62話 六条のコンボ技がヤバイぞ!オイ!
六条が発動したスキル『勇者の雄叫び』を以ってしても、俺に傷1つ付けられないまま、効果時間が残り3分に減った。
六条は、懐に左手を突っ込むと、一振りの剣を抜き放った。
どうやら、懐のアイテム袋から取り出しているみたいだな。
そう言えば、一番最初の説明の時にクソ王女が言ってたよな。
1人づつ貰えるって。
当然俺は貰ってないけどさ。
でも、超科学でも『次元収納』っていう似たような機能があるしな。
俺はそれを使っているからさ、
全く羨ましさを感じないよ。
むしろ次元収納の方が確実に性能良いだろうし自慢したいくらいだよ。
俺って、人に自慢するのとか苦手だけど、コイツにだけは思いっきり自慢してやりたい気分だ。
・・・超科学とか思いっきりネタばらししてやったらさぞかし羨ましがるだろうな。
≪ダメよ?・・・でももしどうしてもネタばらししたくなったら、ばらした後、確実に殺して口封じする事。分かった?≫
・・・お、おう。
そこまで行くともう完全に悪役じゃん。
六条は、懐の剣を抜き放つと、二刀流スタイルで再び襲いかかって来た。
「おらおらおらおらおらおらおらおらああああぁぁぁぁ!!」
当然、俺はビクともしない。
てか、2本目の剣は、光勇剣より攻撃力が低いみたいで、しかも片手での攻撃なので力が乗り切っておらず、手数こそ増えたものの、さっきよりもかえって威力が落ちてしまっていた。
・・・まあ、見た目的には凄まじさが増してるけどな。単なる演出にしかなってない気がする。
「は〜い、残り2分!」
バキイイィィィィン!
俺の声と剣が折れる音がほぼ同時に響いた。
六条は再び飛び退いて2つの剣を捨てると、素早く魔法を詠唱した。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
魔法詠唱と共に、強烈な光が周囲を照らし、凄まじい威力の光線が俺に直撃した。
これが六条の必殺魔法か?
確かに威力は凄まじい。
けど、これじゃ俺にはまだ届かない。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
再びの詠唱。
そして一発目を食らっている途中で、二発目が来た。
すると、一発と二発目が合体して一際大きな光の一撃となったのだ。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
そしてまた来た。
三発目がさっきの合体版と更に合体し、また威力が増した。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
更に来た。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
また更に。
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
六条の詠唱は続いた。
その都度、次々と合体して威力が増していった。
それにしても勇者の詠唱はめちゃくちゃ短い。
滝座瀬と三津島もそうだった。
これだけ短ければ連続使用も充分可能だ。
そのメリットを十二分に発揮したコンボ技だなこりゃ。
もはや殲滅光の威力は初弾の数十倍にまで膨れ上がっていた。
六条からすれば、光が強まり過ぎてもう俺の姿なんて見えてないだろうし、俺の安否だって分かって無いだろうに、アイツは魔法を一向に止める気配が無かった。
・・・確実に仕留める気だな?
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
攻撃は続く。
そして、
「輝き滅せ、殲滅光[豪]!」
ここで殲滅光の威力がガクッと下がった。
『勇者の雄叫び』有効時間の5分が過ぎたようだ。
確か、ドーピング薬の効果も時間差で切れる筈だ。
それでも六条の攻撃は止まらない。
威力が下がったとはいえ、未だ、ヒットハイドの力が加わってレベル382の力は有している。
その威力が凄まじい事には変わりない。
更に数分が経過した。
すると、今度は
「か・・・かが、やき滅せ・・・殲滅光・・・[豪]・・・はぁ、はぁ、」
六条は随分疲れて来たようだ。
もう終わりが近いか?
殲滅光の威力も徐々に弱まって来ていた。
恐らく、六条の胸の修復が終わり、ヒットハイドの組織が剥がれ落ちて来ているのだろう。
そして遂に・・・
「か、かが・・・」
六条の攻撃が・・・終わった。
魔力が尽きたのだろう。
六条は激しく息を切らしながら、両手と両膝を地面に着いた。
完全に疲れ切っていた。
しかし、六条はやり切った顔をしていた。
「はははははは!ざまを見ろウソ月野郎!俺の魔法でなすすべなく燃え尽きた気分はどうだ?!俺をバカにする奴は無様に死んで当然なんだよ!」
六条は勝ち誇っていた。
完全に俺が死んだと思っているのだろう。
確かに、そう思っても無理はない攻撃だった。
殲滅光の威力も凄かったし、何より、それを次々と重ねて威力を倍々に増やしていくコンボ、これは恐らく六条が編み出した技なのだろう。
かなりの戦闘センスだと思った。
それをいとも簡単にやってのける六条は、やっぱり凄い奴だよな。
それだけに、
「こんなクズである事が本当、勿体ないよな」
やり切った清々しい顔の六条が瞬時に固まった。
殲滅光重ね掛けの膨大なエネルギーが消え、視界がクリアになったのだ。
そして殲滅光の威力でクレーター状になった地面の中心にいたのは・・・・・俺だった!
