第5章:王都からの使者
穏やかな日々が続いていたある朝、村に一人の騎士が現れた。見慣れない服装と、立派な馬に乗ったその姿は、明らかにこの村の者ではない。村人たちは警戒しながらも、騎士を村の中心へと案内した。
騎士は、村長とアレックスの前に立ち、深く頭を下げた。
「私は、王都から参りました騎士、ガブリエルと申します。アレックス様、あなた様にお願いがあり、はるばる参上いたしました」
アレックスは、突然のことに驚きを隠せない。王都からの使者?一体何の用だろう?
ガブリエルは、真剣な表情で話し始めた。
「実は、王国は今、未曾有の危機に瀕しております。東の隣国との戦争が勃発し、多くの兵士が傷つき、病に倒れているのです。そんな中、あなた様のポムポムポーションの噂を聞きつけ、藁にもすがる思いで参りました」
ガブリエルは、深く頭を下げ、懇願するように言った。
「どうか、ポムポムポーションを王都に持ってきていただけないでしょうか。あなた様のポーションが、多くの兵士の命を救うと信じております」
アレックスは、ガブリエルの言葉に心を動かされた。ポムポムポーションが、多くの人々を救えるかもしれない。しかし、王都に戻ることは、辛い過去と向き合うことになる。
アレックスは、ポムを見つめた。ポムは、アレックスの心を見透かすかのように、優しく鳴き声を上げた。
「ポム、君はどう思う?一緒に王都へ行ってみるか?」
ポムは、尻尾を大きく振り、アレックスの足元にすり寄った。その姿を見て、アレックスは決心した。
「ガブリエルさん、わかりました。ポムと一緒に王都へ行きましょう。ポムポムポーションで、一人でも多くの兵士を救いたい」
アレックスの言葉に、ガブリエルは安堵の表情を浮かべ、深く頭を下げた。
「ありがとうございます、アレックス様。あなた様の慈悲に、心から感謝いたします」
こうして、アレックスは、ポムと共に王都へ向かうことになった。辛い過去が待ち受けているかもしれないが、それでも、ポムポムポーションで人々を救いたいという思いが、アレックスを突き動かした。