65話 醜い争いだなお前ら、オイ
「「「良いワケあるか!」ないでしょ!」」
3人同時に叫んだ。
六条が食って掛かってくる。
「何が食う物に溢れてるだ?!この世界の虫なんて食料に数えられねえだろうが!地球で食べられてる虫は何で食料なんだと思う?食える味だからだ!ここみたいにクソ不味かったら食料になんてなってねえんだよ!この世界の虫は食糧失格だ!」
滝座瀬も続いた。
「私、日本で虫なんて食べた事なかったのよ?海月だってそうでしょ?みんな苦しんでるんだよ?それをアンタ、自分1人だけ良いものを食べる気?そんな事はさせないわよ?早くハンバーガーを出して!」
三津島は違うアプローチで来た。
「海月君、冗談だよね?全部冗談で言ってるんだよね?もう!笑えないよ?早くネタバラシしてみんなでハンバーガー食べようよ!」
みんな必死だな。
俺はハンバーガーを頬張りながら想像してみた。
もし、俺とコイツらの立場が逆だった場合、果たしてコイツらは俺にハンバーガーを分けてくれるのだろうか?
・・・・・あの時、俺が城から逃げ出さず今でもみんなと一緒にいたとして、俺が惨めにパン虫を食ってる中、コイツらが美味そうに本物のハンバーガーを食っている。
そして俺はコイツらにお願いするのだ。
「頼むから、そのハンバーガーを分けて下さい!」
その時、コイツらは何と言うのだろうか?
委員長なら分けてくれそうだ。
半分にちぎって片方をくれるような気がする。
俺はそんな委員長の姿を想像して胸が熱くなった。
ああ、また好きになっちゃうかも!
・・・まあただの想像だけどな。
片山も分けてくれるんじゃないか?
あの時俺を庇ってくれたみたいに。
それにしてもあの時はホント、意外過ぎて驚いたよ。
でも嬉しかった。
そしてコイツらは・・・
・・・うん、1秒で想像出来たわ。
俺は3人に言った。
「なあ、今、もし俺たちが逆の立場だったら、お前らが俺に言いそうなセリフを想像してみたんだけどさ、聞いてくれよ」
そう言って滝座瀬を指差し、
「お前は多分、こう言うだろうな・・・『なに私に話しかけてるのよ?どうせ私とお近付きになりたいとでも思ってるんでしょ?ハンバーガー?あげる訳ないでしょ?それよりキモいから消えて!』こんな感じか?」
滝座瀬はそれを聞いて手をワタワタさせて否定した。
「そ、そんな事言う訳無いじゃない!絶対あげるわよ!ハンバーガーをもう1つ、アンタの為に特別に貰って来てあげるわよ絶対!」
「嘘だな。お前が俺にハンバーガーなんてくれる筈ないだろ?だいたい、『特別に』とか言ってる時点で上から目線なんだよお前は!あとさっき俺が言ったセリフ、日本にいた時、実際にお前に言われたセリフほぼそのまんまだからな?」
これには六条が笑って同意した。
「はは!確かに滝座瀬が言いそうなセリフだな。いや、実際言ってたのか、そりゃ真に迫ってて当然だわ」
キッと滝座瀬が六条を睨みつけた。
「はあ?六条アンタね、変な事言わないでくれる?私の味方じゃないの?」
三津島も呆れた顔で滝座瀬を見ると、
「ええー・・・麻耶、日本で海月君にそんなひどい事言ってたの?嘘でしょ?」
そう言うと、
「私はそんな酷いセリフ言った事ないよね?ていうか私と海月君って全然絡んだ事なかったし、お互い何の恨みつらみもないでしょ?」
「ああ、確かにお前とは一切絡んだ事無いんだよな、不思議な事に・・・けど、確かさっき俺の事ドスケベロリコン扱いしてたよな?」
「え?アレは冗談だよ冗談!またまたぁぁ海月君ってば真に受けちゃって!ははは・・・ちょっと・・・目が笑ってないよ?」
・・・ああ。確かに俺の目は笑ってないさ。だってお前にもムカついてるんだからな三津島!
