17 勇者様、出撃要請を却下する(第一王子目線)
「市民が可哀そうだとは思わないのか!」
第二王子の派閥の貴族が怒鳴っていると
「元気だね、何かいい事あったのかい?」
と勇者様が火に油を注ぐようなことを言っていた
誰か止めろよ
そう思った
いやこの場合止めるのは第一王子であるボクの役目か・・・
うちの国には魔の森というのがある
魔物が多数生息する森である
とても危険な場所で一度足を踏み入れたら生きて帰って来れないとまで言われている
そんな魔の森から魔物が溢れることがある
スタンピードである
その被害は甚大で近隣の第二王子の派閥の貴族の治める領地は壊滅的な被害を受けることになる
だからスタンピードの兆候ありとの報告を受けた官僚 ~もちろん第二王子の派閥の貴族~ はすっ飛んできて勇者に討伐を命じた
もっとも人の言う事を聞くのが嫌な ~特に第二王子の派閥の貴族の話がな!~ 勇者は即座に断った
それが冒頭のシーンである
・・・勇者は人の話をおちゃらけないと生きていけないのか?と言いたい
一瞬絶句した官僚ではあるが、すぐに気を取り直して再び言った
「無辜の民に被害が及ぶのですぞ!」
・・・どうやら今回は市民を盾に言う事を聞かせようとする方針のようだ
「うんうん、市民が可哀そうだね」
急に市民への被害に理解を示す勇者様
・・・胡散臭い
本気で思った
勇者様はひねくれている
右を向けと言われたら不利を承知で左を向くような性格をしている
「常日頃、貴族は偉いんだぞ、と威張りくさっているんだ
ここは一丁貴族は偉いんだぞという所を見せればいいんじゃないかな?」
正論を言って突き放した
・・・言っていることがちぐはぐすぎて聞いている第一王子の方が辛い
ちなみにまともでない人間とまともに話しても無駄だから支離滅裂でも口喧嘩で勝てばいい、だそうだ
後日、ドヤ顔で教えてくれた
勇者様は一度受けた仕打ちは絶対に忘れないそうだ
ざまあ、のためなら何でもする、と過去に言っていた
この場合、過去の毒殺暗殺謀殺ではなく、勝手にこの世界に召喚したことを言っている
ざまあ、のための報復方法は異世界ではかなり研究されているそうだ
なにせ一般市民が夜な夜な報復方法を考えて、説明し合い、優秀なものは本にして世の中に広めているんだとか
・・・異世界人の考えることは人としても理解を超えていると思う
御貴族様の見せ場をとるのはマズいよね~
笑顔で出撃要請を断っていた
・・・勇者様の方が加害者に見えるのは気のせいだろうか




