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99話 ミラの商売について聞いてみたぞ、オイ

俺はミラを呼んで、商売についてどう考えているのか聞いてみる事にした。


「お呼びでしょうか?」


ミラは俺の前に来るとそう聞いてきた。


改めて見ると、やはりミラは相当な美しさだった。

確か20歳だっけか?

大人の魅力というか色気というか、そう言ったものが溢れていて、しかも知的な雰囲気まで漂わせている。


イメージ的には『名門大学のミスコン女王、しかも他薦され興味ないまま仕方なく出場したら圧倒的な勝利を収めてしまいました』って感じだ。


まあ俺の完全な独断と偏見だけどな。


「ミラは俺の元で商売をしたいって聞いてさ、どうして俺の元で?」


「それは・・・悪い男達に攫われて無理やり奴隷にされ、オークションにかけられる直前、もう絶望しか残されていなかった私の前にカガリ様は颯爽と現れ、いとも容易く憎い奴らに天罰をお与えになり、私達を奴隷から救い出して下さいました。奴隷としての生活など考えただけでおぞましく、もはや死んだも同然だと生きる事を諦めていたのです。そんな地獄から救い出し、生きる希望をお与え下さったカガリ様は、私にとって命の恩人であり英雄なのです。ですから何か恩返しがしたいと考えておりました。そしたらアール様が『カガリ様の下に残るという選択肢もある』とお教え下さいました。何でもカガリ様は『大ハーレム帝国』というものを目指されているとか。それをお聞きして『ぜひ私もカガリ様のお役に立ちたい!』そう思ったのです」


「・・・いや、ハーレムの話じゃ無くてだな・・・まあ熱意は伝わったけどさ・・・誤解のない様に言っておくと、俺は別にハーレムなんて目指しちゃいないよ。アールは本気みたいだけどさ。だから、恩返ししてくれるのは嬉しいけど、別に無理に自分を捧げる様な真似はしなくても良いんだよ」


俺がそう言うと、ミラはその知的な顔を更にキリッとさせてこう言った。


「私も誤解のないように言いますと、無理に自分を捧げようとしているのではありません。カガリ様の事をお慕いしているからこその選択ですわ・・・けれど、カガリ様がそのように仰るだろう事はアール様よりお聞きしていました。そこで、ただカガリ様の女になるだけでは無く、まずは私の得意分野である商売で貢献しようと考えたのです」


「そうなんだ・・・なあミラ、俺さ、結婚したんだけど知ってるかな?」


「はい、勿論。ですので妻の座までは望みません。ただ、ハーレム要員としてお側に置いて頂けるだけで結構です。当然、商売の方も頑張ります!」


・・・ダメだこりゃ、何を言っても無駄っぽい。


どうやらミラの決意は固い様だ。


この調子じゃ他の29人も似たり寄ったりだろうな・・・まあ、俺に同行する事はもう認めちゃってる訳だし、そこは諦めよう。


こうなったら、とにかく俺が彼女達に手を出さないよう心掛けるしか無い。


そうすれば彼女達も諦めて普通にメイドやら商売やらに専念するだろうしな。


・・・けど、どうせアールが俺に手を出させようとあの手この手でちょっかいかけて来るんだろうな?


果たして大丈夫なのか?俺!!


ヘタレで押しに弱い自分にイマイチ自信が持てないまま・・・


俺はミラの商売を認める事にした。


もうハーレム要員以外なら商売でも何でもやって良いから、とにかくそっちに専念して欲しい。


それが俺の本音だった。


ミラが具体的に何をやりたいかは、色々語っていたけど、よく分からなかった。

専門外だしな。


ただ、他のみんなを送り届ける先々で品物を仕入れ、そして別の街で売り捌く、いわゆる『交易』がしたいというのは理解できた。


ならばと俺は商会部門を立ち上げ、その責任者にミラを抜擢する事にした。


まあ一言で言うと『商売なんてよく分からんからミラに丸投げする』って事だ。


ミラ曰く、飛空挺にある様々な品物は全て目玉商品になるらしい。


そりゃそうだろう。

ここにあるのは全部、異世界由来の物だからな。


確かに、ラノベでそういった物を目玉商品として売り出して荒稼ぎする物語を読んだ事があった。


でも、ミラに任せるからには、そんなチート商品じゃ無くて自分の才覚で頑張って貰いたい。


だって、ここの商品を売るなんて、チート過ぎて俺でも稼げそうじゃん?


