にあきれられた、現状これ以上話ししたら兄としての立ち位置が悪くなるばかりだからな…。
しかし現状でこれなら、もしも次悪の組織が現れて短剣持って戦ったら、俺は妹からどんなこと言われるのやら…。
ちょっと不安を感じながら今日という日は過ぎていった。




