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48話 何か落ちて来たぞ?オイ!

馬車の扉を開けると、そこには超豪華スウィートルームが待っていた。


広々とした部屋には豪華絢爛な調度品が並べられ、それはもう、贅を尽くされた部屋だった。


何で?ここ馬車の中だよね?

超狭い筈だよね?

それが何でセレブの部屋みたいになってんの?


「カガリど...」

「魔法だ!!」


唖然としながら尋ねかけて来たホリーに思いっきり被せて俺はそう誤魔化した。


だって俺もこんなの説明出来ないしさ。


・・・アールさん、どうなってんのこの広さ・・・


≪簡単よ。馬車の空間比率をいじったの。裏ワザを使えば、日本列島くらいの広さにまで出来るんだけど、そんな広くしても意味ないし、この程度あれば充分でしょ?≫


・・・待て待て、日本で俺が住んでた親戚の家って3LDKだぞ?!パッと見余裕で超えちゃってんじゃん!しかも日本列島の広さに出来るだぁ?それって何LDKだよ?!


俺の戸惑いを余所に、ホリーは更にテンション上がりまくっていた。


「何ですか?!馬車なのにこの広さは?!そしてこの豪華絢爛な部屋は一体?!これも魔法だというのですキャー!フッカフカ!」


言い終わる前にソファーにダイビングしてんじゃないよホリー!


コイツ最近、随分とはっちゃけて来たな。まあ堅苦しいだけよりか全然良いけどさ。


≪ふふふ、私がただの馬車で終わらせる訳ないでしょ?そりゃ当然、目的地までの快適な馬車の旅をお約束しちゃうってものよ!キャー!フッカフカ!≫


生アールも何故かホリーの隣にダイビングしていた。


・・・これは、誘いだよな?誘ってるんだよな?


「ははは!驚いたか?ホリー!魔法だよ魔法!魔法最高だろ!ってうお!フッカフカだぜぇ!」


そう言い放つや、俺もホリーの隣へダイブした。


超高級ソファーのフワッフワを堪能する3人。


ホリーはそれはもう緩みきった顔をしていた。


「ふひひ〜。魔法最高ですねぇ〜」


生アールはいつも通り完璧なる無表情でフッカフカを堪能して・・・るんだよな?無表情過ぎて判断つかん!


≪揺れ無し、雑音無し、温度は適温、全自動料理テーブルも更にグレードアップ!トイレはもちろんウォシュレット、お風呂はゆったり大浴場に、しかも温泉!ベッドはフッカフカのダブルベッド、おまけに戦闘訓練用の道場も付けてあげたわ。当然、馬車は自動運転で目的地に着くまで24時間休む事なく走り続けるし、自動迎撃システムで魔獣が襲ってきてもへっちゃら。人間との交渉はダミーの御者が適当にやっといてくれるわ。どう?このセレブ仕様は。超科学という名の魔法をたっぷり味わいなさい!ふひ〜。≫


あ、堪能してたわ。


それにしても何という至れり尽くせりの仕様なんだこの馬車は!これはもうちょっとしたセレブ気分だぞ?そりゃホリーも蕩ける筈だわ。


俺はまたホリーを見た。

とろけ過ぎて超美人顔が台無しになってんぞ!


・・・元々貴族で騎士団長だったんだし、フカフカソファーくらい家に無かったのかよ?


≪は?これ以上の傑作ソファーがこの異世界に存在する訳ないでしょ?だってこの気持ち良さよ、ふひ〜。≫


・・・王侯貴族なら普通にすごいやつ持ってるんじゃないのか?


≪無い無い、だって地球製の最高級品より快適に作ってるんだから。見てみなさいよ、あのホリーの顔≫


まあホリーの蕩け顔はさっきからずっと見てるんだけどさ、そこまで言う割には生アールさんはその完璧なる無表情を崩してないよね?まあ声は相当緩んでるけど。


とにかく、俺的には今まで生きて来た中で一番最高のソファーだと言い切れる。何という贅沢!


鉱山でしばらく過ごした時は、アールが用意してくれたセーフティーハウスで過ごしていたのだが、そこもかなり快適ではあった。

鉱山特有の湿気をカットして、ハウス周辺の虫は完全駆除。

ベッドとソファーはフカフカだし、全自動料理テーブルで料理は食べ放題、トイレは水洗のウォシュレット付き、お風呂も日本の一般家庭用より広かった。


本当に便利で住みやすく快適な部屋だった。


・・・けど、今遭遇しているこの未体験ゾーンに比べると、


格が違う。


何が違うかと言うと、それはもう全てだ。鉱山の家は、それなりに快適だったし何の不満も無かったが、それだけだった。ただ快適に生活する為の部屋でしか無かったのだ。


それに比べて今の部屋は、快適なのは当然として更にその先『幸せを味わい尽くす』その事に特化したような部屋になっていた。


全てがキラキラしていて高級感は限界突破してるし、まるで自分がアラブの石油王にでもなったような、究極の贅沢を味わっている感覚にさせてくれるのだ。


・・・あいつらもあの城で贅沢三昧なんだろうけどさ、これなら俺だって贅沢って意味じゃあ負けて無いよな?


