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43話 俺って必要か? ・・・おい

≪もう!いい加減、元気になりなさいよ!≫


・・・そうは言ってもさ。


俺は・・・落ち込んでいた。


今朝のホリーとの模擬戦。


お互い全力を尽くした壮絶な戦いが繰り広げられた。


戦いの中で、お互いがお互いを認め合い、絆、そして信頼がどんどん深まっていった。


そして最後はホリーの必殺技を破った俺の勝利に終わった。


負けたホリーも、とてもスッキリした顔をしていた。


本当に良い試合だった。


・・・表向きはな。


ホリーに関しては、言葉の通りだった。


「いやあ、本当に良い戦いでした!あんなに心が湧き立ったのは久しぶりです!またやりましょう!」


そう言って俺に感謝していた。


・・・アール、お前もそうだよな?


≪ええ。とても良い戦いだったと思うわよ。1つ訂正するなら、こっちはまだ余裕があったって事ね≫


アールもそれなりに満足していたようだ。


そして俺は・・・落ち込んでいた。


何故かって?


そりゃ、あの試合、俺だけなーんにもやって無いからだよ!


俺はただ、ぼーっと突っ立ってただけだ。

俺が着ているナノマシン服が自分で動いて、あの素晴らしい戦いを見事に演出してくれた。


それだけだ。


・・・なあ、俺って必要か?


≪バカな質問してんじゃ無いわよ!私はね、全部カガリ、あなたの為にやってるのよ?カガリが欲してるからやってるの。分かる?はっきり言って、私がやりたくてやってるんじゃ無いからね!私がやりたいのは、この鉱山の連中を皆殺しにして鉱山の資源だけゴッソリ頂く、それだけよ。ホリーだって私には必要無いわ。あの時、ホリーと一緒に本スパを倒したけど、私の意思だけならそもそも共闘自体してないし、もっと言えば、ホリーと出会った瞬間、問答無用でぶっ殺してたわよ。それに、スチルヘルモーのデータを取る為にワザと攻撃を受けるなんて面倒な真似もしないし。だってバリアの強度さえ充分過ぎるくらいに上げておけば全く危険が無いって所までは事前のスキャンで判明していたから。ちまちま細かなデータを集める必要なんて一切無し!あんな雑魚何もさせずに瞬殺よ。それに、鉱山を制圧した後だって、ホリーに協力なんてしないわよ?姫を助ける?そんな事する訳ないでしょ。それよりもそんな面倒な事を私にさせようとする元凶の『姫』ってのを探し出してぶっ殺すわよ。見つからなければ、居る可能性のある一帯を全部吹き飛ばすだけだし。あと、ついでに姫やホリーを追い出したモリッツァ何ちゃらって国も滅ぼすわね。だって鬱陶しいから。私をほんの少しだけ煩わせたのよ?ほんの少しだけ!ひどいヤツらでしょ?当然の報いだわ。あ、滅ぼすって『国』という政体を潰すって意味じゃ無いわよ?その国土にある全てを跡形も無くふっ飛ばすって意味よ?まあ、そもそもホリーを出会い頭にぶっ殺してるから姫とかモリッツァ何ちゃらとは出会わない世界線になるけどね。あと、龍王もぶっ殺しに行くわね。だって、ヤツがカガリをこの国に召喚した実行犯だし、はっきり言って最も罪が重いわよ。コイツだけは絶対に殺す。タダでは殺さないわ。思いっきり心を折って、カガリへ謝罪させたあと八つ裂きにしてやるわ。逃げ隠れて見つからない時は、この世界中に指名手配してやるわね。この星の全住民に、龍王の居場所を言わなければ殺すと脅して、実際に見つかるまで片っ端からふっ飛ばして行くわ。それなら誰かが密告するでしょ?ついでに他のドラゴンも全員ぶっ殺すわね。だって、龍王の眷属でしょ?万死に値するし。トカゲ1匹逃がしてやらないから。そのあとはそうね、魔王をぶっ殺すわね。だってコイツを討伐する為にカガリは召喚されちゃったんだから。コイツさえいなければ何も起こらなかった訳でしょ?そりゃ死ぬ以外の選択肢は無いわね。だいたい『魔王』っていかにも調子に乗ってそうじゃない?普通自分で『魔王』なんて名乗る?バッカじゃないの?どうせ弱っちい癖にホント、何様のつもりよ?それなら私の方がよっぽど『魔王』だわ。私はそんなダッサい名前名乗るつもり無いけどね。魔王軍だって、どうせ大した事ないヤツしか居ないでしょ?魔王軍四天王とか名乗ったりしてそうだし。なーにが四天王よ?四バカの間違いでしょ?調子乗ってるだけの雑魚の癖して。あとはそうね。スピーリヒル帝国も滅ぼすわね。まずはあの城の連中だけ残して、国民を全員ぶっ殺そうかしら。街も畑も何もかも焼け野原にしてやるわ。あの城の連中って、国民から金や食料を巻き上げて踏ん反り返って生きてるじゃない?ならあいつら以外全部消してやったらあいつらどうするかしら?威張れる相手が居なくなって、何も巻き上げられなくなったら滑稽よね。何が国王よ。王女よ。ただのハリボテじゃない。奴らの慌てる姿はさぞ痛快でしょうね。あと勇者共だって、国民の支持があってこその特権でしょ?チート能力があっても、崇めてくれる国民達が居なくなったら優越感もクソも無いんじゃないの?ざまぁみろよ!そもそもアイツら、龍王の次に罪深いヤツ等だからね。じっくりとぶっ殺してるやるわ。そうね、まずはヤツ等に私の存在を教えてやるわね。そして、お前たちは選択を間違えたって事を心の底から分からせて後悔させてやるわ。王女は六条なんかよりカガリを選ぶべきだった。称号を剥奪して鉱山送りにすべきは誰だったか?それがカガリじゃなくて六条だったって事を思い知らせてたっぷりと後悔させてやるわ。あと、カガリの前で土下座させて靴を舐めさせてやるのも良いわね。どう?いい気味でしょ?あとは片クリってヤツも同じね。カガリの前で土下座させて靴を舐めさせてやるわ。アイツがカガリを庇った?そんなの何の意味も無いわ。だって結局カガリを助けられなかった訳だし。むしろ罪は重いわね。あとは委員長ね。コイツにはカガリの気持ちを教えてやるわ。カガリはあなたの事が好きだったって。そしてカガリの慈悲にすがる委員長に言ってやるの。『あ、でもあんな仕打ちを受けたからもうあなたの事好きじゃなくなったわよ』って。唯一の助かる希望が途切れた瞬間の顔を嘲笑ってやるわ。最後は六条ね。あいつには、一瞬だけ、私があいつに靡く素振りを見せてあげるの。それで調子に乗った瞬間、『ざーんねんでしたー!あんたなんかに靡く筈ないでしょバーカ!』って言ってやるわ。その時はカガリも何か一言言ってやりなさいよ?勿論、残りのヤツらも一人一人土下座させてあげるからね。仕上げは決戦兵器の『星殺し』を使って、惑星ごとぶっ壊してやるわ。え?残りの人類は関係ないだろ?まさか。関係大ありよ!だって、『落勇者』なんて言ってカガリの事を迫害する奴らよ?万死に値するわ。まだ迫害してないヤツらだって関係無いし。迫害する可能性があるってだけで殲滅対象よ!そうね。全世界へカウントダウンしてあげましょうか。『この星の滅亡まで残り3日』とか。3日もあげるんだから感謝してほしいわね。だって3日あれば残りの命を満喫できるでしょ?≫


