79 第一王子の側近は遅れて登場した
「き、きゃああっ」
血を浴びて顔を真っ赤に染めた女性がさけんでいた
第一王子の側近である私が街にたどり着いた時にはもう事態が終盤に突入していたようだった
・・・遅かったか、と後悔した
かなり急いだはずだった
早馬に次ぐ早馬で昼夜問わずに掛けぬけた
それもこれも一重に勇者からの貴族や市民への被害を押さえたいがための一念だった
なにせ今までの勇者の所業は
片腕がなくなる
片目が見えなくなる
体中が傷だらけ
あたり一面血の海
という懺状なのだ
それも貴族であったも全然考慮されない
それどころか
「これが貴種?冗談だろう?」
呆れた声でそう言いながら喜々として床に倒れているところにさらに踏みつけたり横腹を蹴りつけるしまつ
ただでさえ立場が弱い第一王子の評判が悪くなる、どころの騒ぎではない
まるで狂犬
いや歩く殺りく兵器だと言って良かった
いつどこで何が原因で爆発するか判らない存在に
「きちんと首輪をつけておけ!(意訳)」
という苦情が第一王子の元に殺到していた
・・・手を出した加害者のくせに、勇者に報復されると被害者ヅラする第二王子の派閥の貴族達には反吐がでるぜ、というのが勇者の言い分であるが、こちらの方が正しく思える
まあそんな懺状を少しでも無くそうと第一王子が側近である私を勇者が問題を起こしている地に派遣した
できるかぎり急いだはずだった
だがそれでも間に合わなかった
第二王子の派閥の貴族のだれかが差し向けた暗殺者は首から血を盛大にまき散らしていた
・・・暗殺者が白昼堂々市場の真ん中で人質をとっているんじゃない!、とツッコミたい気持ちで一杯だ
相変わらず勇者様の行動は斜め上を行っていた
一体どうすればここまで被害が酷くなるのだ!、と言いたい
・・・いまだかつて誰も勇者の行動を止めれたことがない、というのが慰めだな
という訳で届いた勇者からの手紙を受けて勇者様を取り巻く環境があまりにも危ないため第一王子の側近でとある私が派遣された
~第一王子と第二王子の間の抗争というか、。第二王子派閥からの明確な嫌がらせ~
吹き出て周りに飛び散る暗殺者の血
吹き出した血を浴びながら「うわわわわっ」とパニックになってめちゃくちゃに動いている男性
気を失って崩れ落ちる人質の娘
騒いでいる市場の屋台店主とその従業員
一体だれがこの惨状を修めるのだろうなと思った
・・・あ、後始末は領主が土に埋もれて生死不明だから第一王子の側近なのか?




