28話『ホリーvsスパガーラ』だオイ
俺は・・・無傷だった。
スチルヘルモー怒涛の攻撃ラッシュを見事受けきったのだ!
それにしてもバリアがここまで鉄壁とはな。
流石に自分でも驚いてるよ。
だってさ、いくら大丈夫とはいえ、敢えて攻撃を受けるなんて怖いに決まってるだろ?
生物の本能から来る命の危機をビンビンに感じたよ!
それでも目だけは一度も閉じなかった。
俺ってばやるじゃん!
そしてスチルヘルモーの怒涛の攻撃ラッシュに最初こそビビりまくってたけど、途中からはもう攻撃され慣れてき始めて、最後はスリルを楽しむ余裕まで出てきちゃったよ。
俺は何事も無かったかの様にゆっくりと立ち上がった。
「ぐもはあっ、ぐもは...」
やりきった顔をしていたスチルヘルモーが固まった。
そして徐々に信じられないって顔に変わっていく牛さん。
中々どうして多彩な顔芸だな。
目ん玉が半分くらい飛び出てるぞ!
・・・なあアール、そろそろ反撃していいよな?
≪ええ、待たせたわね。一撃で決めるわよ!≫
再びの閃光。
それはさっきよりも数段、強烈な光だ。
そして目の前には、全身溶鉱炉の如く赤くドロドロに焼けた塊が・・・ほんの少し前までスチルへルモーだったものがドロッと鎮座していた。
「カガリ殿!お見事です!!」
ホリーの声が飛ぶ。
驚愕に慌てふためくのはスパガーラだ。
「待て待て待て!テメエの魔法、反則過ぎんだろ!何だよその威力は?!俺の眷属はダンジョンボスだぞ!俺のパーティー6人を含めた冒険者100人からなる大規模攻略隊が総がかりで挑んで99人までが死亡し、俺自身も瀕死の重傷を負いながらやっとこさ倒せた魔獣だぞ?それにテメエさっきからずっと無詠唱じゃねえかよ?!」
やっぱり相当強かったんだなスチルへルモーって。
あっさり倒したからイマイチ実感出来なかったけどさ。
あと、魔法って詠唱有りが普通なんだな。スパガーラもさっき詠唱してたし。
まあチート賢者クラスになると無詠唱が出来るってのはラノベのお約束だし、言い訳は何とでも出来るだろう。
それよりこれで2対1になった。
「ホリー、こっちは片付いたぞ。そっちの手助けしようか?」
「いえ、私の方もこの魔剣のおかげで絶好調です。コイツは私にお任せ下さい!」
「分かった。けどヤバくなったら手を出すからな」
「承知しました・・・けやああ!!」
剣を下段に構えつつスパガーラに突進するホリー。
「舐めるな!」
ホリーの下段からの斬り上げを紙一重で躱すスパガーラ。
そして躱しざまホリーへ回し蹴りを放った。
ホリーも紙一重で蹴りを躱した。
そこでホリーの体勢が崩れた隙を突いてスパガーラが正拳突きのラッシュを放つ。
更に体勢が崩れるホリーだが、何とか剣で一振りなぎ払ってスパガーラを下がらせた。
そして体勢を整えたホリーが突っ込み、刺突のラッシュを放つ。
スパガーラは両足に加え両手も使いながら器用に飛び退り、突きの全てを躱した。
それら一連の流れが僅か一瞬の間に行われていた。
お互いに相変わらず速い。
そのまま一進一退の攻防が続く。
二人ともやはりかなりの実力者だな。今のところは互角ってところか?
戦いの中でスパガーラは武器を使っていなかった。
全てパンチと蹴りでホリーの剣に相対している。
スチルヘルモーを呼び出した指揮棒の様な武器も腰にぶら下がったままだ。
もしかして武器を使うまでも無いって事か?
ならスパガーラはまだ余裕って事だけど、
・・・ホリーは大丈夫だよな?
≪今のところは互角ね。それにしても、スパ様かなりやるわね。でも武器については温存してるんじゃ無くてもともと格闘スタイルなんじゃ無い?≫
・・・そうだよな。拳闘士とか格闘家とか喧嘩屋みたいな称号なのかもしれない。
なら正真正銘、互角って事だ。
それにしてもスパガーラのヤツ、ちょこまかと!
