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57話 龍王に魔族に六条に…獲物だらけだオイ!

カガリの視点に戻っています

空飛ぶ馬車に乗ってドバシェックの街付近まで来たところで、俺たちの前に、巨大なドラゴンが姿を現した。


ミミが言うにはあれが龍王ヴァルグリッドらしい。


龍王・・・・・俺の称号を無理矢理奪い取った憎き相手だ。


目の前のデカブツが奴だと知った瞬間、全身が熱くなり、心身が冴え渡るのを感じた。


体が自然と戦闘態勢に移行したのだろう。


しかし、アールが出してくれた街のズームアップ映像を見たとき、龍王どころじゃない位の衝撃が俺の全身を駆け巡った。

かつて無い位に鳥肌が湧き立ち、闘志だって更に、更に、更に熱く燃えたぎって来た。


「六条おおおぉぉぉ!!!」


俺は思わず声を荒げた。


ホリーは俺の声から事情を察すると、顔を気合いに漲らせた。


「カガリ殿、あヤツが六条ですね?カガリ殿を地獄へ追いやった憎っくき仇、私も是非一太刀浴びせてやりたく思います」


すると、アールも完璧なる無表情で・・・・・ん?


今、アールの顔が一瞬、ピクリと動かなかったか?しかも怒りの表情に。


しかし、それは一瞬で、すぐに元の完璧なる無表情に戻った。


アールの表情を動かすって、どれだけ怒らせてるんだよ?六条!


「ホリー、抜け駆けは禁止よ!あれはカガリが討ち果たすべきヤツだから。でも私は10太刀くらい浴びせてやるけどね!」


「アール様、ずるいですよ〜!」


事情を知らないミミも、その超絶美少女顔をムムッと引き締めた。


「カガリの仇なら、私も手伝う」


俺はミミの頭を優しく撫でた。


「ミミ、ありがとう!・・・ホリーもアールもありがどうな!俺は良い仲間に恵まれたよ!・・・でも、ここは全部俺に仕切らせてくれないか?俺ってば今、猛烈にはらわた煮えくり返ってるんだよ」


ホリーは俺の前に片膝をついて礼を捧げた。


「はっ!カガリ殿の仰せのままに!」


アールは小さく頷いた。


「良いわよ。存分に暴れなさい!」


≪今なら少しくらいの無茶振りでも対応してあげるわよ!≫


・・・助かる!


ミミは一言、しかし力強く


「ん!」


頷いた。



龍王と魔族、そして六条がいるその周囲では、遅れて到着したらしい数十匹のドラゴンとその倍くらいの数の魔族が戦っていた。


先行したドラゴンは・・・・・街の中に山積みに折り重なっていた。


恐らく死んでいるのだろう。


これはやはり、魔族がドラゴンを誘き出し殲滅する為の罠だったのか?


ならば、龍王が魔族に倒される前に、


・・・先に俺がボコっとかないと勿体ないだろ?


≪記念すべき初撃のターゲットは決まりね!≫


・・・ああ。的もデカいしド派手に一発、ぶちかましてやるか!アール、龍王をスキャンしておいてくれ。ダメージコントロールをする。死なないギリギリを攻めていくぞ!


≪カガリ、やる気ね!≫


・・・トーゼンだ!


馬車は戦闘中の魔族とドラゴン達の間をすり抜けて、ついに龍王達の間近まで到達した。


この距離まで来て改めて龍王の巨大さに驚かされた。


・・・ホント、デカすぎだろ


あの時・・・俺が称号を剥奪された時は、龍王は俺たちと同じ人間の姿だった。


あの時の情け容赦無かった男の真の姿がこれか。


こんなデカい図体して、龍王なんてご大層な称号を持って、さぞかし強いんだろ?権力者なんだろ?望めば大抵の願いは叶うんだろ?


そんな恵まれたヤツがよくもまあ『ただ弱いだけ』の、『仲間であるはずのクラスメイトから非難されて打ちひしがれていただけ』の、『只々なすすべ無く背中を見せて逃げるしか無かった憐れなヤツ』から情け容赦なく称号を取り上げて絶望の淵まで叩き込んでくれやがったな!