俺は・・・無傷だった。
もっと言うと、最初に立っていた場所から一歩も動いていなかった。
まあ、地面が削れて今は深い穴の底に立ってるんだけど・・・
六条は今度こそ・・・後ずさった。
後ずさりながら聞いてきた。
「貴様・・・あれだけの攻撃を受けて・・・何故生きていられるんだ?!」
「ああ、あの攻撃、俺、受けて無いから」
「・・・は?」
「てか、お前が放った光魔法のエネルギー、全部貰ったから」
「・・・は?」
「凄いよな、あの重ね掛けの技。殲滅光だっけ?とんでもない威力に膨れ上がってマジビビったよ!・・・ホント、めちゃくちゃ助かったわ!」
「・・・は?」
俺は手に持った小さな塊を見せた。
「これってさ、俺が作った魔道具で、地球で言う『電池』みたいにさ、エネルギーを蓄える事が出来るんだよ。便利だろ?」
「・・・は?」
「お前が放ったエネルギーを全部貰ってさ、この『異界の燈』に充電させてもらったんだよ」
「・・・は?」
俺が塊を少し弄ると、塊が光を発して日中にも関わらず強い光で辺りを照らした。
「な、いい感じだろ?これで一生、夜の明かりは問題無くなったよ。充電ありがと!」
「・・・はあああああああ???」
六条は、驚きと屈辱でに塗れた顔で俺を罵った。
「このゴミ野郎がああああ!この俺をおちょくりやがってええええ!!」
・・・まあ、確かにおちょくり目的だった。
俺は六条をおちょくる為だけに作ったこの魔道具を次元収納へしまった。
そしてもう一歩六条へ近づく。
すると六条も一歩後ずさる。
口ではまだ威勢は良いが、戦う前の自信はもはや完全に崩れ去っているようだった。
「なあ、六条、お前さっき、SSSの力を得たって言ってたよな?」
「そ、そうだ・・・」
「ミミ!今の六条のレベルはいくつだ?」
ミミとホリーは、既に滝座瀬と三津島に勝利していた。2人は、両手をあげて降参していた。
ミミは、六条を鑑定して、俺に教えてくれた。
「今の六条・・・レベル81・・・元の強さに・・・戻ってる」
「はあああああ?!嘘をつけ!俺はSSSを得て382になった筈だぞ?!」
六条はそう言うと、「ステータスオープン!」と言って自分のレベルをチェックした。
六条の顔からどっと汗が流れ落ちた。
「81だと?そんな・・・どうしてだよ?SSSの力は何処へ行ったんだよ!」
「まあ、お前にはそんな大層な力、使いこなせなかったって事だろ?」
「そんな訳ねえだろうが!俺はSS勇者だぞ?SSSの力だって使いこなせる筈なんだ!」
六条の焦っている様子を見ながら、俺はダメを押した。
「けど、現に、レベル80程度のザコに戻ってるじゃん?まあ、だからって手加減はしないけどな。なあ六条、今度は俺のターンだぞ?」
俺は拳をぼきぼき鳴らして六条へ更に近づいて行く。
六条は、自分の置かれた状況を悟ったようだ。
「ま、待て!今は力を使い果たしたからレベルが落ちただけだ!体力が回復すればレベルだってまた382に戻る!・・・そうだ!今の俺よりも、フルパワーの俺と戦った方が良いだろう?仕方ない、ここは一旦、引いてやるから、後日再戦と行こうか?」
「それはさっきやったじゃん。お前が力尽きて勝負はついた筈だけど?」
「だからなんだ?!貴様は力尽きた相手をイビる様な卑怯者なのか?!違うだろ!貴様はそんなクズじゃない筈だ!だからここはお互い引いて後日改めてだな・・・」
「今まで散々俺の事をクズ呼ばわりして来た奴がよく言うよな。まあ、その提案は断る。お前はここで終わるんだよ」
六条は顔を真っ青にして後退り続ける。
「嘘だろ?この俺が、貴様なんかにやられる筈がない・・・あっちゃいけないだろ絶対に!」
「それなら覆してみろよ!」
そう言うと俺は六条の懐へ一気に飛び込んで鳩尾へ一発拳を突き入れた。
ドゴッ!
「うぐううぅぅ!」
そして顔面に一発、
ドゴオオッ!
「ぐぼへえ!」
ほぼ元に戻っていた六条の顔面に再び拳が刻まれた。
そして大きく後ろに吹っ飛んで行ったのだった。




