10 ご主人様である第一王子が暗殺しないと誓えと勇者の前で叫んでいる(勇者目線)
「暗殺なんてしないと誓え」
ご主人様である第一王子が両肩をがしっと掴んだ上に、目を覗き込みながら命令してきたので
「・・・元気だね、何かいい事あったのかい?」
と試しに一発ギャグを言ってみたのだがスルーされた
第一王子様は真面目な話をしたいらしい
どうやら昨日、第二王子の派閥の貴族の息子の息子を切り取りに夜中に屋敷に忍びこんだのがバレたようだった
まあ証拠は残していないから大丈夫なはずだ
なにせ異世界には警報装置も監視カメラも科学捜査もないんだよ
あるのは警備員による巡回と番犬くらい
・・・犯罪天国だね
まあ証拠がなくても状況証拠というか、やりそうな奴を上げていくと勇者が犯人になるらしい
いや上位5位に入ってるくらいかな?
まあ何度か疑われたし、第二王子の派閥の貴族が怒鳴り込んでもきた
でも「証拠を出せ」って言って突っぱねてやった
だって第一王子を毒殺しようとして抗議した時に言われたらしい
「証拠もないのに疑うな」
つまりは証拠を残さなければ何をやっても許されるルールって訳だ
・・・どこかの不敗の格闘家相手に暗器を使って殺し合いになったおバカな奴と同じくらいバカらしい
という訳で夜な夜な第二王子の派閥の貴族の息子を暗殺しに行っている訳だ
まあ実際には殺していないけど目が見えなくなったり腕が切り落とされているんだ
貴族としてというか人間の生活として死んでいると言って良い
ある意味暗殺かもしれない
とまあ趣味の暗殺を繰り返していたところ第一王子から暗殺を止めるよう迫ってきた
他人の派閥よりも自分の派閥の人間の心配をすべきであるとアドバイスしたら変な顔をされた
どうやら失敗したようだ
だが何が悪かったのかが判らん
困ったぞ?




