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37話 スキルを極めたいんだよ、オイ!

・・・スキルを極めたい!


≪急にどうしたの?≫


・・・だってさ、せっかく異世界に来たのに今まで魔法もスキルもなーんにも無かったんだぞ?


≪魔法ならバシバシ使ってるでしょ?大魔法使い様!≫


・・・それは嘘モンだし!ホントは魔法じゃないし!


≪魔法みたいな事が出来てるんだから、魔法で良いじゃない≫


・・・それは違う気がするぞ、何だかんだ言っても、超科学は超科学だろ?


≪前からずーっと思っていたんだけど、その『超科学』って呼び方は何なの?あなたの国だと『科学』だと思うんだけど?≫


・・・だからだよ。地球の『科学』を超えてるから『超科学』って勝手に呼んでるだけだよ。何かおかしかったか?


≪ええ。我々の科学水準の正式な呼び名は『第五次限突及び第五次超革新後・超科学』よ≫


・・・長っ!しかも全く意味わからん。あとさ、色々枕言葉が付いてるけど結局の所やっぱり『超科学』じゃねえか!!


≪そりゃ科学の歴史自体が地球とは比べ物にならないくらい長いからね。名前もどんどん余計なものがついて長くなるのよ≫


・・・余計なものって自覚あるのな。


≪まあね。だって長すぎるし、当の科学者達もみんなウンザリしてるらしいわよ?だから我々は略して『五五超科学(ゴゴチョウカガク)』と呼んでいるわね≫


・・・略しすぎて更に意味わからん。五五って何?普通に要らなくね?


≪何言ってるのよ?五五って所が重要なんじゃない!やっぱり光年換算0国民には理解出来ないみたいね≫


・・・ああ!今バカにしただろ?


≪そりゃあ我々から見たら・・・ね。科学レベルで言うなら、地球人はそうね、ネアンデルタール人って所かしら≫


・・・はあ?誰が原始人だコラァ!フザけんなよ?!


≪別にフザけて無いわよ?単純に科学レベルの差を言ってるだけで...≫


・・・そんなに凄いんなら、俺を日本に戻してみろよ!


≪はあ?だからそれは戻せないって言ったでしょ?≫


・・・龍王は出来るぞ?俺達をこの世界へ召喚したし、魔王を討伐したら元の世界へ返してくれるってさ!


≪あ、あれは邪道なやり方だからよ!あんなのを出来てるって言わないんだからね!≫


・・・邪道ってなんだよ?俺にも分かるように言ってくれ!


≪そ、それは機密事項だから言えないのよ!≫


・・・出たな、機密事項!都合が悪くなると使いやがってそのフレーズ!


≪仕方ないでしょ?言えないものは言えないんだから・・・≫


何となくアールのテンションが下がったように感じた。

俺に言えないのを悪いと思ってるのかな?


・・・言えない部分は言えないで良いからさ。言える範囲で教えてくれよ?

俺は何で日本に帰れないんだ?


≪・・・リスクがあるからよ≫


・・・リスク?


≪ええ。カガリがカガリで無くなるリスク。それ以上は言えないわ・・・≫


・・・そうなんだ・・・分かったよ。教えてくれてありがとう・・・その・・・悪かったな、ムキになってた。


≪私こそごめんなさい。地球人をバカにするような事言って。でも、私は地球の暮らしを気に入ってるし、日本の文化は好きよ。ホントよ?≫


・・・別に疑って無いよ。アールってばラノベとかアニメの知識もあるしな。


≪そりゃあ、ずっとカガリを観察してるからね。当然、日本の文化にたくさん触れるし、アニメもラノベもカガリと同じ物を見てるしね。映画や海ドラだって結構詳しいわよ?≫


・・・ん?映画や海ドラ?俺、海ドラなんて見てたっけ?


≪それは私の趣味よ!≫


・・・思った以上に地球満喫してますやんアールさん!


≪まあね。今も、お風呂入りながら海ドラ見てるし≫


・・・満喫しすぎだろオイ!


