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天域の繭

続きだよ、不定期でこめんちゃい

朝陽が目に差し込み天否は目を覚ます、体を起こして床で寝て固まった体をほぐす。


「んっ~」


体をほぐしたらいつも通り洗面台に向かい顔を洗って歯を磨いてキッチンでご飯を作り始めた、作っている途中で白姫のことを思い出した。


(好き嫌いとか無いよね、まあ居候だし別に気にしなくていいかな。)


そして白姫の分も朝ごはんを作って、天否のベットで寝ている白姫を起こしに部屋に入ろうとしたが、女の子が寝ている部屋に入るのは流石に悪いと思い、扉にノックをした


「白姫、ご飯作った、起きて。」


しかし、白姫が部屋から出てくる気配は無かった、仕方なく、天否は部屋に入ることにした。


部屋に入り、ベッドに目を向けると、白姫が気持ち良さそうに眠っていた。


(しばらく、安心して眠っていなかったのかな、どうせ午前中は暇だし、寝させて上げよう。)


そして天否は部屋を後にした、しばらくして、うとうとしている白姫がリビングに入ってきて、少し遅い朝御飯を食べた



時刻は午後、天否達は対天使局に白姫のことを天否の恩師に相談するためにやってきた


対天使局は表向きには外交施設だが、従業員は全員天使殺しであり、従業員しか入ることのできないエリアなどは、銃や爆弾など、一般に見せれないような物が大量に置かれている。


「あれ? 視線を感じる、羽と天力は隠してるはずなんだけど…。」


「昨日も言ったけど、俺は普通に嫌われてる、こんなのはいつものこと、でも…。」


天否は横目で白姫のことを見て、再度「鶴のような美少女」だということを確認し、普段より視線を感じる理由を納得した


「なんか、天否も大変なんだね。」


「まあ、自分の意思で個人の天使殺しになったし。あまり気にしてないかな。仲良くしたい人とは仲良くやれてるし。」


「ふーん、それで今から会うのは、その仲良くしたい人の1人ってことかな?」


「そういうこと。」


今から会うのは、天否のことを養子に迎えて、いろいろな戦闘技術を教えてくれた恩師にして、対天使局の局長。神魔リンナ…相当ヤバい人である。


銃やナイフに囲まれた局長室のソファーに天否と白姫は腰かけて、リンナが来るのを待っていた。


「ねえ、リンナさんってどんな人なの?」


「そうだね、素手だけで軍人を数十人倒したり、いろいろなお偉いさんの弱みを握って、脅したり…そんな女性。」


今、天否が言ったことに嘘偽りはなく、リンナという人物は、躊躇なく、そういったことを実行し、実現させる、そんな自信と実力を持っている人物である…。


「なんか急に帰りたくなってきた…。」


すると、足音が聞こえ。だんだん近づいてきた


扉が開く…


すると赤髪の童女顔のロリ体型の女性が入ってきて、天否を一目見た瞬間に、天否に抱きついた。


「天否! 今まで大丈夫だった? 最近連絡してくれなくて心配してたんだよ、心配過ぎて、何人か部下に調べてもらったりしてたんだよ! 他にも、誰かに虐められたりしていない? 教えてくれたら、そいつの血が混じっている生物を絶滅させてあげるよ!」


