88話 さあ、お仕置きの時間だ、オイ!
本日はこの1話のみの投稿となります。
俺達は一斉にフラフラと倒れこんだ。
演技だけどね。
すると俺が目を瞑った途端『第三の目』が起動した。
普段はこの映像は俺とはリンクしておらず、アールしか見れないのだが、今はバッチリ見えていた。
・・・これが『第三の目』か。めちゃくちゃ便利じゃん!
目の前にはブラボンヌが俺たちを見下ろす姿が映っている。
ヤツは満足そうに大きく笑った。
「わはははははは!まさかこんなとんでもない上玉が手に入るとはなあ!今までで最大の収穫かもしれん!これは笑いが止まらんぞ!」
ブラボンヌは笑い続けながら『チリン!』と呼び鈴を鳴らした。
すると、部屋に一目で悪党と分かるヤツらが大勢入って来た。
「よし、そいつらを地下へ運べ。早く奴隷契約を施さねばな!」
俺達は地下へ運ばれた。
ドサッ!
俺は地下室の床に乱暴に放られた。
アールとミミはそっとベッドに横たえられている。
・・・何だよこの差は?どうせ俺は鉱山奴隷ですよ。フンッ!
≪拗ねないの!それよりカガリも見たでしょ?≫
・・・ああ見た。バッチリとな。
地下室にはいくつもの檻が置かれていて、何人もの人達が入れられていた。
殆どが女性だ。
しかも綺麗な人が多い。
間違いなく、違法奴隷だろう。
「わはははははは!闇オークションがいよいよ明日って時に思わぬ目玉商品が現れたものだ。目玉が3人とは、これはかつてない程盛り上がるぞ!」
・・・アール、準備は?
≪いつでもOKよ?≫
・・・よし、じゃあひと暴れするか!
『ミミ、もう起きていいぞ』
「ん」
俺達は一斉に起き上がった。
「わはははは・・・何いいぃぃ?!なぜ起きた?どういう事だ?!」
面食らっているブラボンヌに俺はあくびをしながら素知らぬ風を装って聞いた。
「ふわぁ・・・ブラボンヌさん、『なぜ起きた?』とはどういう事ですか?」
「い、いやあ、皆さん、旅の疲れが出たのでしょうなあ、急にウトウト寝はじめられたのですよ。それで起きるまで待っていたのです!」
「そうでしたか・・・なんだか夢うつつで『上玉が手に入った』とか『奴隷契約する』とか『闇オークションの目玉商品』とか聞こえてきたのですが、夢だったのかなー?あれあれ?周りの檻は何ですか?そして檻の中に入れられているのは誰でしょうか?不思議ですねー?」
途端に、取り繕っていたブラボンヌの笑顔が凶悪に歪んだ。
「全部聞いているではないか?!もういい!お前ら、この3人を取り押さえろ!冒険者を目指す奴らだ、腕が立つかもしれん、手に余るなら男は殺して構わんが女は傷1つ付けるなよ?」
・・・俺の扱いだけ雑だよな・・・まあいいけどさ・・・じゃあお仕置きの時間だな。
≪こいつら全員強さは大した事ないわ。ミミ1人でも余裕で殲滅できるレベルね≫
・・・よし、ならいっちょ、派手に暴れてやるか!
「行くぞ!アール、ミミ」
「了解!」
「ん!」
俺達は大暴れした。
と言っても、完全に一方的な戦いだった。
SSS魔族すら退けた俺達にとって、コイツらの強さは正直に言ってゴミレベルでしかなかったのだ。
手下達はあっという間に全滅。
そして残ったのはブラボンヌ1人。
「ひ、ひいぃ!・・・ぼ、冒険者志願の素人じゃなかったのかあぁ?!」
「冒険者としては素人だぞ?」
「戦闘は慣れっこだけどね」
「私も・・・ザコ相手なら無敵」
「お、お前ら、こんな事してタダで済むと思ってるのかああぁぁ!ワシを誰だと思ってるんだ!ピンラルとドバシェックの裏オークションを取り仕切るブラボンヌと言えば裏社会では有名なんだぞ?!」
「へえ、それはお気の毒。ドバシェックは滅びたぞ?」
「な、何をバカな!」
「本当だぞ?何か異変とか感じないか?」
「そ、そういえば、ドバシェックの部下がまだ到着しておらんが・・・まさか?!」
「それはお気の毒さま。けど、あんたらは運が良いよ。ソイツらと違って殺されはしないんだから」
だって、ドバシェックは魔族によって全滅させられたからな。
お仲間はもう生きちゃいないだろう。
「な、何を言ってくぼおっ!」
俺はブラボンヌの首筋を手刀で打って気絶させた。
「さて、片付いたな」
「これから・・・どうするの?」
ミミがそう聞いてきた。
俺はミミの頭を撫でながら言った。
「当然、お仕置きだよ!」
ブラボンヌと部下達が目覚めた。
「な、何なのだこれは?!」
・・・ははは、戸惑ってるな。
俺は奴らを特製の檻にまとめてぶち込んだのだ。
「どうだ?自分が捕らえられた気分は?」
「ふ、ふざけるな!ここから出せ!」
ブラボンヌが檻をガシャガシャ揺らしながら訴えてきた。
まあ檻はビクともしてないけどね。
この檻は超科学で作られた特別製なのだ。
そしてある機能を有している。
「お前らは違法な人攫いで沢山の罪の無い人達を地獄に落として来た。俺はそういう罪には厳しくてな。だって俺も似たような目に遭ったことがあるからさ」
「ははは、ワシを告発する気か?無駄だ!ワシはこの街の有力者だぞ?誰もお前らごときの言う事なんぞ聞くものか!」
「まあ、馬鹿正直に訴え出ればそうだろうな。でも、そんな事する気はさらさら無いから安心しろ。お前らはこれから奴隷になるんだ」
「ワシらが奴隷だと?何をバカな事を!ワシの部下がここにいるバカどもだけだと思うなよ?すぐに外の奴らが異変に気付くぞ?そしてお前らは捕らえられ、ワシは解放される。そうだな、女は特にド変態の貴族に売り払ってやろう。そして小僧はワシ自ら嬲り殺しにしてやる!」
「まあ好きに言ってれば良いさ」
俺はさっと右手を上げた。
すると、特製の檻が赤い光に包まれた。
「な、何だ?何が起こった?!」
慌てるブラボンヌ達。
光はすぐに消えた。
「スキャン完了!じゃあコピー開始だ!」
ウィーン!
