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5話 SSS勇者だってさ、オイ!

「こりゃ凄え!!SSSだってよ!!」


俺のステータスを除いた龍王が満面の笑みを浮かべた。


龍王は決して大声を出した訳ではないが、興奮気味なよく通る声はクラスメイトの雑談や笑い声をぶち抜いて部屋中に響いた。


「え?」


静まり返る部屋。

いや、凍りついたと言う方が近いか。

静まったのはほんの数秒の出来事だったが、その何倍も長く感じた。


「あは、あはは、あはははははは!!!・・・素晴らしいです!SSSなんて・・・神話ですらそんな称号出てきませんよ!奇跡を超えた奇跡どころじゃない、もはや計り知れませんわ!!」


王女様が狂った様に笑い出した。

もう何でも良いけど鼻水出てるって。


静まり返った室内には龍王の興奮と王女様の笑い声だけが響いていた。


「SSSだって?何だよそれ、コイツは嘘つきでストーカーで、クラスの序列最底辺の野郎だぞ!そんな訳あるかよ!」


一人の男子が声を上げた。

すると龍王はギロリと男子を睨みつけると、


「クラスの序列だと?そんなもん関係ある訳ねえだろ。その海月ってヤツはテメエらより才能があった。それも圧倒的にな。それが全てだよ。グダグタ言ってんじゃねえ見苦しい」


龍王に睨まれ、それ以上は言えなくなった男子。


他のクラスメイトもただただ沈黙していた。


だがそんな中、一人だけ口を開いた男がいた。六条だ。


「念の為に聞くが、SSSってのはSSよりも上なのか?」


「はは、残念だったな少年。貴様もせっかくのSSなのに全部持って行かれちまったな」


「そんな事は聞いてない、SSSはSSよりも上なのか?」


「わかりきってると思うがな。まあいい教えてやろう。そうだ。SSSはSSよりも上だ。それも圧倒的にな」


「圧倒的にだと?何でそんな事が分かる?神話にもどこにも書いてない称号だった筈だが?」


「感じるんだよ、ビンビンにな。お前の称号もヤバイが、海月のはヤバイどころじゃない。まあまだお前らはレベル1だからだたの一般人と変わらねえし分からねえだろうがな。多少のレベルアップでいきなり最強になるって訳じゃねえが、育ちゃとんでもねえそれこそ神話クラスの勇者になるだろうよ。そこに他の奴らが海月の脇を固めたら、正直、魔王なんて全く相手にならねえだろうぜ」


それを聞いた六条の目付きが変わった。


「誰が・・・誰の脇を固めるだと?」


「そりゃお前を含め全員がトップの海月を支えるんだろうが」


「俺が、この害虫の下に付くだと?」


「言葉には気をつけた方がいいぜ。もう立場は変わったんだ。一番格の高い奴に従うのが普通だろ?」


「ふざけるな!俺はSS勇者だぞ!」


「だから、海月はSSSだっての。観念しろ。お前は海月の右腕ってところか?立場としては悪くねえと思うが」


「悪くない訳ないだろ、最悪だ」


ここに来て龍王が俺の味方になってくれた。

ははは悪かったな六条、ここに来て下克上だ!

なんて心の中でザマァしてみる。


けど本気で天狗になった訳じゃない。


実際には、ただただ戸惑っていた。


だってこんな『俺だけ超スゲー』って展開、生まれてこの方なった事ないし、正直どうして良いか分からない。


俺ってば今までは『嘘つき』『ストーカー』『死ね』が通常運転だよ?

いきなり物語の主役になんてなれる訳がないし、優越感だって感じている余裕ないよ。


なんて戸惑ってる今も、六条が凄まじい形相で俺を睨んできている。

勘弁してくれ。


六条は激怒していた。

火に油を注いだ張本人たる龍王は、どこ吹く風で言った。


「まあ後の事はお前らでやってくれ。俺様はそろそろ対価を貰うとするわ。待ちきれねえしな」


はっ、とした王女様が慌てて龍王を取りなした。

「龍王様、まだ勇者の皆様に事情をお話し出来ておりません。じっくりご説明差し上げなければ!」


しかし龍王の方はどこ吹く風のままだ。


「まどろっこしいのは要らねえだろう。俺は義務を果たし終えたからサクッと対価を貰って早く帰りたいんだよ。フアナが説明すると長くなりそうだしな。ついでに俺様が説明もしてやるよ。まあ早い話が、俺様はお前ら勇者を召喚した対価としてお前ら全員から勇者の力を少しだけ分けて貰う契約になってんだよ。