「物騒な事は嫌いなの知ってるでしょ、あと、最近やけに視線を感じるのはリンナさんが原因だったんだ。」


天否とリンナのやり取りに白姫は呆気にとられ、目をぱちぱちと瞬たかせていた。


「あ…、えっ?」


「ごめん。やってることはヤバいマフィアなんだけど、中身はこの通り、俺のことを溺愛しているブラコンなんだ…。恥ずかしい。」


「あー、はぁ。」

すると、天否に抱きついていたリンナが、天否から離れずに白姫のことを見つめ始めた。


「ふぅーん、君…天使でしょ?」


「ふぇ?!」


白姫はバレたことに動揺して、ソファーから反射的に立ち上がってしまった。


「な、なんで…? 羽も隠したし、天力も封印しているはずなのに…。」


「そんなの勘だよ、勘、これでも世界で1番の天使殺しだからね。」


「あの…、ならなんで私を攻撃しないんですか? 普通、天使殺しなら私が天使って気づいた時点で攻撃をしますよね?」


「そんなの、私が普通じゃないだけだよ、天否から話しは聞いてなかったの?」


「…なるほど?」


あまり理解はしていないが、白姫はリンナという人間が放つ異彩な雰囲気に呑まれて、その理由に納得をしてしまった。


「用件はなんとなく察したけど、一応説明を頼もうかな。」

そう言いながら、リンナは2人に紅茶を淹れ始めた。そして紅茶を淹れてるリンナに今までのことを話した。


紅茶を2人の前に置いて、リンナは2人の反対側のソファーに腰かけた


白姫は淹れられた紅茶に何の警戒もせずに口にした、おそらく天否にも同じ紅茶を淹れていたため警戒をしなかったのだろうが、カップの方に毒が塗られていた場合は考えてはいないのだろう


もしくは単にリンナを信用しただけかもしれない。


「なるほどね、白姫、君が私達人類に味方するなら、我々対天使局は君には干渉しない、その代わりに監視はつけさせてもらうけどね。」


そう言って、リンナは天否の方を向いた、それに気がついた天否は少し驚いて、自分に指を指して、リンナはそれを見て頷いた。


「だけど、君が本当に人類に味方するかを見極めたい、だから君と天否の約束を利用させてもらうことにする、天否が君を受け入れたら監視役は天否に任せる、受け入れなかったのなら監視役は私が引き受けよう、何か問題はあるかな?」


「…いえ、問題は無いんですけど、こんなことを勝手に決めてもいいんですか? 一応他の人にも聞いてみた方が…」


「大丈夫、大丈夫、弱み握ってるし、ある程度の天使殺しは()()()()()の天使の力を使ってるから偽装は余裕だし、いざとなれば暗殺すればいいし、天否が彼女を作るチャンスだもの、姉として全力を出すのは当たり前でしょ?」