≪カガリも言ってくれたら、アニメの続きとか見せてあげるわよ?≫


・・・マジで?!


≪マジよ!≫


・・・おおー!神様はここに居た!


≪まあね。これが『五五超科学』の力よ!≫


・・・じゃあそのゴゴ超科学でさ、俺のスキルを分析してくれないか?


≪へえ、あのカガリがアニメよりスキルを優先するなんて、よっぽど興味津々なのね?≫


・・・そりゃ、これからホリーの協力もする訳だし、自分の力を正確に把握しておかないとさ・・・でもアニメはあとでちゃーんと見せて貰うからな!


≪カガリらしいわね。いいわ。ちょっと調べてみるわね≫



しかし、結果は、アールにもよく分からない。という事だった。


≪そもそもバグってるからね。意味不明なのは仕方ないわよ。でも、こんな状態でよくあの時、正常に機能したわね?≫


それなんだよ!


あの時、ホリーがピンチの時、このバグったテレパシーが上手く彼女と繋がってあの必殺技へと繋がったんだ。


まてよ?あれって今も使えるんだよな?


俺はステータスを開いて改めてバグってる箇所を見てみた。


称号 ☆♪○*¥$€(バグ)


スキル テレ☆♪パシー¥$€


パッと見は全くの意味不明、よく見ると、称号はバグ、そしてスキルはテレパシーと読める。


バグについては、今のところ、体には何の異常も感じない。


まあ、破損って表示されてたときも、力が無くなっただけで体調自体は問題無かったしな。

単に称号とそれに伴う各能力が使えないってだけで、体の機能自体には影響は無いのだろう。


問題はやはり、スキルだ。


だって、そんなぶっ壊れてる状況でも機能したんだから。


俺は、意識してスキルを起動させた。


「・・・・・」


何も起きなかった。


≪体内にも何の変化も無いわね。以前使った時は、バイタルに色々な変化が起こったんだけど・・・≫


・・・バイタル?


≪ええ、呼吸とか体温とか脈拍とか、あとは脳波とか色々ね≫


今回はそれが全く変わらないという。

何でだ?スキルの起動は、以前と同じ感覚でやっているし問題ない筈だ。

じゃあ何が違うんだ?


俺はあの時の事を1つ1つ思い出そうとした。


あの時はホリーに俺の想いを伝えようとして、それで必死に・・・・・あ。


・・・これって想いを繋げる相手が必要じゃん?


≪そりゃそうでしょ?≫


・・・気付いてたなら言ってよ。


俺は、廊下を歩いてホリーの部屋の前まで来ていた。

アール曰く、ホリーはさっき自分の部屋へ入ったらしい。


早速、部屋のドアをノックしようとすると、


≪ここでテレパシーを使って呼び出してみれば?成功したらホリーを実験に付き合わせる手間も省けるし≫


・・・そうだな。ならやってみるか?


こうして俺の俺による俺の為のホリーの部屋の前での死闘が始まった・・・


まず、精神を集中し、ドアの向こうにいるホリーを意識する。


そして、ホリーへ俺の想いが伝わるように、心を繋げるパスを飛ばした・・・つもりなのだが・・・


繋がらない。


≪ダメね。バイタルも変化無しだわ。あ、1つだけ変化あったわよ、カガリってば、女子部屋の前だから緊張してるでしょ?≫


・・・はあ?してないし!てか、スキル上手く使えるかなー?っていう感じの緊張だし!


俺は再びチャレンジしてみた。

しかし失敗。


≪あ、さっきより変化したわよ!≫


・・・え、マジで?!


≪さっきより緊張の度合いが増したわよ。あと、少し興奮も混じって来たわね。もう、エッチなんだから!≫


・・・お前がそんな事ばっか言うから意識しちゃったんだろうが!


そのあと俺は何度も何度もチャレンジしたけど、全くスキルが起動する気配は無かった。


・・・ハァ、ハァ、


≪心の中で息を切らすなんて、器用ね≫


・・・ほっとけ!心が疲れてるんだよ!


