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76 第一王子の憂鬱
「あの勇者!」
勇者からの手紙を読んで第一王子は執務室で怒鳴り声をあげた
よりにもよって第二王子の派閥の貴族を潰したのだ
文字通り家ごと
召喚された者はとにかく性格が悪かった
悪意を向けられたら倍にしてやり返さないと気が済まないという厄介な性格をしていた
なんでも元居た世界では皆そうだと言う
「やられたらやり返す、倍返しだ!」
が自国での常識というか掛け声だそうだ
・・・異世界にはまともな人間がいないのか?と言いたい
そんな狂犬みたいな勇者に手を出した貴族が悪いのかどうかは別問題である
貴族の正義というのは派閥の大きさで決まるのだ
大多数の支持を受けてる第二王子の派閥が掲げる正義が善である
つまり第二王子の派閥の貴族ならば、人のペットを強奪しようが女を犯そうが許される
それが常識
・・・その辺を勇者にはよく言って聞かせたのだがどうやら無駄だったようだ
どうせ最後には最終決戦で血で血を洗う骨肉の争いが起こるんだからさっさと第二王子を潰そう
そう言っている勇者の顔と声がなぜだか聞こえるような気がした




