68話 龍王お前マジかよ?オイ!
俺はいきなり現れた魔将軍、真祖ネフェクティプラゾーマに速攻で『ダラーム線』という超科学が誇る不可視の熱線を浴びせた。
その効果でネフェクティプラゾーマの体から水分という水分が蒸発し、カラッカラのミイラになった。
「よっしゃ成功!」
「カカカカカカ・・・ガバアアア!!!」
ミイラの口が急に大きく開いたかと思うと、一気に裂け、そこから新たなネフェクティプラゾーマが現れた。
・・・脱皮かよ!
そしてネフェクティプラゾーマは何事も無かったかのように、首をコキコキと鳴らした。
「貴様、魔力も殆どない故、全くの雑魚だと思ったのだが一体何をしたのだ?奇想天外、摩訶不思議、フフフ、だが面白い!」
・・・ネフェクティプラゾーマは俺の攻撃に全く怯んだ様子は無かった。やっぱり一筋縄じゃ行かないか。
俺は他のみんなの状況を確認した。
「みんな大丈夫か?」
≪こっちの戦いはこれからよ!でも『黒光檻』は外の魔族にすぐ壊されるでしょうね。そしたらヤツらが一気に雪崩れ込んで来るわよ!≫
・・・マジか?そいつらって全員SSS並の力なんだよな?とにかく任せたぞ?アール!
≪≪こっちはホリーとミミの嬢ちゃんと共闘と言う名の護衛中だぜ。あのヒットハイドって下半身だけの魔族が復活しやがってそいつと対峙してる。まあ任せておいてくれ≫≫
・・・お前はランサムか?お前・・・話せたんだな?・・・とにかく任せた!絶対ホリーとミミを守れ!
「カガリ殿!何がなんでもミミ殿は守ります!ご安心を!」
「ホリーありがとう!お前も絶対死ぬなよ?」
「カガリ・・・私もドラゴンになって戦う」
「ミミ、駄目だ、ドラゴンにはなるな!体がデカくなると的が大きくなる!その代わり、お前にはそこのペガコーンを貸してやる!ソイツを従魔として操って戦ってくれ!ランサム、セッティング頼むぞ!」
「私に・・・従魔・・・ペガコーン・・・分かった・・・頑張ろうね、ペガコーン」
「ヒヒヒーン!」
ペガコーンは高々といなないた。
そして最後に、
≪≪≪んもおおおおおおお!!!≫≫≫
スチルヘルミノも大音声を発して俺に応えた。
・・・お、おう、頑張れよ・・・てか何で脳内で叫んだ?音量デケエよ!
「う・・・うぐぐぐ・・・これは、一体・・・どういう展開だ?・・・この途轍もない魔力は何だ?!」
どうやら龍王の意識が戻ったようだ。
「お前が魔族にSSSの玉を奪われたせいでこんな事になってんだよ馬鹿野郎が!お前も協力しろ!」
「ぐぬぬ・・・テメエ、さっきは何で俺様を・・・攻撃しやがった?・・・魔族の罠で此処に縛られて・・・動けねえってのによ!」
・・・罠に掛かって縛られたってバカかよ!俺のSSSだぞ?死守しろよ!・・・仕方ない、アール、コイツを解放出来るか?
≪余裕よ!≫
「おいクソ龍王!これからお前を解放してやるから、手下のドラゴンをまとめて参戦してくれ!」
そう言うと俺は龍王の方へ右手をかざした。
すると、龍王の体が消えて・・・『黒光檻』を今にも壊そうとしている魔族達の背後に現れた。
これは超科学の『転送』技術だ。
さっきスチルヘルミノの大軍団を呼び寄せたのもこれを使った。
文字通り、物体を指定の座標へ瞬間移動させる技術だ。
注意点は、適当な座標に転送した場合、もしその座標に何かしらの物体があった場合、その物体と転送対象がかち合って大惨事になる事だ。
なので、必ず転送先に何も無いのを確認しておかなければならないのだ。
しかし、逆に言えば、それを利用して敵を倒す事もできるんじゃないか?
因みに、転送を使って俺達が移動するのはアールからは厳禁されている。
理由は機密事項に当たるって事で教えて貰えなかったのだが、どうやら俺が俺で無くなるらしい。
なんか知らんが怖っ!
「グルルオオオオオオオオォォォォ!!」
龍王は一声吼えると、生き残った少数のドラゴンを率いて・・・・・逃げていった。
「・・・は?」
「クソ龍王、あいつ本当にクソね!」
「龍王様・・・あなたはやはりクソ龍王でしたか・・・」
「クソ親父・・・サイテー」
「仕方ねえだろうがっ!ソイツら魔族のレベルは軒並み1万越えだぜ?勝てるわけゃねえだろうが!そもそも俺様達ドラゴンは中立勢力なんだよ!ソイツらの相手は勇者に任せるぜ!」
クソ龍王はそう捨て台詞を残して去っていった。
「レベル1万越えって・・・嘘だろ?ミミ、本当か?」
「分からない・・・私はハーフドラゴンだから・・・クソ親父よりも『鑑定』の精度は低い・・・私が見ると・・・アイツらは鑑定不能」
・・・鑑定不能って、ラノベでいうと、1番ヤバいパターンじゃん?!
≪あんな奴らいなくなって正解よ。むしろ邪魔な奴らが消えて良かったわ。これで的が絞りやすくなったから!≫
・・・だよな。気を取り直して行こう!