「ド派手に行くぞ!ファイヤーーー!!!」


俺は右手のひらを龍王の方へ突き出し、そう叫んだ。


右手のひらは、既にナノマシン集合体によって手袋状に覆われており、そこから特大のビーム砲が飛び出した。


ビーム砲は、一瞬で龍王の体に到達すると、


ドカーーーーン!!


大音声と共に大爆発を起こした。


「うぐおおおぉぉぉ!」


爆炎の中から龍王の苦しげな声が上がった。


・・・アール、どうだ?


≪全然。致命傷なんて程遠いわね≫


・・・よし。じゃあまだまだブチ込めるな!


付近に馬車を着地させて、


俺、アール、ホリー、ミミ、の4人は馬車から降り立った。


「よっしゃあ!まずはクソデカい的へ挨拶がわりに一発ぶちかましてやったぞ!」


「挨拶じゃないでしょ?こういう時は『復讐の狼煙を上げてやったぜ!』よ!」


「さすがカガリ殿です。あの龍王様を一撃で粉砕するとは!」


「クソ親父ざまぁ・・・スカッとした」


「ホリー、ミミ、こんなのまだまだ前菜にもなって無いぞ?これからが本当の復讐タイムだ!」


「おい貴様・・・ウソ月野郎・・・なのか?」


六条が信じられないと言った面持ちで尋ねてきた。


「カガリ殿、やはりあの無礼者の首を討ち取って良いでしょうか?」


「ダメって言ってるでしょ!」


アールはそう窘めつつ、ホリーの背後からバインバインを豪快に鷲掴みにした。


「ひゃあ!なななななにを?!アール様、おやめくださいぃぃ!」


・・・ははは、賑やかだな!


でも、こういう砕けた雰囲気の方がやりやすい。

だって、こんなおあつらえ向きの局面、どうしても熱くなり過ぎるだろうしな。

多少の冷静さは必要だ。


初撃を食らって沈黙していた龍王が再び口を開いた。


「うぐぐ・・・いきなり攻撃とはぐぼばあ!!」


ドカーーーーン!!


「お前は黙ってろ!」


俺は龍王の口めがけて再びビーム砲をぶち込んだ。


するとお次は、魔族のボスクラスっぽい男が口を開いた。


この男は初対面だが、コイツら魔族のせいで、ミミの仲間達は残らず殺された。


当然、容赦はしない。


「ふん、問答無用で攻撃とは・・・余程、龍王に恨みがあるのでばだおおあっ!」


ドカーーーーン!!


魔族の頭にもビーム砲を叩き込んでやった。


そして俺は言った。


「正解だ」


ふと周囲を見るとクラスメイトの滝座瀬と三津島がいた。

2人は唖然とした顔で俺を見ていた。


他にクラスメイトはいない。

どうやらこの場には3人だけの様だ。


俺は空に浮いている六条を見上げた。


「よお、六条、久しぶりだな!俺を地獄の底へ落としておいて、自分はお友達と楽しく冒険ごっこか?良いご身分だなあ・・・俺も混ぜてくれよ?」


「フザケるな!貴様がなぜここにいる?それと今の攻撃はどういう事だ?お前の称号は破損している筈だぞ!」


「へえ。破損の事、知ってるんだな・・・ならお前が俺に何をしたのか自覚はあるって事だよな?」


「自覚だと?そんな事はどうでもいい!答えろ!なぜ破損野郎の貴様にそんな攻撃が出来る?あとその女達は何だ?どこで手に入れた?!貴様は一体どんな手品を使いやがったんだ?!」


「・・・お前に答える事なんて何一つ無い。それと、俺の事は良いけどコイツらを侮辱するのはマジで許さないからな!」


アール、ホリー、ミミ、3人の事を「どこで手に入れた?」だと?


物みたいに言いやがって!

フザケるなよ!