・・・ってあれ?さっきまでは殆ど見えなかったんだけど今は二人の動きを多少だが目で捉えられている。これって・・・
俺はある事実に思い当たった。
「ステータスオープン!」
名前 海月加架梨
レベル21
称号 破損
HP 2/30
MP 0/30
攻撃力30
防御力30
素早さ30
魔法攻撃力30
魔法防御力30
器用さ30
頭脳30
スキル なし
魔法 なし
・・・やはりか。
スチルへルモーを倒してレベルが上がったようだ。
さっきまでレベル1だったのに一気にレベル21にまでなっていた。
どうやら俺が倒した事になっているらしい。
・・・実感ないわ。
≪何言ってるのよ、胸を張りなさい!≫
アールはそう言ってくれてるけどさ、まあラッキーと思っておこう。
相変わらず称号は無理やり引き剥がされた影響で破損したままだ。
スキルと魔法の欄は『なし』になっている。
レベルアップしたら何か覚えるかも。と期待していたけど、この感じだと無理っぽいな。
実は、SSS勇者の称号があった時には、スキルと魔法もいくつか所持していたのだが、称号剥奪と同時に消えてしまったのだ。
確かスキルはこんな感じだったと思う。
異世界言語
体力回復[極]
魔力回復[極]
経験値10倍
マッピング
毒処理特効
そして魔法は確か、
火魔法[極]
光魔法[極]
だった筈だ。
何で細かく覚えてるかって?
そりゃ自分に与えられたチート能力だし、思いっきりチェックしてたからな!
・・・そう言えば、異世界言語スキルも奪われた筈なのに、何で未だに異世界言語を話せてるんだろう?
≪それは、スキルを持っていた時に、全ての言語知識が脳にインプットされたからじゃない?その後スキルが無くなっても、脳に刻まれた知識が消える事は無いしね。現に、カガリの脳内にあらゆる異世界言語の知識が刻み込まれているわよ?≫
・・・そうなんだ。スキルってマジでチートだよな。これで受験勉強したかったよ。もう必要無くなったけどさ。
そんなチートだらけの異世界能力だけど、
ステータス的にはそれ程上がっていなかった。
レベル1の時が各ステータス10だったので、レベル21で各ステータスが30という事は、1レベル上がる毎に1づつ上がってるって計算になる。
おそらく、称号があれば、この数値の上がり幅がもっと高いのだろう。
しかし称号の無い俺は、その上がり幅が最低になっているって事だ。
これがSSS勇者のままなら、もの凄い勢いで上がって行ったんだろうと思うと、
・・・勿体ないなあ。アイツらに奪われなければなあ。
≪あら、別に良いじゃない。あなたには私が付いているんだから≫
・・・それもそうか。
≪そうよ。因みに、戦いが見える様になったのはレベルのせいってより私のお陰なんだからね≫
・・・そうなの?!
≪ええ。あなたの視覚データを脳内チップを通して補正しているのよ≫
・・・そんな事出来るんだ、凄え!
『余裕よ!』
・・・超科学ぱない!アールさん頼もしすぎるよ!
≪じゃあもっと凄いものを見せてあげるわ!ポチッとな!≫
・・・なんかボタン押した?一体何が始まるのか?ちょっとワクワクする。
「むむ!これは?!カガリ殿、一体この光は?」
驚くホリーを見ると、彼女の剣が淡く光っていた。
途端にスパガーラが焦り始めた。
「て、テメエ!何しやがった?!手は出さねえ約束だろ?汚ねえぞ!」
・・・いや、手を出さないって俺とホリーの間の話だから、お前が言う筋合い無いから。てかあの光は何なんだ?
≪演出よ!≫
・・・このタイミングで演出来たー!
≪光は演出だけどそれとは別にちゃんと効果も発動してるわよ≫
・・・その効果を知りたいんだってば!
≪反重力って言ったら分かるかしら?≫
・・・反重力?まさか、重力を無効化して重さを無くしたり浮き上がったりするアレか?
≪その通り。地球でもSF小説や映画でよく出て来るアレよ≫
・・・宇宙人っぽいワード来たー!!
「カガリ殿!この魔剣はとんでもないですね!まさか重さを全く感じなくなるとは!これなら負ける気がしない。行くぞ!」
「ちょっと待て!ソイツが手を出したから反則だって...おい、待て!俺の話を!って速っ・・・速いっ・・・なんだこの剣速は?!」
・・・さっきまで互角だったスパガーラが防戦一方になっているんだが・・・もしかしてそう言う事か?
≪ええ、そう言う事。力が互角なら少しの変化でも均衡が破れるって事よ。反重力の効果で剣の重さが消えた分、ホリーの動きが速くなってパワーバランスが崩れたのよ≫