それを聞いて天否は呆れて、白姫は最後の部分をあまり理解していなかった。


「いや、私…誰かを好きになったことがなくて、恋愛がよく分からないですよね…」


「自覚無しか、まあいいか。とりあえず白姫に関してはこちらで上手くやっておくよ。それで、その時間を作るために2人には私の仕事の1つを手伝ってくれない?」


そして、天否と白姫はとある仕事を引き受ける事となった


----------------------------------------------------------------

天否と白姫はリンナの部下につれられて、山奥に放置された木造の学校にやってきた


2人に与えられた仕事は上位の天使が生み出した「天域の繭」を破壊すること


天使には自分が最も有利となる空間を作ることができるが、強力な効果な空間ほど時間がかかってしまう


「天域の繭」は天使の中でも最上位の天使が作る天域の初期段階である。放置をすればここら一帯がすべて天域に呑まれてしまう。そんなヤバい代物だ。


2人が車から降りると、白姫が地面を触って集中し始めた


天否は何をしているのかを分かっていないが、邪魔にならないように黙って見ていた。


「ここまで根が伸びちゃってる、最低でも森全体が天域になるレベルだね。」


「そんなことも分かるんだ、俺はぜんぜん無理。」


「んー、私が天使だからなのかな? 結構簡単なんだけど…。」


「それは、天否が力を封印しているからだよ。」


突然、後ろから声をかけられて、2人は振り向いた。


「ああ、ルジ、久しぶり。」


「なんか、リアクション薄いな、いつものことだけども。まあ、とりあえず久しぶり、元気だったか戦友よ。」


この人物は双月(ふたつき)ルジ

天否がまだ対天使局にいた頃にタックを組んでいた人物で、リンナの1番弟子。天否のことは今でも相棒と思っており、天否もそう思っている。


「ルジと一緒なら心強いよ、もし、最上位の天使が現れたら、俺だけじゃ、間違いなく死んでた。」


「私もいるんだけど?」


そう言って、白姫は天否の服の袖をちょんちょんと引っ張った


「君が白姫だね、ちゃんと君のことはリンナさんから聞いているよ。それで仕事の前に白姫の力を教えてくれないかな、知っていた方がお互いに戦いやすいだろうし。」


「それも…そうだね。一応私は後衛で弓を使ってサポートします、よっと!」


白姫はどこからか弓を生み出して、それを装備した。それから、数枚の羽が周囲に舞っていることに天否とルジは気がついた。


「この羽は私の力そのもので、羽を通してのさまざまなサポートをします、あっ、矢の心配はしなくていいですよ、この弓は羽を矢として放つ天器だから。」


すると、周囲の羽が消えていき、白姫の持っていた弓もどこかに消えていた。今見たのがいわゆる「天術」ってものだ。


「白姫のことは信用する、リンナさんが認めてるし。」


「別にこれから一緒に住む相手ぐらい、信用するのは当たり前だろ。」


「まだ一緒に住むって決まってな…」


「安心して、必ず天否に認めてもらうから。それで…暇な時に天否について、いろいろ聞きたいから、メール交換しない?」


そう言って、白姫は服のポケットからスマホを取り出して、ルジに手渡した。ルジはスマホを受けとると手早くアドレスを入力して、白姫に返した。


「天否のメアドが入ってなかったから、ついでに入れといたぞ。」


それを聞いたら、白姫は嬉しそうに目を輝かせて、天否は目で「このやろう」とルジに訴えた。すると早速天否のスマホに白姫からメールが送られてきた、内容は一言「メアドゲット」と書かれていた。


「別にメアドぐらいだったら、普通に教えるつもりだったからいい。だけど、あまり変なことを教えないでよ。」


「わかってるよ、というか、天否は変だから、やっぱり変なことを教えないのは無理かもしれない。」


「否定できないのが辛いよ…」


「天否って、そんなに変人なの?」


「んー、まあ、普通ではないな、本人が自覚できるぐらいには。まあ一緒に過ごせば自然と分かるよ。」


「2人ともそろそろ行くよ、話しはあの爆弾を除去してから。」


そう言って、天否は学校までのまったく整備されていない道を歩き始めて、白姫が天否を追いかけようとしたときにルジに止めれた。


「最後に…1つだけいいかな。頼み…みたいなものなんだけど…。」


「うん? なに?」


「…天否から離れないでやってくれ、あいつは俺やリンナさん以外には好かれてない…むしろ嫌われているから。貴重なんだよ、あいつの近くに居てやれる奴は…、だから必ずあいつの心を落としてくれ。」


そう言って、ルジは駆け足で天否を追いかけた

白姫は最後の部分は理解できなかったが、明確には恋愛的な意味というのは理解できてはいたが、なぜ自分なのかを理解できていなかった


しかし、天否と一緒に居たいと、再度強く思って、胸元で拳を深く握った。

----------------------------------------------------------------

学校の敷地内入ると、早速、数十匹の聖獣が校庭内にうじゃうじゃいて、3人はこっそりと校庭を回り、なんとか裏口から校内に潜入できた。


「入ったはいいけど、多分監視の天使は居る。この校舎は6部屋の1階建てだから、『核』を見つけるのは問題ないけど…」


「逆に敵も監視する範囲が狭くて、必ず見つかって戦闘になるから隠密は意味なし、戦闘になると校庭にいた聖獣たちもやってくる。あはは、久しぶりだな~、それで天否、作戦は?」


