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29話 続『ホリーvsスパガーラ』だオイ

反重力によって剣の重さが無くなる事によって、ホリーの動きに鋭さが増した。

そして今まで互角だったスパガーラとの間に僅かな差が生じた。


そして勢いづいたホリーの大攻勢は凄まじかった。

相手に反撃の隙を与えず攻めに攻めまくっている。


スパガーラはもはや防戦一方で、さっきまで紙一重で躱していたところが、今ではホリーが剣を振るう度に皮が断たれ肉が断たれ、全身から血が滴り落ちていた。


まだ致命傷こそ無かったが、スパガーラの顔からも余裕は消え、ご自慢の筋肉という筋肉からは焦りからか汗が大量に吹き出し、流れ出た血と混ざり合ってそこら中に飛び散っていた。


「最早勝負は見えた。降参するなら命だけは助けてやるぞ!」


「・・・もう勝った気か?お前こそ早く降参して俺の女になれ。この先はもう加減出来ねえぜ?」


「減らず口を!ならば仕方ない、死ね!」


ホリーの剣速が更に増した。


・・・もう時間の問題だな


≪そうかしら?アイツの身体をスキャンしたけど、まだ余力があるのよね。何か隠し玉があるかもしれないわよ≫


・・・マジか?ならホリーに教えてやらないと!


「ホリー、気をつけろ!ソイツはまだ...」


ドゴオオオオオオオン!!!


「ホリーいいいぃぃ!!!」


・・・遅かった。


突然、地面が赤く光ったと思った瞬間、ホリーが・・・爆発した。


「はーっはっはっ!これが俺の切り札、『汗血爆』だ!ホリー、テメエは知ってただろ?俺の称号は魔拳闘士、全身が武器だってな!血と汗をワザとそこら中に振りまいて魔法陣を描く。魔法陣なら詠唱の必要が無えし完璧に不意打ちが成功する。これがスチルへルモーを倒した俺様のとっておきだぜ!」


「お前ぇ!」


スパガーラは得意げに俺を見た。


「本当はテメエへの切り札に取っときたかったんだがな。まあテメエは見逃してやるよ。とっとと俺の鉱山から出て行きやがれ!」


・・・畜生!守れなかった。

もう少し早く警戒を促していれば・・・ホリーの意思とか関係なく2人で戦っていれば・・・


・・・俺はまだこの世界を・・・人の死を甘く見てた・・・


≪別にいいんじゃない?甘くて。そんなにどっぷり浸かる必要無いわよ、この世界なんかに≫


・・・はああぁ?人が、ホリーが死んだんだぞ?!


≪死んで無いわよ?≫


・・・え?


爆発の火柱と煙が収まるとそこには、無傷のホリーが立っていた。


「・・・私は・・・あの爆発で・・・死んだ筈では?」


「ホリーいいぃぃ!生きてた、生きてたよ!!」


≪当たり前じゃない。バリアはあの剣の標準装備よ。鞘から抜いていれば発動するわ。アイツが牛さんを倒したって言うから、念の為さっき取ったデータを基にして牛さんの耐久力より高めにバリアを設定し直しておいたのが効いたわね。それが無かったら焦げ目くらいはついちゃってたかも。どう?スーパーファインプレーでしょ?≫


・・・アールうぅぅ言っといてよおおおぉぉ!でも最高だよぉぉぉゴールデングラブ賞あげちゃうよおぉぉ!


≪何泣いてるのよ、早くホリーに声かけてあげなさい。ドヤ顔で!≫


「ホリー、お前はちゃーんと生きてるぞ!その剣は鞘から抜いていれば魔力障壁が発動するんだよ。遠慮は要らないから勝負を決めて来い!」


「カガリ殿!・・・承知しました!」


ホリーは呆け顔から感極まった顔に、そして最後は剣士の顔に戻りスパガーラへ向けて剣を構え直した。


「では、改めて、行くぞ!」


「だあああ!待て待て待ってくれ、待って下さい!降参、降参します!もう釈放します。大手を振って出て行って下さい!何でも言う事聞きます!だから命だけは助けて!」


スパガーラは観念したのか、大声で捲し立てながら土下座を始めた。

まさかジャパニーズ土下座と全く同じとは思わなかったよ。スライディングはしなかったけどね。

そしてまだ延々と大声で命乞いを続けている。


「助けて!!助けて下さい!!命ばかりはお助け下さい!!どうか、どうかお願いします!!あなたの慈悲におすがりします!!何でもします!!本当に何でもします!!靴だって舐めます!!足の裏も舐めます!!どっちが良いですか?右足ですか左足ですか?

何でしたらそのまま顔を踏みつけてくれても構いません。どうぞ存分に踏んでください!・・・」


情けない命乞いはまだ続いている。

しかも大声で捲くし立てるように。


・・・うるさいわ!


しかも後半は色々趣味が入ってないか?