機械音と共に、檻の外に何やらウネウネとした物が沢山現れた。
これは・・・ナノマシンじゃない。
肉の塊だった。
肉の塊は徐々に人の形になってゆく。
ブラボンヌ達はその光景を唖然として見ていた。
「な、何なのだこれは?!お前は・・・魔族か?」
「魔族?違うぞ、普通の人間だ。いや、普通ではないか、人からは大魔法使いと呼ばれてるな」
そして人形は、ブラボンヌとその部下達に瓜二つになった。
・・・まあ素っ裸なのは仕方ないか。
「これは、ワシと瓜二つ?どういう事だ?!」
「これからはこの偽者がブラボンヌに成りかわるんだよ。部下達もな。そしてお前の仕事を受け継ぐ。勿論、真っ当な方向に」
「ば、ばかな?見た目がそっくりでも何の知識も無い者がいきなり成りかわれる訳なかろうが!」
本物のブラボンヌがそう言うと、偽者のブラボンヌが檻の側まで歩み寄った。
そしてこう言ったのだった。
「ワシは、見た目だけでなく、お前の記憶や経験そして性格まで全てを受け継いでおる。故に今すぐに成りわっても何の支障もないのだ」
そう言うと、俺に跪いて忠誠を誓って来た。
他の偽者達も一斉に跪く。
コイツら偽者達は、本物の全てをまんまコピーしつつ、それに加えて俺への忠誠や、悪事の封印、善人になる、などの追加要素を脳に書き足してあるのだ。
なので、ブラボンヌの仕事を何の支障も無く引き継ぐ事が可能だった。
「認めん、認めんぞ?本物はワシだ!そんな偽者にワシの全てを奪われてたまるか!おい、小僧!今ならまだ間に合う!ワシを解放しろ!いや、解放してくれ!そしたら、今までの事は全て水に流してやる。ワシらには何も起こらなかった。そういう事にしてやる!お前らには二度と手は出さん。だからここから解放してくれ!」
「まあちょっと待ってろ。まだお仕置きは終わってないんだからさ」
俺は再び右手を上げた。
すると、今度は青い光が檻を包み込んだ。
光が止むと、本物のブラボンヌ達に異変が起こった。
「な、なな何だこれは?!」
奴らの体がウネウネと崩れだしたのだ。
「お、お前!何をした?!頼む、やめてくれ!お願いだ!まだ死にたくない!お願いします、何でもしますから!部下にもなります、ワシには家族も子供もいます!だから助けて!!」
「攫われた人達も似たような命乞いをしたと思うぞ?・・・まあ殺さないから安心しろ」
ブラボンヌ達はウネウネとした物言わぬ肉の塊と化した。
そして、再び人の姿になったかと思うと・・・全員、美女に変化していた。
「こ、この姿は・・・?」
訳が分からず呆然とする美女のブラボンヌ達。
俺は奴らに説明してやった。
「全員、それなりの美女に変えた。これで奴隷として良い商品になるだろ?な、偽ブラボンヌ?」
「はい、全員かなりの上玉ゆえ、相当な値段がつくと思いますぞ?」
「て事だ。分かったか?さて、新しいブラボンヌ、コイツら全員、せいぜいド変態の客に売りつけてやってくれ」
「かしこまりました」
ブラボンヌ含め悪党だった元男達。
その中でも1番の美女がブラボンヌだった。
美女は檻に縋り付いて泣き声をあげた。
「た、頼む、お願いします。元に戻してください!何でもしますから、あなた様の忠実な僕になります!あなた様が望む物は全て差し上げます!私は有能ですぞ?私を部下にすれば絶対に損はさせません!だから助けて!」
「うん、分かった。ならその役目は偽ブラボンヌにやってもらうよ。同じ能力なんだから、それで充分だしさ」
「そんなああああぁぁぁぁ!!」
絶望の叫びをあげる美女ブラボンヌとその部下の美女達。
俺はまたさっと右手を上げる。
するとピタッと奴らの声が消えた。
檻を防音にしたのだ。
俺は、周囲の檻に入れられた女たちを見回し、声をかけた。
「お前ら、今の一部始終を見ただろ?悪党のブラボンヌは退治された。奴らはお前らの代わりに奴隷として売られる羽目になったんだ。そしてお前らは全員、俺が解放してやる。だから、安心しろ!」
未だに何が起こっているのか分からず戸惑っている奴隷達。
しかし、状況を理解した数名が、喜びの涙を流した。
するとその涙は徐々に伝播し、さっきまで地獄だった地下室は、ついに解放の喜びに包まれたのだった。




