遅れてきたウサギ
「大変だぁ! 大変だぁ! こりゃぁ、遅刻だぁ!」
叫びながら走る白ウサギ。
カラフルな模様の入ったシルクハットに、蝶ネクタイ。チェック模様のベストに、真っ赤なジャケット。青いズボンに、リボンのついた黄色い靴。
とにかく、派手な格好の白ウサギ。
手には、籠を携えて。
とっとこ、とっとこ、駆けていく。
籠には、色とりどりの卵がぎっしりと。
落とさぬように、割らないように、注意しつつも、あわてる白ウサギ。
さぁ大変だ!
卵を隠さにゃならないぞ!
さぁ大変だ!
良い子が気付いてしまう前に!
草の陰に卵をポン!
生垣の近くに卵をポン!
郵便受けの中にも卵をポン!
自転車の籠の中にも卵をポン!
ポン! ポン! ポポン! 卵をポン!
何とか、すべての卵を隠し、ひと安心。白ウサギは、空の籠を携えて、お家に帰って行きました。
今年の復活祭は4月4日。
1日遅れた、白ウサギ。
卵はいったい、どうなるか?
答えは誰にも分かりません。