俺は、延々と続いたアールの惑星殲滅計画を最後まで聞かされた。


それはもう、本当に、心から、とんでもなく利己的なそれはもう酷い内容だった。

まあ、スカッとする場面も結構あったけどな。


それにしてもアールさ、いくらなんでも邪悪過ぎるだろ!


しかもコイツなら本当にやりかねない気がする。


・・・てか絶対やる!


だからこそ理解した。


・・・分かったよ、理解した。俺ってば、めちゃくちゃ必要だった!


≪当たり前よ!カガリが望んでいないからこそ、今でもこの星は無事なのよ?この際だからハッキリ言うわね。カガリは何もやって無いんじゃないわ。逆よ。全部カガリがやってるの!私はただあなたの意思に沿って動いてるだけなんだから。あと、カガリは何の力も持って無いんじゃなくて、私が使える力の全てをあなたは持っているのよ!そこ、勘違いしないでよね?」


・・・分かったよ。分かり過ぎるほどに。


要するに、


『俺はとんでもない力を手に入れた』


という事だ。


今までだって、アールが持つとんでもない力は理解していた。

でも、あくまで、


『アールに助けて貰っている』


という感覚だった。


俺の中で超科学の力は、どこまで行っても『他人の力』だったのだ。


しかし、そんな生易しいものでは無かった。


アールは俺に『従っていた』のだ。


この異世界においては、

アールが持つ超科学力はつまり、



・・・俺の力なんだ。


≪ビンゴ!正確よ!≫


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