なのでミラには、ここにある物を商品にする事は原則禁止にした。

どうしても扱いたい商品がある場合は俺の許可を得てからという事にしたのだ。


まあ、俺の知らない所で勝手に売られても困るからな。


商会を運営するにあたって、せっかくだから俺も何か商品になりそうな物を考えてみた。


一つだけ思いついたのは、この世界の酷すぎる食生活の改善に関する商品だ。


虫料理自体を否定する気は無いが、いくらなんでも不味すぎる。


こっちの世界の人たちに地球の料理を食べさせてあげた時、みんなが口を揃えて言うのは、


『これが美味しいという感覚か!』


って感想だ。


つまり彼らは生まれてから美味しい物を一度も食べたことが無かったのだ。


・・・それでよく『美味しい』って言葉が存在したなオイ!


とにかく、いくらなんでも可哀想過ぎる。


なので、俺は『ザ・料理長3号』にリクエストして『魔法の粉』なるモノを調合して貰った。


これを虫料理にふりかけると、あら不思議!クソ不味い虫料理の不味さが少しだけ和らぐのだ。


超科学を駆使しても、多少マシな味にする程度しか出来ないなんて、この世界の虫ってどれだけ不味さを極めてるんだよ?


とはいえ多少マシになるだけでも、この世界の人々にとっては、大いなる一歩だと思う。


ミラも、俺の『魔法の粉』には興味をそそられたようで、


「ぜひ扱わせて下さいませ!」


と言ってくれた。


さて、これでミラの仕事も決まったな。


て事はつまり、全員の落ち着き先が決定した訳だ。


俺たちは早速鉱山を出発し、飛空挺であちこちの街や村へ向かったのだった。



数日後、やっと全員を送り届けた。


ただ送るだけならもっと早く終わったのだが、行く先々で、家族や友人からお礼を言われ、引きとめられたのだ。

彼らの気持ちをスルーしてさっさと立ち去る訳にはいかないからな。


でも、出された虫料理だけは丁重にお断りしたよ。


ミラも主要な街に立ち寄った際、早速商売を始めていた。


彼女には、荷運び兼、用心棒として、鉱山からスチルヘルミノの改造版、スチルヘル(びと)を10人程見繕って、従業員として貸出した。


スチルヘル人は、見た目、亜人である牛人(うしびと)とソックリなのだそうだ。


牛人は、左右の耳の上あたりからツノが生えているのが特徴で、ガタイがデカく、力持ちな種族らしいので、スチルヘル人のカモフラージュとしてはピッタリだった。


因みにスチルヘル人は、一体一体が、SSS化する前の魔将軍に匹敵する強さを持っている。


今のミラは、知らず知らずのうちに、世界最強の商人になっている訳だ。


山賊なんて来た日には一瞬で蹴散らされるだろうな。


どうやらミラの商売は順調で、結構な稼ぎが出ているらしい。


流石は称号が『商人』なだけはあるな。


なんでもミラは『相場勘』というスキルを持っていて、何処で何を仕入れてそれを何処で売れば良いかが何となく分かるのだそうだ。


商人でもこのスキルを持っている人は殆どいないらしい。


ハッキリ言ってチートスキルだよな。


ミラは既に商人ギルドの会員だったので、商売の認可自体は問題なかった。


しかもご両親の商会とは別に『ミラ商会』って名前で自分の商会を登録していたらしい。


らしいのだが・・・


「商会名を、『カガリ商会』に変更しておきましたわ!」


しれーっと報告して来た。


「え!何で?」


「私はカガリ様のモノですから、カガリ様の名を冠した商会で働きたいのです」


だってさ。


まあ・・・ミラもめちゃくちゃ張り切ってる事だし、名前くらい好きにすれば良いさ。


因みに、俺が提案した『魔法の粉』は、まんま『魔法の粉』って商品名で売り出したそうだ。


実際に虫にふりかけて客に食べさせる実演がめちゃくちゃ好評で、飛ぶように売れているらしい。


自分の考案した商品が売れるって結構嬉しいものだな。


かなりのチート商品だけど。


とにかく上手く売り捌いてくれたミラに感謝だ。



そんなこんなで、やっと諸々片付いて、俺達はワインブルー王国へと向かったのだった。

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