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6話 思わぬ救世主が降臨したなオイ!

「・・・・・ならない」


委員長は俯いてそう呟いた。


「おい海月、委員長もお前を拒否ったぞ」


六条の勝ち誇っ様なドヤ声が俺の心を叩き割って来る。


俺がいくら言われ慣れているといっても、あまりに酷すぎた。唯一の希望、その細い糸がプツンと切れた気がした。そして深い穴に落ちて行く俺。もう反論も出来ない。

言葉が出てこない・・・


「・・・・・」


「委員長をゲット出来なくて残念だったな、ストーカー野郎!」


フリーズした俺の思考は既に諦めの方向へと・・・


そこに、思わぬ援軍が現れた。


「待って六条君、違うの。」


片山クリスティーナ、ストーカー事件の被害者、片クリだ。


「片山、違うって何が?」


「先生に口止めされて言えなかったけど、ストーカーの犯人は海月君じゃないの」


「は?どう言う事だ?」


「ストーカーは・・・・・山本君だったの」


そう言うと片クリはキッと山本を見据え、指差した。


「コイツが私にストーキングしていて、私がそれに気付くと、自分の犯行を隠すために海月君に擦りつけたの。海月君は自分への疑いを晴らすために自力で真犯人のコイツを見つけ出して野田先生に相談したのよ。それで海月君と私とコイツの3人は野田先生に呼び出されて4人で話し合ったわ。コイツは自分のやった事を認めて土下座してきた。先生は事態を大きくしたく無かったのだと思う。『もうこれで許してやれ』と言って強引に話を収束させたの。私は許せなかったけど、先生から『山本の父親は国会議員で権力者だから穏便に済ませた方が身のためだ』と言われて諦めたわ。先生から口止めされていたからみんなにも本当の事を言えなかったの」


思わぬ展開にクラスメイト達は一瞬、『ぽかーん』とした後、一斉にザワつき始めた。


「え?なにそれ?」


「ウソ月が犯人じゃ無かったの?!」


「てか山本キモっ!」


「山本、お前も死ねば?」


暴露され、顔面蒼白になる山本。


そして俺は土壇場でストーカー容疑が晴れた。


これで六条が主張する、


『ストーカーの海月がトップに立てば、女子は全員強引に自分の女にされてしまうのでそれが嫌なら海月の称号を取り上げろ』


理論は崩壊した・・・・・・・・・・かに見えた。


「それが片山が思い込まされている嘘か」


「え?」


「考えても見ろ、海月は"ウソ月"ってあだ名がつけられている位の嘘つきだ。そんな奴の言葉の中に真実がどれくらいあると思う?殆ど無いだろうな」


「・・・どういう意味よ?」


「山本が真犯人ってのは海月が考えたシナリオだよ」


「そんな訳...」


「残念ながら真実だ。ストーカーしてるのがバレた海月は、山本の弱みを掴んで脅しをかけ、山本を身代わりにしてお前の疑いを躱したんだ。」


「それこそ嘘よ!」


「嘘じゃ無いさ。なあ、山本」


いきなり名前を呼ばれた山本は『え?』と驚きの顔をするが、すぐに何かを察したようで、


「う、うん、その通りだよ。僕は犯人じゃない。ウソ月のクズに脅されて仕方なく犯人の振りをしたんだ。片山さん、僕は君が思うようなキモい奴じゃないんだ」


片クリは必死に弁解する山本の顔を睨みつけると、


「嘘ばっかり!あんた以前から私の事、良くガン見してたよね?ずっとキモいと思ってたのよ。大体、本当に犯人じゃ無いなら、何であの時認めたの?土下座までして。ストーカーなんてみんなにバレたら人生終わりだよ?そこまでするなんてどんな脅され方をしたらそうなるのよ?」


「そこは俺から話そう」


「六条君?」


「ストーカー事件の真相が広まらない様に野田先生がお前の口止めをしたのは海月の計算なんだよ。海月は何らかの山本の弱味を握っていた。それをネタに山本を脅して自分の身代わりとしてストーカー犯にしようと目論んだ。だが、ストーカー認定されればクラス内でゴミ認定されるのは確実だからな、流石に山本もゴミ扱いは嫌だから二の足を踏んだんだ。だから海月は野田先生の力で、片山に口止めをさせたんだ。それなら山本のリスクは片山に嫌われるってだけだ。クラス全体からストーカーとしてゴミ認定される事は避けられる。つまり最小限のリスクで済む訳だ。山本は海月に握られている弱味と天秤にかけてストーカーの罪を被るほうを選んだ」