あいつらとは勿論、クラスメイト達の事だ。


俺は召喚された大広間と、称号を剥奪された祭壇のある部屋、そして牢屋と拷問部屋位しかまともに知らないけど、最後にクソ王女に引導を渡された部屋はかなり高級志向な造りだった。


・・・ああ思い出しただけでも腑が煮えくり返って来る。


≪負けてないどころかブッちぎりの勝利よ!だって、あいつら以上のセレブ感をカガリに味わってもらう為だけにこの馬車を用意したんだから≫


・・・アールってばそこまで俺の事を考えてくれてたのか?


≪そりゃあね。カガリがあいつらへの復讐の決意を固めるまでは私も手出し出来ないし、それならせめてあいつら以上の生活をさせてあげるって決めたのよ。だから、最高の贅沢で蕩けさせてあげるんだから!≫


俺は感謝の気持ちを込めて生アールへ頭を下げた。


・・・ありがとう!アールお前、完璧なる無表情なのに、意外と熱い気持ちを持ってる奴だよな!


≪表情が無いのは、我々の科学が進化し過ぎている弊害よ。全てにおいて効率を求め過ぎて、今じゃ娯楽も滅びているし、何事にもそれほど感情が動かなくなってしまっているのよ。だから表情で喜怒哀楽を表現する事もできなくなってしまったのね。まさに退化しつつあると言えるわ。幸い私は地球っていう発展途上の文明で任務を遂行しているから見るもの全てが珍しいし、映画にドラマ、アニメに漫画、ラノベにゲームに、それはもう楽しいコンテンツが目白押しの日本で生活しているから、同胞達よりはだいぶ感情表現が戻っているのだけど、流石にまだ表情は動かないのよね≫


アールの無表情にまさかそんな理由があったとは・・・科学が進化し過ぎた弊害か。


そんな事思いもよらなかったよ。


・・・俺はてっきり『キャラ作り』でやってるのかと思ってたよ。


≪誰が『能面キャラ怖すぎ』だくぉらあぁ!≫


・・・そこまでは言ってないし。


≪とにかく、『キャラ作り』な訳ないから!顔じゃなくて声でパッションを感じなさい!≫


・・・わ、分かったよ。


とにかく、アールの気遣いには感謝しなきゃな。


これからは思いっきり満喫するよ!


でも俺ってば貧乏性だから上手く満喫出来るか分からないけどさ。


そう思って隣を見ると、ホリーが幸せそうな顔で眠りに就いていた。


寝るの早っ!


まだ出発したばかりなんだけど・・・既に俺より満喫してるヤツがいたよ。


ふと、生アールと目が合った。

無言で見つめてくる生アール


ジイイイイイイイ・・・


「な、何か付いてる?」


「別に?」


「最近、心の声ばっかで直接喋らないよな?何で?」


ジイイイイイイイ・・・


またもや無言で見つめてくる生アール。


「・・・・・キャラ作りよ!」


・・・そっちかよ!




暫くソファーを堪能した後、俺はスウィートルームから外に出ていた。

御者台の方だ。


馬車はとっくに走り出している。

かなり快調に飛ばしていた。


それにしても揺れが全く無い。

風も当たらない。


ただ、

パカパカパカ・・・

ガタガタガタ・・・


馬の蹄と馬車の車輪の音だけが響いていた。

なんだか不思議な感覚だ。


御者の隣に座ってみる。

40代くらいの男だ。

なかなか精悍な顔つきのダンディーなおっさんだった。


ん?どこかで見た事があるような・・・


「こんにちは」


「・・・・・」


挨拶してみたけど御者からの返事は無い。


まあダミーって言ってたしな。


俺は暫く座ったまま馬車の旅を楽しんだ・・・・・


・・・・・ん?


ハッと気がつくと、相変わらず横には御者。

馬車は相変わらず結構なスピードで飛ばしていた。


どうやら寝ていたみたいだ。


でもまだ眠い。


俺はまたうつらうつらとまどろみを楽しむ。


そういえば、鉱山では、寝落ちするとモヒカンに鞭打たれたよな。


今は安心してウトウトでき...


ドッカーーーン!!


突然、前方に

何か巨大な物体が落下してきた。


馬がヒヒーン!と鳴いて棒立ちに。

そこに後ろから車両部分が突っ込んで馬を轢き倒した。


ドーン!


馬車は衝撃で止まりまさに急ブレーキの状態になった。


危ない!


普通、この手の事故なら、俺たちは前に吹っ飛ばされて大怪我してる筈だが、しかし実際には何の衝撃も無く、俺達は普通に座ったまま無傷だった。


やっぱりただの馬車じゃなかったな。超安全設計じゃん!


なんて感心してる場合じゃない!

とにかく俺の眠気は吹き飛んだ。


生アールが御者台に飛び出して来た。


「何なの?あれは?」


見ると、その落下物は・・・


ドラゴンだった。

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