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30話 無茶は承知だよオイ!

ガクン!

脳が・・・回る!回る!回る!爆発したみたいに回転する!


こりゃ、すげえ!!!!!!!!!!


待て待て飲み込まれるな!


探すんだ方法を!


ホリーを無事に助け出す方法を!


考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ・・・・・


今、俺の頭は未だかつて無い位に冴え渡っていた。

もしかするとこれが天才の思考か?

そう思える位の全能感が心を満たす。


頭だけじゃ無い、体も覚醒しきっていた。今ならどんなスポーツをやっても体が自由自在に動くだろう。

勿論、実際にはそれ程変わらないかもしれない。しかし、そう思える程、体の隅から隅までそれこそ全ての神経に至るまで掌握し、支配しているような感覚なのだ。


当然、今の体でスパガーラへ襲いかかっても瞬殺されるだろう。


しかし、俺の頭と体の全神経は、別の答えを掴みかけていた。


これは、魔力か?


体を漂っている違和感、普段は全く気付かなかったが、体中の神経を掌握している今なら感じる。


地球には無くて、この世界に来てからこの身に宿した異物である魔力は、薄っすらと全身を漂っていた。


それを知覚した瞬間、物凄い違和感が俺を襲い、猛烈な吐き気を催した。


「うぐおえっ!」


「おいおい、カガリ殿よぉ!手詰まりになった途端それかよぉ!情けないったらねえぜ?」


スパガーラは、今の俺を、動揺のあまり取り乱していると思ったようだ。

悪い笑みを深めて、更にホリーをいたぶり始めた。


「うぐっ!」


ホリーの首が更に締まる。


・・・ごめん、ホリー、もう少し耐えてくれ。


「そろそろテメエのトドメを刺してやるぜ!今度は左手から触手を伸ばしてな!動くんじゃねえぞ?大人しくトドメ刺されるのを待ってろや!」


そう言うと、スパガーラは、再び魔法詠唱を始めた。




俺は、猛烈な吐き気を堪えながら、ある物を探していた。


この世界に来てから宿った異物、『魔力』を感じ取れるのなら、アレも見つけられる筈だ。


体中の全神経を更に研ぎ澄ませていく。


探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す探す



そして心臓付近に、それは、あった・・・


大きな傷。


実際の体の傷では無い。


外から入り込み体に取り憑いた異物、その異物が傷ついているのだ。


その傷はまるで無理やり皮膚から何かが引き剥がされたかの様に酷く破れ、裂けていた。


・・・これが・・・称号の傷か?


傷は大きく、剥がされた部分は空っぽだった。


この傷を修復できれば、あるいは何かの称号が宿るかもしれない。


・・・アール、アール聞こえるか?見つけたぞ!これを何とか修復したい、協力してくれ!


≪聞こえてるわよ。良くこんなの見つけたわね!私でも見つけるまでかなり時間がかかるわよ?・・・でも残念ながら、完璧に修復するには、今の脳内チップの技術じゃ無理なのよ。こっちの世界から追加の技術情報を送ってアップデートさせないといけないんだけど、かなりの時間が必要なの。今この瞬間には到底、間に合わないわ≫


・・・アール言ってたよな?『下手に弄って余計に壊したらまずい』って。じゃ、下手になら今すぐ弄れるんだろ?・・・頼む!今の俺にはこの傷がハッキリと見えてる。ならアールもすぐに作業出来るだろ?


≪ああもう!ド派手に壊れて二度と修復出来なくなっても知らないからね!≫


・・・いいさ、こんなもの無くなっても、俺にはアールが居るからな!


≪もう、調子良いんだから!じゃあ緊急手術始めるわよ!≫








締められ続ける首、左手でもがきながらホリーは何とか正気を保っていた。


しかし、意識はどんどん薄れてくる。

折角、ここまで来たのに、志半ばで死んでしまうのか?

私にはまだ果たさねばならない事がある。

それを果たさずに死ねるものか!

しかし、気持ちと裏腹にどんどん意識が遠のいていく。


申し訳ありません・・・・・姫様・・・・・お父様、お母様、お二人の無念を晴らせそうになさそう・・・・・カガリどの・・・・・ありがとうごさい・・・・・リー!・・・・・ホリー!聞こえるか?!・・・・・ホリー!通じてくれ!・・・・・頼む!ホリー!俺の声が聞こえるか?!・・・・・届いてくれえ!!!・・・・・殿・・・・・カ・・・・・殿・・・・・カガリ殿?・・・・・ホリー!聞こえるか?!・・・・・はい・・・・・これは、なぜカガリ殿の声が?・・・・・

繋げたんだよ!ホリーの精神と俺の精神を今、繋げてるんだよ!・・・・・ホリー、今お前を助ける方法を考えてるからな!もう少し耐えて・・・・・剣を、カガリ殿、剣を私の左手に持たせてください・・・・・私の切り札を使います・・・・・それで、おそらく勝てます・・・・・分かったよホリー。何とかする!