なに、ほんの少しずつだ。それで魔王が倒せなくなる訳じゃない」


俺の称号発表からの更なる衝撃が場を包み込んだ。


「・・・・・・・・・・は?」


「なに言ってるの?」


「どう言う事だ、俺たちの力を奪うのか?」


「言ったろう、ほんの少しだと。取られたからって殆ど影響はない筈だ」


「はあ?ふざけんな!せっかくの力をやる訳ないだろ?!」


「そうだよ!他の対価にしてくれよ!」


龍王が文句を言うクラスメイト達をウザそうに見渡した。


「お前等の都合なんざ知るか。勇者から力を貰うのが今回の契約だ。他は認めん」


「そんな、王女様、何とかして下さい!」


「申し訳ありません。皆様を召喚するには、龍王様だけが持つ勇者召喚の力と、その膨大な魔力が必須でした。精一杯交渉したのですが、魔王討伐に支障のない範囲で皆様全員から少しづつ称号の力を譲渡するという条件が限界でした」


深々と頭を下げる王女様。


六条がようやく俺への睨みを解いて龍王に向き直った。


「俺たちが断ったら?」


「そもそも、その契約ありきでの召喚だからな。召喚された時点で既に契約は効力を発しているのだ。お前らの意思とは関係無く、俺の意思でお前らの力は否応なく奪われる」


「その契約を今から変更する事は出来ないのか?」


「無理だな。まあ敢えて言うなら契約の前提を変えなければ多少は変更可能だが」


「前提の内容は?」


「勇者の力を貰う事だ」


それを聞いた六条はニヤリと笑みを浮かべた。イケメンに似つかわしくない歪んだ笑みだ。


「クク・・・・」


「何が可笑しい?」


「前提がそれなら、正解はひとつだけだろ?」


「何が言いたい?」


「龍王ヴァルグリッド、お前にSSS勇者の力をやろう」


「何を言っている?当然貰うつもりだぜ、ほんの少しな」


「全部やると言っている」


「・・・・・はあ?!」


「前提が、勇者の力を貰う事なら、貰えさえすれば内容は変えてもいい訳だよな?」


「まあそうだが、それは無理だろ。SSSだぜ?最高戦力をみすみす手放すなんざフアナが同意しねえだろ」


「もちろんです!その様な事、許可する筈がありません。六条様、血迷いましたか?!」


「血迷ってなんかいない。それが全てが丸く収まる唯一の方法だと言ってるんだ」


「・・・どういう事でしょうか?」


「仮に海月がSSSの力を持ったままだったとしよう。当然、称号の格的に海月が勇者のトップに君臨する事になる。それで誰が付き従う?

俺たち残りの勇者は誰一人として従わないだろう。魔王討伐に協力もしない。むしろ全力で邪魔するかもな。」


「そんな・・・」


「コイツはクラスカースト最低辺の奴だ。今まで自分より下だと思ってた奴がある日突然、自分より上になってしかもそいつに従わないといけないなんて、受け入れられるか?ここにいる誰一人そんな事は受け入れられねえよ」


「それは・・・」

戸惑う王女様、しかし六条が畳み掛ける。


「何でコイツが嫌われてるか分かるか?コイツは嘘つきの常習犯で、しかもストーカーだ。ストーカーってのはな、気に入った女に一方的な劣情を抱いて付きまとい最後には襲いかかる、卑劣な犯罪者の呼び名だよ。

なあ、女子達はいいのか?この野郎がトップになるって事は、お前ら全員、コイツの女にされるって事だぞ、それでいいのか?」


「良い訳ないじゃん!」


「こんな奴の女になるなんて絶対嫌だよ!」


「てかウソ月さあ、死ねば?」


六条が俺のストーカー疑惑を盾に、女子達を煽り、女子達も俺に敵意を剥き出しにしてきた。


完全に俺を蚊帳の外に置いたまま繰り広げられる議論、議題は俺。


そんな中、やっぱりこの子が立ち上がってくれた。


「六条君、言い過ぎだよ。クラスメイトでしょ?」


委員長だ。

四面楚歌の俺を庇ってくれた。

俺には委員長が本物の女神に見えたよ。


「なら初瀬、お前は海月の女になるって事だな?」


「え?そんな事言ってないでしょ?」


「そういう事なんだよ!お前は海月の女になりたいのかなりたくないのかどっちだ?!」


「そんな質問、卑怯だよ」


「卑怯でも何でもない。俺はお前の為を思って言ってるんだよ。コイツはストーカーでお前は4大美人の一角だ。このままだと確実に海月に狙われるぞ?どうなんだ?海月の女になるのか?ならないのか?」


「・・・・・ならない」


「当然だな」


委員長の答えを聞いた六条はそう言うと俺を見た。

勝ち誇った顔で。


「おい海月、委員長もお前を拒否ったぞ」

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