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70話 みんなヤルじゃん!オイ

「ランサム殿、その格好は?」


「・・・戦闘スタイルだ」


「ランサム・・・シブい」


「・・・ありがとよ」


ランサムは、サングラスに咥えタバコ、そして手首には武骨なミリタリーウォッチ。服は勿論、迷彩服。


そして両腕で巨大な機関銃を抱えていた。


ランサムはタバコをふかすと、腕時計を見た。


「そろそろ時間だな」


「ランサム殿、時間とは?」


「決まってる。蹂躙の時間だ」


「ランサム・・・シブい」


「・・・ありがとよ」


そして火蓋は切られた。


ランサムは手馴れた様子で機関銃を構えると、


ズガガガガガガガガガガガガ!!


撃ちまくった。


しかし、ヒットハイドは軽くジャンプして躱した・・・筈だった。


ドゴゴゴゴゴゴゴオオオ!!


なんと銃弾が進路を変えたのだ。

そして躱した筈のヒットハイドへ1つ残らずぶち当たった。


ランサムが抱える機関銃。

それは当然、超科学の産物だ。

従ってその性能は地球の技術を遥かに超えていた。


なんと銃弾にはホーミング機能が備わっていたのだ。


つまり、ランサムが撃てば撃つ程、銃弾は1つ残らず確実にヒットハイドを捉えるのだ。

しかもそれだけでは無い。


銃弾には炸裂機能も備わっていたのだ。

着弾した瞬間、爆発する。

それが1秒につき500発放たれるのだ。


なので今、ヒットハイドは無数の爆撃に晒されていた。

しかし、今のヒットハイドには、キズ一つ、つける事は出来ない。

それでもこの爆撃の雨は鬱陶しいこと極まりない攻撃だった。


「ぐぬっ、小癪な!」


ヒットハイドは右手を翳してランサムへ向けた。


「我が魔の意志は書を、野望は城を、そして力は全てを燃やしつくす地獄の炎とならん・・・『魔獄炎!』」


瞬間、馬車全体が凄まじい炎に包まれた。


「どうだ!込める魔力量が今までと桁違いなのだ。耐えきれまい?消し炭になれ!」


しかし、炎の中からも、


ズガガガガガガガガガガガガ!!


銃撃は止む事なくヒットハイドへ突き刺さった。


ドゴゴゴゴゴゴゴオオオ!!


「ぐぬううっ・・・なぜ?」


炎が消えると、そこには無傷の馬車が、そして中の3人も全く変わり無かった。


「流石はカガリ殿の魔道具、魔法障壁も完璧ですね!」


「カガリすごい・・・私も頑張る・・・ペガコーン!」


「ヒヒーン!」


ペガサスの翼とユニコーンの角を持った白馬、ペガコーンは、今やミミの従魔となっていた。

ランサムによって、ミミの命令を聞くよう、設定されたのだ。


ペガコーンにも、AIが搭載されていた。

なので知能はかなり高い。

そしてその体を形作っているのはナノマシン集合体だ。


『技術ランク』の高いナノマシンはそれ程含まれていないが、それでもこの世界で無双出来る程度の力は秘めている筈だった。


しかし、SSSという規格外過ぎる存在が突然誕生し、少々、分が悪くなってしまった。

単独でヒットハイドを圧倒する程の力は最早無かったのだ。


しかしミミの命令で単独ヒットハイドへ突進したペガコーンは、逆にヒットハイドに足を掴まれてしまった。


「ヒヒッ」


「捕まえたぞ?この駄馬が!」


「ペガコーン!」


ミミが呼びかけた。


すると掴まれたペガコーンの足が、ウネウネと形を変え、鋭い銛の様になった。


そして、


ズガーン!!