「冗談ね・・・でもお前が、俺の称号を奪ったのに加担した奴らの1人だって事は冗談じゃ無いだろ?あの時、多数決でお前が剥奪の方に手を挙げたのを俺は見てるんだからな!」
「いやあれは六条君がそういう方向へ持って行ったからであって・・・私はそんなつもり無かったんだよ!お願い、信じて!」
「そんなのは言い訳にならない・・・現に委員長や片山、他にも少数は手を挙げて無かった。流石に俺の運命を決める多数決だ。ちゃーんと見てたよ。だから俺からすれば・・・お前は充分過ぎるほどに有罪だ!」
「そんな!」
「ついでに聞いてくれよ。俺が考えた三津島の言いそうなセリフだ・・・『アンタみたいなドスケベのロリコンに私のハンバーガーあげるわけないでしょ?どうせ、私が齧った部分を食べて間接キスしようとか企んでたんでしょ?残念ね。絶対拒否するから!』どうだ、こんな感じだろ?」
・・・我ながら酷いセリフだな。自分で言ってて悲しくなって来たよ。
しかし、俺のセリフに滝座瀬が納得顔で頷いた。
「あー沙彩なら言いそうだねそのセリフ。うん、絶対言ってるわ!」
「はあ?!なに言ってんの?そんな訳無いでしょ?あんた私の事たいして知らないクセに適当に言わないでよ!海月君、私そんな事言わないよ?私なら新しいハンバーガーを2つくらい確保して海月君にあげてるから!」
「沙彩ったらやっぱり食べかけのやつを渡して間接キスされたくないんじゃん?」
「はあ?そういう意味じゃないから!ただ普通にイヤでしょ?食べかけのヤツなんて!酷いよ麻耶!」
「沙彩こそさっき何気に私の事ディスってたよね?ふざけないで!」
「それは麻耶が本当に酷いと思ったからで・・・」
あーあ、滝座瀬と三津島が醜い言い争いを始めてしまった。
これって俺のせい?
違うよな?
2人の人間性のせいだよな?
俺は最後に六条を見た。
「六条、お前が言いそうなセリフはかなり自信あるぞ?けどさ、それを言うと自分で自分にクリティカルヒットを与えちまいそうでさ、言うのは控えるわ」
「・・・賢明だな」
六条、自分の事分かってるじゃん。
開き直ったのか?
まあどっちでも良いけどさ。
俺は、3人に結論を告げた。
「まあそういう事だ。結論を言うと、お前らにハンバーガーを分けてやる理由が見つから無いんだよ」
六条はジッと俺を見ると1つ息を吐いて言った。
「はぁ〜。まあ良いさ。これ以上、貴様に慈悲を請うつもりは無い。俺だってまだ魔獣肉の弁当は残ってるしな」
そう言うと、懐から包を取り出して、魔獣肉らしき物を食べ出した。
それを見た滝座瀬と三津島は言い争いをやめて今度は2人して六条を責め立て始めた。
「ああぁ!六条アンタ、魔獣肉のお弁当は3日前に無くなったって言ってたよね?何でまだ持ってるのよ?!」
「コイツ、私達に内緒で隠れて食べてたんだ!卑怯者!最低!」
六条は2人の罵声にも全く動じない。
「もぐもぐ・・・はあ?これは俺が王女から貰った物だ。それを今までは好意でお前らに分けてやってたんだよ。それなのにお前ら、『旅先で緊張してそれどころじゃ無い』とか抜かしやがってキス以上の事をさせないから、俺も食わせてやるのが馬鹿らしくなったんだよ」
「はあ?!何それクズ過ぎじゃん!ホント、心の底から見損なったわよ!」
滝座瀬が言うと、三津島は六条と俺を交互に見ると、
「何でうちのクラスにはアンタらみたいなロクでも無い男子しかいないのよ?もう本当勘弁して!」
そう言って溜息をついた。
「おい!俺を六条と一緒にするな!」
「クソビッチが俺を海月と一緒にしてんじゃねえぞ!」
奇しくも俺と六条が同時に反論した。
しかし滝座瀬・三津島も負けずに言い返して来た。
コイツら気が強すぎだろ?
「はあ?アンタら2人共『酷い奴』って部分じゃ同じ様なものじゃん?ホント被害者の私達の身にもなれ!」
「それ同意。私達に酷い事ばっかりして、男として恥ずかしく無いの?」
・・・お前ら自分の事棚に上げてよく被害者面するよな?
まあ、俺自身、自分が良い奴なんて思って無いから別にショックも無い。
本当に良い奴はそもそも復讐なんてしないだろうしさ。
だからもうみんな偽善者ぶるのはやめようぜ。
俺を含めてさ。
なのでそろそろお前らへの復讐の続きをしようと思う。
俺は六条を見た。
「魔獣肉は美味かったか?腹ごしらえが済んだところで、復讐の続きと行くか?」