だってさ、女子の部屋の前で何やってんだよ?俺。変態じゃあるまいし。


・・・なあ、アール、あの時は有って、今は無いものって何だと思う?その違いが壁を突破するヒントだと思うんだけど?


≪うーん、何だろ?あの時は、ギリギリの緊迫感があったわね。今はカガリが緊張したり興奮したりしてるだけだし≫


・・・そこはもう良いから!


≪あとは・・・覚醒かな?あの時は通常の覚醒に加えて、その3倍の超覚醒まで使ってたから、脳内も体も今とは比べ物にならないレベルだったわね≫


・・・ならアール、またアレを...


≪ダメよ?あれは簡単に使って良いものじゃ無いから。練習ごときで簡単に使わせないわよ?≫


・・・分かったよ。


俺は諦めてもう一度、チャレンジした。今度は、あの時の状況を思い出しながら。


スパガーラの触手に手足、そして首を縛られているホリー。

首の触手が徐々にキツくなり、苦しげな表情が更に歪むホリー。


・・・早く!何とかしないと!


しかし触手は容赦なくホリーを締め上げ続ける。

苦悶の表情のホリー、何か喋ろうとしているが、首がガッチリと締まっていて全く言葉にならない。


・・・ダメだ!早く助けないと!ホリーが死ぬ!早く何とかしないと!俺が!助けないと!!


ホリーが苦しげに俺を見ている。

そして、声にもならない声で・・・


「たす・・・けて」


バタン!


俺は目の前のドアを開いて部屋の中へ飛び込んでいた。


「ホリー!無事...」


「・・・・・へ?」


「・・・・・か?」


ホリーは・・・下着姿で・・・お着替え中だった。


「き、きゃあっ!・・・カ・・・カガリ殿・・・これは一体、どういう事ですか?」


咄嗟に体を隠すホリー。

そして俺に詰問した。


「あ、いや、今、部屋の中から、『たすけて』って声が聞こえたから・・・・・」


「今?『たすけて』と?私が?声と言えば、先程小さな『くしゃみ』をしたくらいで、そのような言葉は発しておりませんが?」


ホリーの目が驚きから疑いへと変わっていく。


「くしゃみ?いや確かに『たすけて』って・・・」


「カガリ殿、その言い訳はいくらなんでも無理があり過ぎます!私のハダカを見たいのなら見たいと男らしくそうおっしゃって下さい!・・・しかし今はゴニョゴニョ・・・心の準備がゴニョゴニョ・・・勝負パンツも履いてないしゴニョゴニョ・・・」


後のほうはゴニョゴニョ何を言っているのかさっぱりだったが、俺が覗き目的の変態と思われているのは分かった。これはマズイ!


「いや、俺はそんなつもりじゃ・・・」


「そんなつもりじゃ無い人が、いつまでガン見してるつもりですかっ!」


「ご、ごめんなさい!!」


その後、俺はホリーの部屋の前の廊下に正座させられて、小一時間お説教を食らったのだった。


・・・はぁ〜。俺はホリーの部屋の前で一体何やってたんだろ?全く。


≪はは、災難だったわね。それにしてもホリーの『へっくしょーい!』ていう豪快なくしゃみが、『たす・・・けて』なんてか細い言葉に聞こえるなんて、よっぽど暗示が強く掛かってたのね?≫


・・・は?・・・暗示?・・・なんだそれ?


≪え?ああ、なんでも無いわよ?≫


・・・アール?今なら怒らないから言ってみ?


≪ち、ちょっとね、あの時の臨場感を出すために、カガリに暗示をかけてあの時の状況をフラッシュバックさせてたのよ。軽くよ?軽ーく≫


・・・じゃあ、あの時の事は、その暗示のせいだったと?


≪軽くね。軽ーく≫


・・・ホリーにエロ魔法使い呼ばわりされたのも暗示のせいだったと?


≪お、男の子はそのくらいが元気があってよろしい!≫


・・・アール、ゴォォラああ!!


≪ゴメンってば!怒らないって言ったわよねぇぇ!≫


結局、テレパシーはピクリとも反応しなかった・・・

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