「でも、先生が口止めをするなんて、不確定要素じゃない」


「だから、先生も脅されてたんだよ、海月にな。だろ?山本」


「う、うん、先生も脅されてたんだ。だから僕はクラスのみんなには知られないって条件で海月の罪をかぶったんだよ。実際、先生が口止めしてくれたおかげで片山さんに知られるだけで済んだんだ」


「そんな理屈、無理矢理すぎるわ。二人同時に脅すなんて簡単にできるものじゃ無いでしょ?」


「それは、簡単だよな?山本」


「え?・・・う、うん、簡単だよ」


「じゃあ、訳をお前の口から言ってやってくれ」


「ええ?!・・・い、いやあ、うーん、どうなんだろ?まあ、親父の権力とか、そんな所かな?」


「はぁ〜。山本、この期に及んで隠し立てはやめろ。お前は今、ストーカー犯なのかそれとも無実なのか、その瀬戸際なんだぞ、いくら言いにくい事とはいえ、ここは真実を言うべきだ」


「え?隠し立て?な、何のことかな?ちょっと話が分からなくなって来たんだけど・・・」


「だから今更とぼけるのはよせって。お前が言いにくいんなら俺が言ってやろう。いいよな?」


「う?・・・う、うん、六条君からお願いします」


「なぜ、海月は山本と野田先生の二人も同時に脅す事が出来たのか?簡単な理屈だ。脅しのネタが二人共通の弱みだったからだ」


「そ、そう・・・って、どういう事?」


山本が自分の話の筈なのにまるで初めて聞いた事のように驚いた。


「まだ惚けるのか?まあそれも仕方ないかもな。だって野田先生とお前が恋人同士だったなんてとんでもない爆弾だからな」


それは確かにとんでもない爆弾だった。だって野田先生は男だぞ?先生と生徒の禁断の恋ってだけじゃなく、男同士の恋、つまりダブルで禁断って事だ。


流石に周囲も騒ついた。


「え?嘘!」


「マジで?!」


「それってガチのBLじゃん」


「めしうまー」


慌てたのは山本だ。こんな展開になるつもりで六条に話を合わせたんじゃ無いって顔だ。


「ぼ、僕と先生が恋人?!」


「ああ。それを知った海月に、二人同時に脅されたんだ。先生がこっそりと話し合いの場を設け、山本が海月の身代わりに片山へ謝罪する。そして先生がその場で強引に和解させて口外を禁止する。これで全ての謎が解けた」


「ちょっと、六条君何言っるの?!そんなの全くのデタラメじゃないか!!」


慌てて否定する山本。だが、六条は『やれやれ』って顔をする。


「今更見苦しいぞ山本、お前はストーカーの無実を晴らすため、真実を認めないといけない。今更全くの無傷って訳にはいかないんだ」


「そんなの・・・まだストーカーの方がマシ・・・」


次の瞬間、六条がかつてない激しさでブチギレた。


「ふざけるな!俺はストーカーなんて卑劣な事は絶対に許さない!山本、もしお前がストーカー犯である方を選ぶなら、俺はお前を絶対に許さない。これからの勇者の旅でもお前は一切仲間に加えないからな」


「そ、そんな・・・」


「俺たちみんながレベルアップして最強になり、魔王を倒して、魔道具や財宝を手にして日本に帰る時も、お前はレベル1のまま、勇者の力も花開かず、魔道具や財宝も何一つ貰えず、失意のまま帰らないといけなくなるぞ」


「そ、そんな!」


「それが嫌なら、俺の言う事を全て認めろ。それがお前の生きる道だ」


長い沈黙の末、山本は口を開いた。


「・・・わかった。僕は本当はストーカー犯じゃない。真犯人の海月に野田先生との関係を脅されて、先生と一緒に片山さんに嘘を付いた。僕は・・・六条君の言う事を全て認める・・・」


「マジかよ!」


「山本お前、そっちだったのか!」


「信じられねえ!」


「山本君、私は応援するからね!」


「BLめしうま、それを汚した海月は死ね!」


六条はさながら名探偵の決めゼリフの様に片山へ言う。


「って事だ片山。お前は海月の掌で踊らされていたんだよ」


しかし片山は引き下がらない。


「最後は脅して認めさせたくせに!そんなの信じられる訳無いじゃない!」


「まあお好きにどうぞ。場の趨勢は決してる」


「どういう事よ?」


確かに場は決していた。


女子達からは山本に同情的な声がかけられ、海月には罵声が浴びせられていた。

流石に男子達はドン引きした顔で山本を見ていたけど。


一度は場の空気を変えた片山の証言はもはや何処かに消えていた。


片山は俺を見て悲痛な声で呼びかけて来た。


「海月君、どうして本当の事を言わないの?否定してよ!」

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