それを見下ろすホリーは呆れ顔で一つ溜息をついた。


「舐めなくて良い。それに絶対踏まないからな!はあぁ〜。お前の見苦しい命乞いを聞いて闘志が失せた。大人しくするなら命は助けてやる」


そう言ってホリーが剣を鞘に収めた瞬間、地面から何かが飛び出してホリーの体に巻きついた。


彼女が油断した一瞬を狙いすましたかの様な攻撃。


よく見るとホリーの首、右腕、両足、そして剣の柄を握る右拳の5箇所に白くて細い紐の様な触手が何重にも絡み合いながら巻き付いていた。


触手はホリーの足下から地面を突き破って伸びて来ており、土下座から立ち上がったスパガーラの右手の5本指まで繋がっていた。

おそらく土下座した時に地面についた手の指からコッソリと地面に潜らせて攻撃したのだろう。


剣を鞘に納めた時のバリアが消えた瞬間を狙われた。しかも剣の柄を握った右拳と右腕を封じられているので、剣を抜くことが出来ないでいる。


別の触手によって直接首を絞められているホリーの顔が歪む。


「うぐぅ・・・」


左手で必死に首の触手を剥がそうとしているが触手はビクともしていない。


「くはははははは!!!引っかかったな油断しやがってバカが!俺様が命乞いなんぞする訳ねえだろうが!魔法詠唱の時間を稼いでたんだよ!!」


スパガーラは空いている手に持った小さな球体を掲げた。


「この魔道具にさっきの命乞いの声をあらかじめ吹き込んでおいたのよ!そして再生させた。大音量でな!その隙に小声で魔法を詠唱したんだよ。みんなすっかり騙されやがって!スカッとしたぜ全く。おっと動くなよ!カガリ殿よぉ!ホリーの首が一瞬で締まるぜ?!」


・・・くそ、やってくれたなスパガーラ!


まさかそんな手に引っかかるなんて。それにしてもこれは・・・マズいぞ!


≪完全に人質に取られたわね。あの触手は多分、いつでもホリーの首を絞め殺せる筈。それをしないのは、彼女を人質にしてあなたを仕留める為だと思うわ≫


・・・何とかならないのか?!


≪レーザーなら瞬殺できるけどあの触手の動きが読めないわ。男が死んでも自動でホリーの首を折る可能性だってあるし。首に巻きついてる部分を狙うにしても威力が強すぎてホリーにも大怪我を負わせる事になると思う。それにもし威力の調整を間違えると殺してしまう可能性だってあるわ≫


・・・くそ!もっと穏便に助けられる方法はないのかよ!バリアで触手を弾き出すのはどうだ?


『既にホリーの肌に食いついてるから今更バリアをかけても弾き出せないわ』


・・・何だよ、手詰まりなんじゃねえか?


≪ごめんなさい。でも最悪の場合になっても、あなたの身には指一本触れさせないから≫


・・・それじゃダメなんだよ!

俺はホリーを助けたい!絶対死んでほしく無いんだ!


いや別にアールを責めてる訳じゃ無いんだ。


これは俺自身への心の叫びだ。

いくら望んでも結局全部アール頼りで何の力も無い俺自身への。


何も出来ない。

本当に無力だ。


俺は何の為に異世界へ来た?

無力感を味わう為か?

絶望する為か?


違うだろ!


そんなの日本で散々味わった。

嘘つき呼ばわりされ、いじめられ、迫害され、無力感を味わった。


両親は事故に巻き込まれて死んでしまった。

一緒に事故ったのに俺だけは何故か、たった一人生き残った。

その時も絶望感しか感じなかった。

何で俺だけ生き残った?ってさ。


その後、近所に住む親戚の家に預けられだけど、そこでも邪魔者扱いされた。その家の子供からもいじめられた。


どこにも居場所が無かった。


酷く惨めだった。


こっちの世界でもそんな惨めな俺のままなのか?


そんなの嫌だ!


異世界に来た時、SSS勇者の称号を得た時、希望に満ち溢れてた。


何でも出来ると思った。

何でもやってやると、何でも叶えられると思った。


剥奪された?だから何だ?


それで何も出来なくなるのか?


それで諦めるのか?


それで絶望ばかりのあの頃に逆戻りか?


違うだろ?


称号なんて関係ない。俺の覚悟が必要なんだ。

何でも出来ると、やってやると、叶えてやると、その覚悟が!!


・・・アール、今の俺って心身共に死にそうな程弱っていて、脳内スイッチを入れる事で無理矢理心身を覚醒させる事でやっと命を永らえてるんだよな?


≪ええ。ここを脱出したら暫くは絶対安静だからね≫


・・・もっと覚醒させてくれないか?今の何倍も、何十倍も。


≪何言ってるの?!ダメに決まってるでしょ?そんなの自殺行為なんだから!≫


・・・俺の想い、感じてるだろ?

俺は覚悟を決めたんだ。その覚悟ってのは、今は、ホリーを助ける事だ。脳を超覚醒させて頭をこれでもかって位捻ってホリーを助ける方法を見つけ出す!無茶だろうが知った事か!今やらないと俺は・・・・・もう死人も同然だ。


≪・・・分かったわ。でも3倍までよ。それ以上は何を言われても無理だから≫


・・・ありがとう、アール。


≪ああもう!じゃあ行くわよ!≫

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