昔から天否は作戦を考えるのが常人を遥かに上回る程に得意である。もはや策に関しては人の域を越えていると言ってもいい


策の的確さはもちろん。作戦や策を思い付く早さ、情報を的確に見極める早さも人の域を越えている

そのためルジと共に動く時は、よく天否が作戦を考えてルジがそれを実行することが多かった


ルジはこれでも世界でも上位の天使殺しであるから、ある程度の無茶はさせても平気

それに天否とルジはお互いをとことん信用しあっているため、天否はルジを信用して躊躇なく危険な賭けを任せ。ルジは天否を信用してその賭けに乗る


2人は間違いなく、お互いを最高の仲間と思っているのである。


「策を考えるにも情報が足りない。白姫、敵がどこに居るかは分かる?」


すると、白姫は目を閉じて集中し始めた…


「…ん? 私とルジの天力以外に6種類の天力をそれぞれ別の部屋から感じる。うん、これは間違いなく天使だね、強さは下級が3人、中級が2人、上級が1人かな、天域の繭と同じ天力の天使はいないね。」


「ありがと、それだけ情報があれば十分、それじゃあ作戦だけど、上級の天使が1番厄介。それにここは未完成とはいえ天域。相手の土俵。だから俺は目的の「天域の繭」を破壊する防衛している天使と戦闘をすることになるだろうけど問題はないと思う。2人は他の天使達と聖獣を相手してくれ。」


「相変わらず、いつも通りの無茶だな、けど任せろ。俺は無茶のプロと言ってもいい程にお前の無茶をこなしていたからな、白姫もサポート頼むぞ。」


「それは任せて、天否も頑張ってね。」


「うん、それじゃあ…、作戦開始。」


天否がそう言った瞬間に、ルジが廊下に飛び出して一直線に走り抜いて、1番奥の教室に入った。それを見て白姫も急いでルジの事を追いかけた。そして天否はフードを被り、密かに戦闘が始まるのを待った。


ルジが部屋に入ると、そこには両腕が青い槍の人形の天使がいた


その天使はルジの事を見ると、驚くことなく「なるほど、もう来たのか。」と呟いた

そして、そう呟いた隙に、ルジはポケットから小さな剣を取り出し、天力を注入した。そしたら剣が大きくなり、一般的な剣の大きさに変化して、そのまま天使に斬りかかった。


「先手必勝!」


しかし、ルジの剣があたる直前に相手の天使の両槍で防がれたが、そのまま相手を校庭に吹き飛した。


「そっち任せた!」


白姫にそう言って、ルジも天使を追って校庭に向かった

それを聞いた時、白姫は4人の天使と対峙していた


全員クリスタル型の天使だが、そのうち1人の天使は白衣を着た人形のクリスタルだった。


「上級はルジに取られたけど、中級1人に下級3人ね、問題なく勝てるかな。」


そう言って、白姫は弓を取り出して構えた、白姫が弓を構えると両脇に2本の光の矢が生まれた。これは白姫の天術の1つで弓と連動して相手を攻撃するシンプルな天術である。


白姫が矢を放とうとした時、天使の1人が白姫に問い掛けてきた。


「なぜ、我々に牙を向けるのだ、同士よ。」


「…?」


その言葉に白姫は違和感を感じた

そして、その違和感はなんなのかを考えた。そして別に深く考えなくても余裕で分かった。


「私はあなた達の同士ではないよ。私はこの世界の味方、そしてあなた達の敵。だから…あなた達を殺すことに躊躇しないからね。」


次の瞬間に、問い掛けてきた天使の後ろに構えていた3人の天使に光の矢を放った、天使達は反応することができずノーガードで直撃し、その、たった一撃で3人の天使は粉々になった。