銛は物凄い勢いで発射され、ヒットハイドの胸に突き刺さった。


自由になったペガコーンは素早く飛び退く。


しかし、その攻撃もSSSの力を得たヒットハイドの胸を貫く事は出来なかった。

ただほんの少し、皮一枚だけを突き破り、ほんの一滴、ツーッと血が流れただけに終わった。


「ハハハ、先程の男が放った爆撃といい、今のつまらぬ子供騙しといい、この程度の威力で攻撃のつもりか?笑わせる」


鼻で笑ったヒットハイドだったが、ある異変に気付いた。


貫けず胸で止まっていた筈の銛が、ズブズブと自らの体へ入ってゆくのだ。


「こ、これはどういう事だ?」


ヒットハイドは急いで引き抜こうと柄を掴もうとするが、握った瞬間、液体の様にその手をすり抜けてしまった。


「何だと?!」


こうしている間にも銛は柄の部分までどんどん体へ沈み込んで、遂にはヌプッと全て見えなくなった。


「ペガコーン・・・良い仕事」


「ヒヒーン!」


ペガコーンは無くなった足を再び生やして馬車へ戻って行った。


「小娘!今、何をした?!」


詰問するヒットハイド。


ミミは、戻って来たペガコーンの頭をよしよしと撫でながら答えた。


「・・・ヒミツ」


「貴様ああぁぁ!」


ペガコーンが放った銛。


実は、液体状に変化して、ヒットハイドの胸の皮を破ったほんの小さな傷から、血管を伝って体内に入り込んだのである。


そして、体内へと侵入したペガコーンの足だったナノマシンは、ヒットハイドの体を内側から破壊していった。


いくら強くても、体の内側は脆かったのだ。


「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!・・・これは・・・一体何が起こって・・・」


ヒットハイド膨大な魔力が、急激な勢いで落ち始めていた。


「よし、次は私の出番ですね!」


ホリーはそう言うと、キッと剣を構え直した。


「斬魔聖剣ホリー、我が相棒よ!私と共に、思う存分に暴れ回ろうぞ!」


『斬魔聖剣ホリー』


この剣は、鉱山でカガリがホリーに貸したあの剣だ。


カガリは貸しただけのつもりなのだが、ホリーはちゃっかりと自分の名前を冠した銘を付けていたのだ。


もうすっかり自分の所有物扱いであった。


実際、カガリに頼んで、自らの力との親和性をかなりのレベルまで高める魔改造を施して貰っていた。


ホリーは御者台に立ちながら、遠く離れたヒットハイドへ向かって剣を大きく振りかぶった。

そして、魔力を急激に高めたかと思うや、剣を一気に振り下ろした。


「斬導!」


「・・・・・」


何も起こらない?


しかし、ヒットハイド程の猛者だからこそ、猛烈な何かが迫ってきている事に気がついた。


しかし、何も見えない。


ヒットハイドはその場を飛び退くが、猛烈な何かは確実に追ってきた。

それどころか、だんだんと追ってくるスピードが上がっていた。


少し前のヒットハイドなら、笑って受け止められたのだが、今は魔力と共にレベルも下がりまくっていたので避けるしか無かったのだ。


避けまくるヒットハイド、追う『猛烈な何か』、しかしその攻防は長くは続かなかった。


ズガーーーーーン!!!


大轟音と共にヒットハイドは吹っ飛ばされた。


「うぐぐぐ・・・」


見ると、ヒットハイドの胸には風穴が開いていた。


「ランサム・・・すごい威力」


ランサムはフーッとタバコの煙を吐き出すと構えを解いた。


その手に抱えられていたのは・・・


先程の機関銃とは違う、もっとデカいバズーカ砲の様な筒状の兵器だった。


「そりゃレールガンだからな・・・ホリー、足止めはしたぞ?」


「ランサム殿、有難い!・・・これですぐにでも斬導がヤツに届きます!・・・いっけええええええ!」


ホリーが叫んだ。


「い・・・いっけえ」


ミミも恥ずかしそうに続く。


「うぐぐぐ・・・」


足が止まったヒットハイドに猛烈な何かが迫る。

風穴のダメージで最早逃げる事は出来ない。

両腕をクロスして防御態勢を取るヒットハイド。


ズブシャーーーーーーン!!


不可視の斬撃がヒットハイドにクリンヒットした。


そして・・・


ヒットハイドは形も残らず消え去った。


『斬導』は、物を伝って斬撃を飛ばすホリーの必殺技だ。

鉱山でスパガーラを消し去ったのもこの技だった。


実は、最初にランサムが放った機関銃の弾に、爆発するバージョンに紛れて見えない糸を引っ付ける弾が混じっていたのだ。

その糸の端はホリーに繋がっていた。


この糸は超科学製で、完璧な不可視仕様になっていた。

しかも決して切れる事も外れる事も無く、斬撃の威力も1%のロスも無く完璧に伝えられる性能を誇っていたのだ。


それでも、鉱山の時のままの威力ならば、ヒットハイドを消し去る程の威力は到底出せない。


ホリーは、その威力を限界以上に高める為に、カガリに頼んで斬魔聖剣ホリーを魔改造して貰っていたのだ。


結果、今の『斬導』の威力は、力が落ちる前のヒットハイドにさえ、浅くは無い傷を負わせられる程に威力を増していたのだ。


それ程の威力の斬撃をレベルの落ちきった体で食らってしまった。


結果、ヒットハイドは防御も虚しく跡形もなく消滅してしまった。


まさしく途轍もない威力の一撃だった。


ホリーは満足げに頷いた。


「よし!」


ミミもペガコーンを撫でながら小さく呟いた。


「・・・よし」


ランサムはタバコの煙をフーッと吐いた。


「やるじゃねえか!嬢ちゃん達」


3人は単独では勝てないまでも、見事な連携によって見事にSSSへと覚醒した魔将軍ヒットハイドを討ち取る事に成功したのだ。

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