その時、俺はある事を思い出した。


俺はたまに想像する時があった。

いつか六条に会った時、果たして俺はどんな行動をとるのか?


勿論、復讐する。

これは確定事項だ。


そう決めてはいるが実は・・・一つだけ不安があったんだ。


それは、六条が名実共に『本物の勇者』に変わっていた時だ。


もしコイツが本気でこの世界の為を考え、自分を犠牲にして、仲間や多くの人々の幸せの為に命を賭けて戦っていたとしたら・・・・・


単なる称号じゃなく、心から『本物の勇者』になっていたとしたら・・・・・


その時、俺はどう動くのか?


俺は復讐できるのか?


そして六条を許すのか許さないのか?


そんな考えに囚われて急に不安に襲われた事もあった。

本気で吐きそうになるくらいに。


しかし、それは全くの杞憂だった。


やはり六条は・・・・・思った通りのクズだった。

いや、それ以上だったな。


あー胸のつっかえが取れたわ。


これで、容赦なくぶっ飛ばせる。


俺が手ぐすねを引いた時、思わぬ声が飛んだ。


「バグだ・・・そいつの称号はバグっている」


チッ!龍王め、余計な事言いやがって!


懸念はしていた。

ミミから聞いたのだが、ドラゴンはみんな『鑑定』スキルを持っているのだそうだ。

勿論ミミも持っていた。


・・・余計な情報を六条の耳に入れちまったな・・・いや、待てよ?


六条が、俺の超科学を、称号がバグったせいで偶然手に入れた力だと勘違いしたら面白い事になるんじゃないか?


だって、六条は俺のSSS勇者に嫉妬して称号を奪わせたんだ。


なのに、そのせいで俺がとんでもない力を得たと知ったら、あいつ自分で墓穴を掘ったと思うだろう?


あいつの屈辱と羨望と嫉妬にまみれた顔が思い浮かぶ。


よし、ここは一つ煽ってやるか。


俺は、龍王をそのまま喋らせる事にした。


六条は思惑通り、龍王の話に食いついた。


「バグだと?どういう事だ?」


「分からねえ・・・バグなんざ・・・初めて見たしな・・・まあ破損も初めてだったけどよ・・・ただ・・・破損の時は明らかにぶっ壊れてたが・・・バグってのには・・・得体の知れねえ力を・・・感じるぜ」


「つまり、海月のあの攻撃力や、あんなに良い女達を手に入れてやがるのは、あいつの称号が、バグってるせいって事だな?」


「そうとしか・・・考えられねえな」


龍王さんよ、ここに来て良い仕事してくれたじゃねえかよ。


じゃあそろそろ口を閉じようか。


ドカーーーーン!!


「いっだああああががが!」


「龍王さん、ちょっと口が過ぎたな。俺の秘密をバラしやがって!・・・まあ仕方ないから教えてやるよ。確かに俺の称号はバグってる。けどそのせいでこんなとんでもない力に目覚めたよ。これも称号を無理矢理剥奪してぶっ壊してくれたおかげだよ。感謝の印に力の一端を見せてやろうか?」


そう言うと、俺は、龍王とボスらしき魔族へ総攻撃をかけた。


龍王はどうやら動けないみたいだ。

ただ当てるだけで良い。


魔族は、さっきの攻撃のダメージで地面に落下、やっと立ち上がったがまだフラついている。

次の攻撃は躱せないだろう。


・・・楽勝だな。


「どおりゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃああああああ!!!」


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!


武器をビーム砲からビーム機関砲へアップグレードさせ、両手をそれぞれ龍王と魔族へ向け、何千発ものビーム弾を2人へたたき込んでやった。


ふぅ。


砲撃が終わると、そこには、白目を剥いて舌をだらーんと垂らし気絶した龍王と、上半身が完全に吹っ飛んだ魔族がいた。


「どうだ?俺の『バグ』の威力は?」


俺はわざとニヤニヤ嫌味ったらしく六条へ笑いかけてやった。


六条は・・・・・


・・・よし!


アイツめちゃくちゃ悔しそうな顔をしてるぞ!

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