「ハハハ、龍王が逃げおったか。SSSの力を奪った今となってはドラゴンなどもはや眼中にない故、逃げても問題無い。それより今は、貴様ら摩訶不思議な奴らの始末が優先である!」
「摩訶不思議摩訶不思議ってさ、俺にとっちゃお前らの方が摩訶不思議なんだけど?俺は魔法使いのカガリって者だ。カガリ様って呼んでいいぞ?」
「戯言を。我らが『様』と呼ぶのは、あのお方のみよ」
「コンコルディアスか?」
「ほう、人間の分際であのお方を知っておるとは感心な」
「名前だけな?・・・そいつってさ、魔王なのか?」
「さほど大した情報は持っておらぬ様だな。まあ良い。今は魔王では無いが、いずれ今の魔王を滅ぼし真の魔王となられるお方である!」
「へえ、ならコンコルディアスをぶっ殺しても勇者が地球へ戻ることは無いって事だな?」
「勇者の契約の事か?ならば我らが現魔王を滅ぼせば自動的に元の世界へ帰れるであろうが・・・あのお方がSSSの力を得た今、勇者を恐れる必要はもはや無い。故に見逃してやる義理とて無いぞ?そもそも人間ごときがあのお方を殺すなど論外であるがな」
「勇者は俺の獲物だからな、勝手にぶっ殺されるのは気に食わないんだけど?」
・・・まあ六条はひとしきりボコったし多少は気も晴れたから、わざわざアイツらを助けてやるつもりは無いけどな。勝手に頑張れ!生き残ったら復讐してやるからさ。
「そんな事より、俺はSSSの称号なんかの為にミミの仲間を殺したお前ら魔族が気に食わないな」
そう言うと、俺は再び超科学の攻撃を発動した。
「ぐぶおうぅっ!・・・ぶはっ!」
ネフェクティプラゾーマは唐突に口から大量の血を吐いた。
「貴様・・・今度は何をした?」
「それは教えられないな」
俺は『転送』の応用で、ネフェクティプラゾーマの心臓部分に杭を転送させたのだ。
地球の伝承だと心臓に杭を打ち込めば倒せるって設定だしな。
確か狼男は銀の弾丸だっけ?
『じゃあ』って事で駄目押しに銀の杭にしておいた。
「次から次へ摩訶不思議な事を!」
ネフェクティプラゾーマは苦しそうに顔を歪めている。
・・・やっぱり杭程度じゃ死なないよな?でもコイツらって、どうやら相手の魔力の動きを見て戦っているみたいだな。て事は、超科学で前触れなく攻撃出来る俺やアールは、かなり有利なのかもしれないな。
ならよし、
「ぐぶぶぶぶぶぶぶ!!」
心臓だけじゃなく、体中に銀の杭を叩き込んでやった。
ネフェクティプラゾーマは何かを察して避けようと高速で横に動いたが、半分は避けきれず体に埋め込まれ、残り半分は不発に終わった。
流石にヤツの動きは速い。
・・・完全には捉えきれなかったか。
バサバサバサッ!
ネフェクティプラゾーマの体が崩れ去り、無数のコウモリになった。
・・・これは、無傷で復活するパターンだな
「させるかよ!」
ズガガガガガガガガガ!!
俺はコウモリ達へ、ビーム機関銃を無差別に撃ちまくった。
龍王へ使ったビーム機関砲より光弾の口径が小さいのだが、コウモリのような小さい的へぶっ放すには丁度良い大きさだ。
コウモリは光弾に蹴散らされ次々と砕け散った・・・筈だったが、砕け散った残骸が更に小さいコウモリに変貌した。
・・・これはキリがないな。
その時、周囲全体から『バリンッ!!!』というか何かが割れる音がした。
『黒光檻』が砕かれたのだ。
俺は思わずアールの方を見た。
一斉にアールへ襲いかかる、レベル1万越えの魔族達。
その数は100体近くはいるだろうか?
確か、色々ブーストした六条がレベル573だったよな?
格が違うどころの話じゃないだろこれ?
・・・大丈夫なのか?アール?!
≪準備は整ってるわ。行くわよ!≫
アールは両手を魔族達へ向けた。
パッ!
その瞬間、半分近くの魔族が・・・消えた?!
・・・これは、転送か?
≪太陽へ送ったわ≫
・・・た、太陽??
≪ええ。手強い蛮族相手に我々が良くやる手なんだけど、どんなに強くても太陽へ送っちゃえば、常時6000度に燃やされてすぐ燃え尽きちゃうから楽なのよ。仮に多少の時間耐えられたとしても、強力な重力に引っ張られて帰って来れないしね。私、このやり方って地味だし好きじゃないんだけど、今の私だと性能をアップグレードしないと、流石にこの数を倒しきるのは無理だから≫
・・・太陽へ転送ね、とんでもない戦い方だな。もはやファンタジーもへったくれも無いじゃん!
≪まあね。超科学の前ではファンタジー世界のヤツらなんて只の蛮族だし。我々はこの倒し方を『太陽葬』って呼んでるわ≫
・・・剣と魔法の世界が蛮族って、夢も希望もロマンもなーんにも無いじゃん!・・・けど・・・超便利じゃん!・・・なあアール、太陽の座標、俺にも送ってくれ!