「復活させるならご自由に、多分天域内では無制限に下級の天使を復活させれるんでしょ、その天使の自我を犠牲にね。」


「何で分かったんだ。」


「天力の性質を見分けるのが得意なの、で、早く復活させなよ、どうせ心なんて痛まないんでしょ。」


「…余裕だな。」


すると、粉々になった天使の破片が集まり、下級の天使達の体が再生されていった。


「やっぱり、でも再生するなら倒し続ければいいだけだし。状況は変わらないと思うよ。これでも私は最上位の天使だからね。」


そして、白姫は再度、弓を構えた。




割と簡単な仕事だったと天否は考えていた

違和感を感じるほど今回の仕事は簡単だった、リンナさんどころかルジ1人だけでも余裕で完遂できる程度の依頼を、なぜわざわざ2人で遂行しようとしたのか…。


「お前は何か知ってる?」


そう言って、不意打ちで死なない程度のダメージを負わせて、動けなくなったところを特製のワイヤーで拘束した天使に問い掛けた。


「Gaaaaaaa!Guuuuuuuu!」


「自我なしね、まあ、仕方ない。」


そう言って天否はクリスタル型の天使の体に埋め込まれてる核の辺りを触った。


「そういえば、殺したら復活するんだっけ? ならいいや。」


そして天否は腕を下げた。そのまま教室を出てから振り返り、黒板に張り付いている巨大なクリスタルに手榴弾を投げて扉を閉めた


そして天否の背後から爆発音が聞こえた。


爆発音を聞いた瞬間に学校の敷地内がもとに戻っていることに気づき、白姫とルジは天否が「天域の繭」を破壊した事を理解した。


「戦いも終わりだね。さよなら」


白姫は躊躇なく4人の天使に矢を放ち、天使達は何もできずに膨大な白い光を纏った矢に瞬殺された。そして白姫はルジの援護に向かった。


校庭での戦いは、ややルジが不利だった。上級の天使に加えて大量の倒しても復活する聖獣を相手にするのは、ルジであってもキツい。しかし天域が破壊されたため、状況が変わり始めた。


