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17話 ワガママな俺でゴメンな?オイ

≪さあ、話はこれくらいにしてそろそろ動き出しましょう!≫


・・・ごめんちょっと待って。ここって俺みたいに無実なのに閉じ込められてる人とかいっぱい居そうなんだよ。

アールも記憶見ただろ?馬車の中の会話。拷問でぶっ壊れた人とか、政治犯もいるみたいだし、当然、俺みたいに『いちゃ都合が悪い』って理由の人もいるだろうし。俺一人で逃げるんじゃなくてここで働かされてる人達をみんな解放する事って出来ないかな?


≪敵を片っ端から殲滅して鉱山を解放すれば可能でしょうけど、それはオススメしないわね。だってここの労働者達が全員あなたみたいに無実の人間とは限らないでしょう?実際、犯罪者も沢山居るだろうし。そんな奴らも一緒に逃げちゃうわよ?それにここの人達ってみんなガリガリで今にも死にそうじゃない。足手纏いにしかならないわね≫


・・・確かにアールの言う通りだけど、でも俺一人だけ逃げるのは何だか他の無実の人に申し訳ない気がするんだよな。綺麗事言ってるのは分かってるけどさ。


「おい!」


突然横から声をかけられた。


ビクっ!としたけど、監視役に見つかった訳ではなかった。


見ると、少し先で採掘していた男だ。

男はフラフラと近寄って来てヒソヒソ声で話しかけて来る。


「何だよそのギラギラした服は?それに何で手足の鎖が無いんだ?」


「いや、これは・・・」


「もしかして逃げるのか?なら頼む、俺も連れて行ってくれ!」


そう言うと男が俺にすがりついて来た。


「おいやめろって!」


「俺はもうココには耐えられねえ。このままじゃ死んじまうよ。何でもするから連れて行ってくれよ!」


必死に縋り付いて来る男。

しかしガリガリにやせ細っていて掴んでくる力も弱い。


とても一緒に逃げる体力は無いだろう。


・・・参ったな


≪言ったでしょ?足手纏いにしかならないって。仕方無いからあなたの迷いを断ち切ってあげる。そいつに今から言う質問をしてみて≫


・・・分かったよ。


俺は意図が分からないまま男へアールが言った通りの質問をしてみた。


「あんたは、犯罪を犯してここに入れられたのか?」


「違う!俺は犯罪なんかしちゃいない!」


≪嘘ね。そいつは何らかの犯罪を犯しているわ。しかも強い否定だからそれなりに重い罪を犯している可能性が高いわね≫


・・・そんな事がわかるのか?


≪ええ。そいつの体をスキャンして、今の会話で起きる体内反応を確認したのよ。あなたの知ってる知識で言うと嘘発見器みたいなものね。精度はもっと正確だけど。じゃあ次はこれを聞いてみて≫


「あんたは人を殺したのか?」


「こ、殺してない!犯罪は犯して無いんだ!俺は、無実の罪で入れられたんだ!」


≪これも嘘ね。こいつは100%殺人を犯してるわね。どう?助ける必要はないでしょう?≫


・・・マジか?


≪勿論よ。なんならもっと詳細に聞き出してみる?≫


・・・そうだな、頼む。


俺はアールに指示されるまま質問を重ねた。

その結果、判明したのは、


この男は、奉公先の同僚を殺して金を奪って逃亡した、日本で言う強盗殺人犯だったのだ。


ちなみに納得するまで質問したので俺自身この結果を疑ってない。

こいつは確かに殺人犯だ。


俺は悩んだ。

ここには、罪も無く入れられている人が確実にいる筈だ。

だって俺が入れられてるんだからそれが何よりの証拠だ。


でも、この男のように本物の犯罪者も沢山いるんだ。

もし全員を解放したら、アールが言う通り犯罪者も解き放つことになる。


それは絶対ダメだ。


かと言って、無実の人間を見捨てて逃げるのは心が痛む。

一体どうすれば良いのか?


・・・なあアール、どうすれば良いと思う?


≪私に委ねるなら答えは一つよ。みんな見捨ててあなた1人で逃げなさい。だって私にとって大切なのはあなたの命だけなのよ。冷たいようだけど他はどうでも良いわ。でもあなたがどうしても無実の人を助けたいって思うなら、協力してあげるけど≫


・・・いいのか?


