ある早春の日
離陸の準備が整いました
彼はどこにいるのでしょうか
私はここから旅立ちます
彼は遠くで見ています
爪先が未だ離れません
彼に未練があるのでしょうか
離れそうで離れません
彼は手を握ってくれるでしょうか
声に出さずに呼んでみます
彼が好きなのは若かりし頃の私
彼は私が怖いのです
消えそうな私が怖いのです
頭上で渦が巻いています
我楽多に混じって彼が溺れています
全て置いて行きましょう
全て忘れて行きましょう
木蓮が窓から覗いています
香りを纏うと軽くなりました
今日初めて空を翔びます
あちらに着いたらお知らせします