「「天域の繭」は破壊されたっぽいな。なら反撃させてもらうぞ。」


「繭の加護が無くなったか…。できれば逃げたいが、逃がしてはくれなさそうだな。」


「あいにく、俺は天使殺しでね、職務を放棄するわけにはいかないんだよな、社会人として。」


すると、空から無数の光の矢が降り注ぎ、聖獣達を根こそぎ倒した


ルジは白姫が矢を放ったのは気づいていたものの、まさかここまでの火力とは知らず辺りを見渡した。


「うわー、これは凄いな。普通に最上位の天使と同じレベルなんだな。これは敵に回したくないな。」


そう言ってから、上級の天使の方に向き直して剣を突き付けた。


「こっちには、上級の天使よりも強い仲間が2人ついている。降参してくれれば楽に殺してあげるよ、どうかな?」


「魅力的な提案だけど、こっちには勝つ見込みは無いけど、逃げきる見込みがある作戦を思い付いたところでね。」


天使がルジと喋っている間に、天使の後ろに回り込んだ白姫が弓を構えた。

「なにかされる前に倒させてもらうよ。」


「残念、時間切れ。」

天使がそう言った瞬間に破壊されたはずの天域が再度、展開された。ルジと白姫はその光景に驚きを隠せなかった。


「なんで? 「天域の繭」は天否が破壊したはず?!」


「確かに、あの「天域の繭」は破壊されてしまったけど、別に繭が1つとは限らないよ。」


「…なら、すべての繭を破壊するだけだ。」


「言ったよね、「時間切れ」って。」


すると、天域の一部が歪み1人の少女が出てきた。髪は白よりのピンクでワンサイドアップ、そしてゴスロリ系の服を着ていた

「槍君おつかれ。あとは任せて帰っていいよ?」


「そうしたいけど、詰んでいて動けないの。助けてルミ。」


「まったく、槍君は仕方ないな~。ほいっと!」


少女の天使が指をふる振る。すると槍の天使の姿が消えて、少女の天使がもう一度指を振ったら、少女の天使の近くに槍の天使が現れた。


「これで帰れるね。あっ! 帰ったらおやつ用意しといて~」


「はいはい、それじゃ、天使殺しの方々さようなら。」

そして槍の天使は空間の歪みに入って、姿を消した。


「さてと、久しぶりだね白姫。こうして殺し合えるのを楽しみにしていたよ!」


「相変わらずのサイコパスだね、ルミ。」


「あはは! 私の自慢の個性だよ~。ほらほら、かかってきなよ! 早くしないと私の天域が完成しちゃうよ!」


それを聞いて、ルジが攻撃を仕掛けようとするが、白姫は手を前に出して止めた。


「彼女はルミ、70人居る最上位の天使の1人で空間を操れる力を持ってる。策なしで彼女に攻撃を当てるのは至難の技だよ。」


「けど、時間が無いのは確かだ。さっきよりも学校の原型がなくなってきている、天域が完成に近づいている証拠だ。」


「私が逃げ場所を片っ端から潰して上手く誘導する。だからそこを攻めて。」


そして、白姫は空に向かって光の矢を放って、ルジは剣に力を溜め始めた。


「手加減しない!」


「あはははは! それは楽しみだね!」


そして、無数の光の矢が降り注いだ

ルミは姿勢を一切変えず、空間跳躍を使って無数の矢を回避する


そんなルミに白姫はホーミングする光の矢を追加で放った


しかし、ルミは立ち止まり、その矢を空間の穴で吸収して、もう1つ上空に向むけた空間の穴を生み出し、2つの穴を繋いで空に打ち上げ、降り注ぐ光の矢を相殺した。


「隙あり!」


その行動で生まれた隙を突いて、ルジがルミに飛び掛かる。


「ざんね~ん」


ルジがルミの間合いに入った瞬間に、ルジの目の前に空間の穴を作り、白姫の後ろと空間を繋げ、ルジと白姫が激突した。


「すまん白姫…。」


「いいよ、いいよ。けど、やっぱり空間操作は厄介だね。近づいても意味がない。」


「ああ、だけど俺も白姫も本気を出してない。勝機が無いわけではない。だが問題は時間だな。あの力で守備に徹しられたら間に合わない。」


「でも、やるしかない…。なんか、ここまで計算されている気がするよ…。」


そして、2人は本気を出そうと力を溜め始めたが後ろから「まって」と声をかけられて振り向いた。


「天否?! お前、今まで何してたんだよ。」


「一度天域から出て、進行を送らせる結界を即席で作ってた。」


「なるほど~。教えろよ!!」


「すまん、めんどかった。」


「相変わらずお前らしいな…。そんで、どうする?」


「交渉する」


「は?」「え?」

その言葉に、ルジと白姫は言葉を失って静止した。そんな2人を放置して天否はルミに近づいて話しかけた。

「ということで、交渉がしたい。」


「私、あまり難しい話しはできないけど…まあ、話してみて!」


「不本意だけど、『最強の嫌われ者』である僕の、本来の力の一部を見せる。その代わり、ここの天域は諦めてくれない?」


「その話し乗った!!」

ルミは即決でその話しを承諾して、校庭に降り立ってきた。そのあとに靴のかかとで地面を「ちょん」と叩いた。


「繭の進行は止めたし、戦いが終わったらこの天域も破壊する。それでよきかな?」


「よき、それじゃあ…」


天否は振り向いてルジと白姫に「下がって」と言った。白姫はまだ現状が理解できていなかったが、ルジは天否とルミの話を理解し、白姫を連れ天否から少し離れた。


「あの、天否に任せて大丈夫なの?」


「ルミは倒せないが、少なくとも天域は破壊できる…、それでも、このやり方は俺も本意ではないけどな…」


「…? そういえばさっきも「天否は力を封印してる」って言ってたよね?」


「…まだ俺達が小さかった頃、天否は自分の力を暴走させて、味方もろとも天使を大量に殺したんだ。味方含めて、その時に天否が殺した奴の数は1000は越えるだろうな。その一件から天否はあまり力を使わずに道具を使うようになったんだよ。」