・・・て事だ、速攻で頼む!


≪余裕よ!任せて!≫




それは全てがまさに一瞬の出来事だった。


ホリーの腰に差さった剣が鞘ごとウネウネと液体状になって浮き上がった。そしてホリーの目の前まで来ると再び元の剣の形に。

鞘は無く抜き身のままゆらゆら揺れている。


ホリーは自由な左手で剣を掴むと闘気を瞬間的に爆発させた。

それは、俺でもビンビンに感じる程の熱量だった。


ホリーが剣を振りかぶり、上段からの一振り。

手足を固定され首を絞め上げられている無理な体勢にもかかわらずそれは凄まじいまでの早業だった。


何も無い空間に向かって振り下ろされた一撃。

無駄振りだったのか?


いや違った。


その一撃は目に見えない衝撃波となってホリーの体5箇所に巻きついた触手を一瞬で消し飛ばしながら触手伝いにスパガーラへ向かって行った。


スパガーラはもう一方の手に5本の触手を作り、それを捻じり上げて鋭いドリルを作り上げていた。


それを今にも俺へと撃ち出そうとしている処へ、ホリーの一撃が触手を消しとばしながら迫ってきたのだ。


「何なんだこりゃあ?!」


スパガーラが焦るも物凄い勢いで迫る衝撃波の一撃は瞬く間に触手と繋がっているスパガーラの右手に到達した。


ズブシュ!


奴の右手が、右腕が、まるでミキサーにでもかけられたかの如くミンチになった。


「ぐげぇ!」


腕の次は肩、そして胴体と顔、最後に腰から下と対の腕を消し飛ばし、最後には全てを無に帰した。


・・・終わった・・・のか?


俺がホッとすると、今まで超高速で回っていた頭の回転が徐々に緩やかになっていき、徐々に、徐々に、徐々に、そして止まって・・・・・暗転した。




・・・・・気がつくと、目の前には二つの巨大な双丘が・・・・・これは・・・・・バインバイン?!


「カガリ殿、気が付きましたか?」


ホリーの声が聞こえたがバインバインに隠れて顔が見えん!


そう、俺は、ホリーに膝枕されていたのだ。

夢にまで見た美女の膝枕!


ああ、後ろ頭が柔らかいー!


って、天国に浸ってる場合じゃ無かった。


「どのくらい寝てた?」


「ほんの20分程です。カガリ殿、ありがとうございました。お陰でスパガーラを倒せました」


「こっちこそ、助けるって言っといて結局、ホリーは自力でアイツを倒して、俺は何も出来なかった」


「そんな事はありません!全てカガリ殿のお陰です。最後、私の意図を感じ取ってくれなければ、ああ上手くは行きませんでした」


「そうか。俺は役に立ったのか?」


「役に立ったどころではありません!本当にカガリ殿のお陰です。このご恩は一生忘れません!」


・・・そうか、俺は役に立ったか。


≪ええ。最後のカガリ、本当に凄かったわ。無茶ばっかりで驚いたし呆れたけど・・・カッコ良かったわよ≫


・・・ありがとう。なんか思ってた活躍とは違ってたけど、何も失わなくて本当に良かったよ。


それに膝枕も最高だ。

何だかんだ言って俺はずっと膝枕を堪能していた。

ホリーも嫌がってなさそうだし、もう少しだけ堪能したいな。


「それにしても最後のあの技、凄かったな」


「あれは『斬導』と言います。物を伝って斬撃を飛ばす技です。物伝いでないと飛ばせないので使い所が限られるのですが、決まれば威力は絶大です」


「ああ、ほんと、凄かったよ。カッコ良かった。」


「そ、そうですか?ありがとうございます。カガリ殿もあのダンジョンボスを一撃で倒したのとか、ドラゴン召喚とか、お借りした聖剣とか、最後の想いが繋がる魔法とか、全部カッコ良かったです!」


「椅子はスルーなのな・・・」


「あれは・・・カッコ悪かったですので・・・」


「だよね」


とにかく、ラスボスを倒した。

これで、鉱山脱出は確定と言えるだろう。


ホリーも無事逃がしてあげられるな。



大きな仕事が1つ・・・終わった!

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