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31 暗殺をしていいのは、暗殺される覚悟のあるものだけだ(勇者目線)
<カチッ>
窓が開く音がしてスルりと影が部屋の中に入り込んできた
どうやら誰かが勇者の部屋に侵入してきたようだ
足音を出さずにベッドに忍び寄ってきた
そして短剣を取り出すとおもむろに寝ている勇者を掛け布団ごと刺そうとした
凄いね、一切の躊躇いがない
完全にプロの仕事だ
でも勇者も負けていないよ
獲物を前に舌なめずりは三流のやることだ
速攻で魔法を掛けた
急に身体が動かなくなって焦る暗殺者
もちろん声も出ない
焦る雰囲気が伝わってきた
もちろんどこかのラノベのように声をかけて魔法の解説なんてやってはやらない
知らないというのはそれだけで脅威だからな
「さあどうしてくれようか?」
そう暗殺者に声を掛ける
暗殺者は動けないからね
言葉責めして恐怖を煽るのはお約束だ
暗殺者の目を見ると怯えが見えた
暗殺のプロであっても得体のしれない勇者は脅威らしい
そりゃそうだ
貞子を相手にしているようなものだものな
恐怖は生まれて初めてくらい最大のものになっているだろう