「だから、天否は今まで天術を使ってなかったんだ…、って、今その力を解放しようとしてるってこと?!」


「そういうことだ、天否も成長してるし、少ししか解放しないだろうから前みたいなことにはならないだろうけど、どちらかというと天否の精神の方が心配なんだよな…」


「精神…ああ、そうだね。トラウマになってるよね。」

誰でも、目の前で自分の意思関係なく大量に仲間を殺してしまったんだ、トラウマにならない方がおかしい。2人は心配の眼差しで天否の事を見つめた。


2人が離れたことを確認して、天否は腕を前に出した。そして天否の指の1つに青い光が纏わりついた。そして次第に光の形が変化して、最終的に指輪に変化した。


「1つの指輪だけで使えるのは下から9柱だけか、でも一柱だけで十分か。」


「凄い! 凄い凄い凄い! 少しの力だけでここまで興奮するなんて…、あはは、あはは、あはははは! いくよ!」

そしてルミは空間跳躍を使い、天否の目の前に現れたが、天否は後ろに飛んで回避した。

「あれ? 普通に避けるの?」


「あまり強い力は制御できなくて、でも君を満足させれるから安心して。」


「じゃ~、早く攻めてきてよ~」


「わかった…」


すると炎の渦がルミを包み込んだ、ルミは空間跳躍で避けよとしたが、炎も一緒に空間跳躍をした。


「鬱陶しいし少し熱い、それになんか地味。」


ルミがそんなことを言っている間に、天否が指を鳴らした、すると纏わりついていた炎が爆発した。


「満足かな?」


「どうせ、まだ1柱しか使ってないんでしょ? もう一柱ぐらいは見てみたいな~、的な?」


それを聞いて天否はため息を吐いた、そして指輪から一本の光の糸が伸びて、天否の中に入っていった。


「さてと、この力は錬金術…だったはず。」


そして天否は地面をおもいっきり踏みつけた、すると地面が鋭利な形に変化し、ルミは上空に飛び上がった。


「なんか思ってたより普通だね…でも今後に期待ってことで満足してあげる♪」


「10年ぶりに使った力だし。使ったのも一度だけだから仕方ない。リンナさんにでも頼んでまた訓練してもらおうかな。」


「そうしてね♪ 気長に育つのを待つとするよ、それじゃあ私はおやつの時間だから帰るね!」


そしてルミは天否に、まるで友達と別れる時みたいに可愛く手を降った。


「またね、ルミ」


そしてなぜか天否も手を振って、ルミはそれに少し驚きながら空間の歪みに入って帰ってった。


「ふぅ、疲れた…」


そして、ルジと白姫が急いで駆け寄ってきた。

「天否、大丈夫? なんともない?」


「うん、思ってたよりも平気みたい。白姫も怪我はない?」


「もちろん、私は強いから。」


「ルジも無事だね。」


「無事だぜ~」


「それじゃあ…帰るとするか。」


天否がそう言って歩き始めた時に、天否のお腹の音が鳴り響いた。

「お腹すいた…」


お腹を押さえて、天否はルジの方を向いた。ルジはくすくす笑ってから「それじゃあみんなでファミレスでもいくか!」と言って、みんなでファミレスに向かった。


----------------------------------------------------------------

ファミレスでそれぞれ食べたいものを食べて腹を満たし、天否とルジは久しぶりに合った相棒ということもあって、話が膨れて。白姫もルジから天否についていろいろ教えてもらったりして、気づけば日が暮れていた。

「それじゃあ、俺はリンナさんに報告してくるわ、お前らは?」


「買い物をして帰る、リンナさんによろしく伝えておいて。」


「了解、また近いうちに会えそうだな。」

そしてルジは天否の家とは反対方向に向かって、歩き始めた。少しだけ歩いたら、振り向いて「またな」と言って手を振った。それを見て天否と白姫もルジが見えなくなるまで手を振った。

「それじゃあ、行くよ。」


「うん、何買うの?」


「白姫用の布団。」


「…ああ!」

そして、2人も歩き始めた、そして歩き始めて少したった時に、天否はあることを思い出した。

「そういえば、白姫って食べ物の好き嫌いってある?」


「う~ん、ない…かな。この世界の料理は全部美味しいし、今日の天否の朝ごはん、美味しかったよ。」


「そう? なら、嬉しい。」


この後、天否と白姫は、近くのショッピングモールで白姫用の布団を買ってから帰って行った。

「いいね」してくれるんですか?! ありがとうございます! お優しい方なんですね!

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