第1章:追放、そして辺境の地へ
眩いばかりの陽光が降り注ぐ王宮の中庭で、アレックスは一人、呆然と立ち尽くしていた。足元には、使い慣れた錬金術道具が乱雑に散らばっている。ついさっきまで、王国の錬金術師長として、この場所で新たなポーションの調合に励んでいたはずだった。
「まさか、私が…追放…?」
アレックスの脳裏には、王の冷酷な言葉がリフレインする。
「貴様の錬金術は、もはや王国には不要だ。直ちに王都を去れ」
身に覚えのない罪で追放されたアレックスは、王宮を後にし、愛馬と共に王都を離れた。行くあてもなく、ただひたすらに馬を走らせる。どこへ向かえばいいのか、これからどうやって生きていけばいいのか。絶望感が、アレックスの心を覆い尽くす。
数日後、アレックスはとある辺境の村に辿り着いた。疲れ果てた愛馬を休ませるため、村はずれにある小さな宿屋に立ち寄る。宿屋の主人に事情を話すと、哀れに思ったのか、空き家を紹介してくれた。
「村はずれの小さな家だが、よかったら使ってくれ。家賃は安くしておくよ」
アレックスは、宿屋の主人の厚意に甘えることにした。紹介された家は、古びてはいるが、掃除が行き届いており、住むには十分だった。裏庭には、小さな畑と井戸があり、自給自足も可能だ。
「ここなら、誰にも邪魔されずに錬金術を続けられるかもしれない」
アレックスは、荷物を運び込み、新たな生活の準備を始めた。追放された悲しみは癒えないが、それでも前を向いて生きていかなければならない。
「きっと、この村で新しい人生を築けるはずだ」
アレックスは、希望を胸に、辺境の地での生活をスタートさせるのだった。