≪まあかなり手間がかかるけどね。鉱山を完全に制圧した上で1人1人に犯罪者かどうかを質問して、犯罪者は逃げないように拘束、無実の人達だけ連れて脱出。って流れになるわ。時間がかかり過ぎるからあなたの覚醒も途中で解除する必要があるわね。そうなると体を休める必要も出て来るから、鉱山に何泊かしないといけなくなるわね。とにかく今日中には片付かないわ≫


・・・だろうな。


あらためて聞くとかなり大変な作業だと実感した。

1人で脱出するだけならともかく、この広い鉱山をたった1人で全て制圧なんて想像つかないし、労働者だって相当な人数なのは間違いない。それを1人1人犯罪者かどうか聞いて回るなんて・・・・・


さてどうしたものか?

考えていると、痺れを切らした男がせっついて来た。


「なあ、色々答えただろ、俺も連れて行ってくれるんだよな?」


「悪いけど、あんたは連れていけない」


すると、男の態度が豹変した。


「おおい!脱走者だ!ここに逃げようとしてる奴がいるぞ!」


男は大声で叫んだ。

鉱道内に声が響き渡った。


こいつ、フラフラのクセしてよく通る声じゃないの!

ってまずい、近くの監視役がこっちに走ってきた。


瞬間、


ピカッ!


バシュ!


閃光と共に監視役の頭が吹き飛んだ。


「なんだぁ!」


「見張りが爆発したぞ!」


「脱走だあああー!」


周囲が一気にざわめき出した。


・・・おいこら!何いきなり頭吹き飛ばしてんだよ!!!


そう、俺の体を覆うナノマシンの服から突然ビームが出て見張りの男を吹き飛ばしたのだ。


≪敵に見つかったから排除したわ≫


・・・つってもいきなり殺さなくても!足を撃って戦闘不能にするとか色々あるだろ?!


≪生かしておくと多少なりともリスクが発生するわ。そこまでして生かす必要性は感じないけど?≫


・・・必要性あるある!何故か?俺の罪悪感だよ!地球人、特に日本人は普通、人殺ししないの!命は大切だって教えられて育つの!


≪でも正当防衛は罪にならないわよね?≫


・・・無理無理今のはかなり過剰な防衛だと思うよってああまた殺すうぅぅ!ダメだってば!!


脳内会話でアールを止めている最中にも近付いて来た見張りがまた1人死んでしまった。ストップストップ!!


≪あなたはここで『死ぬ前提』の労役を課されているのよ。そこから逃げるために立ちはだかる敵を殺す事は立派な正当防衛だと思うけど。少なくとも我が国ではそうよ≫


・・・アールの言いたい事は分かるけどさ、そりゃ俺だってここじゃ酷い目にあったし、何度も鞭打たれたし、ガチで死ぬ寸前だったし、復讐だってしたいけどさ、でもやっぱ俺はまだ日本人だしすぐには割り切れないよ!過剰防衛は過剰防衛だ!


≪そっちの世界でご丁寧に日本の法律に従っていても、向こうが合わせてくれる訳じゃないのよ?

それどころか散々無法を通して来てるじゃない。確かに日本人のあなたには人が死ぬのはショッキングかも知れないけど、殺してるのはあなたじゃない、私よ。だから責任を感じる必要は無いわ≫


・・・感じるってそれは!しかも周りにそんな事分からないじゃん!完全に俺がヤバい奴だと思われてるから!


≪死んだ彼らはここがどういう場所なのか知った上で働いている筈よ。ならこうなる覚悟もあって然るべきだわ≫


・・・ある意味正論だとは思うよ。でもさ、理屈じゃないんだよ!

俺が嫌なんだよ!悪いか?!


≪ここは割り切って考えるべき...≫

・・・やだ!


≪やだ?≫


・・・そう、やだ。確かにアールに全面的に頼ってるのは俺だし、偉そうに命令できる立場じゃ全然無いけどさ、もう少し穏便にできないか?

とにかく、気絶させるだけとかさ、それが無理なら足とか腕を撃って戦闘不能にするとか?とにかく殺すのは無しにして欲しい。俺はこの先アールと気持ちよく協力関係を築いていきたいんだ。一日中観察されてもこの際どうでもいいや、存分にやってくれ。だから頼むよ。アールだってこんな所で観察対象と仲たがいするのは嫌だろ?


≪分かったわ。気絶もしくは腕や足を撃って戦闘不能状態に留めればいいのね?≫


・・・ありがとう!アールが話のわかる奴でよかったよ!じゃあ改めて脱出するとしようか。あとはアールに任せるよ。取り敢えず出口に向かって歩いて行けば良いんだよな?


≪待って、殺さないのなら方針を変えるわ。見てなさい、ここの奴らにとっておきの恐怖を与えて戦意を完全に消し去ってあげるんだから!≫


・・・あれれ?何だかアールのスイッチが入っちゃったよ?何が起きるんだ一体?

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