15話 小6の思い出に浸ろうかな、オイ!
・・・12歳?・・・小6のときか?あの夏見た映画面白かったな。「怪獣モラエドン68」だったかな?
≪ああ、モラエドンね。『ののびったくーん俺様にばっか頼ってんじゃねえぞコラ!』・・・じゃなくて!≫
・・・あれ?違った?
≪ぜんっぜん違うわよ!秋の出来事よ秋!凄いのがあったでしょ?アレよアレ!≫
・・・秋?・・・あれかな?秋の遠足。たしか、オヤツ500円なのにタカヒロが5万円分持って来ちゃって
≪そうそう先生に没収されちゃって、あとで先生達で山分けしたってのがバレちゃって大変な事に。って違ああぁぁーう!!そうじゃない≫
・・・あれ?「うますぎだ棒 納豆味」5000本ノック事件じゃないの?
≪確かにアレも凄かったけど!二宮金次郎像の薪みたく背中に「うますぎだ棒 納豆味」5000本背負って現れたタカヒロは爆笑だったけど!・・・・・
秋にもっと凄い事起こったよね?あなたの人生変えちゃうようなとんでもない出来事が!≫
・・・もしかして、あれの事か?
≪そう!それ!!そのイメージ!それで正解!!それ言ってみて!!≫
・・・俺が、宇宙人にさらわれたヤツか?
≪正解!ご名答!!よくできました!!!それよそれ。てか最初から当てなさいよね!あと、つまらない前振りに一喜一憂してあげたんだから感謝しなさいよね!≫
・・・いや別に頼んで無いんだが?・・・けど、あの事件が何なんだ?
≪あのとき何されたか覚えてる?≫
・・・確か、手術室みたいな所に寝かされていて、体を弄られていたような?
≪そう!正解!埋め込んだのよ。脳にチップを!≫
・・・そうかそうか、チップをね、脳に・・・・・って何やってくれとんじゃコラァ!!!
≪凄んだって怖くないんだから。とにかく埋め込んだの、チップを。今、そのチップを通じて交信してるの!≫
はっ!!!!!!!!!
俺は目覚めた。
今まで鉱石を掘りながら夢の世界にいた。
もしそのまま起きなければ帰らぬ人になっていたかもな。
・・・『かも』ってか絶対死んでただろ?
≪まあ死んでたわね≫
「うおっ!」
≪え?え?何?何かあったの?≫
・・・いや、頭の中で声がしたから。
≪何よそれ?さっきからずっと話してるでしょ。驚いたじゃない!≫
・・・だって、夢じゃなかったのか?
≪現実よ現実。ちゃんと向き合いなさい!≫
・・・お、おう、そうか。
≪とにかく、私の声が来たからにはもう安心よ。本来ならあなた自身とは直接連絡を取ってはいけないルールなんだけど、もうあと数分で死んでたからね。非常事態って事で強制的に介入させてもらったわ≫
・・・そうか。で、お前はダニーだったか?
≪わーいやっほい僕ダニー!ってちがーう!ダニーじゃないんだこれがっ!て、そもそも声からして違うでしょ!女子よ女子!スイーツ大好物!!≫
・・・俺もスイーツ大好きなんだけど?
≪はーい知ってまーす!あなたがスイーツ男子だって知ってますー!そもそもあなたに影響されてスイーツ好きになったのよ私≫
・・・そ、そうなんだ。
≪そうよ!あなたの事は、チップを埋め込んだ日からぜーんぶ知ってるんだから!≫
・・・え?君がチップを埋め込んだの?
≪埋め込んだのは私じゃ無いんだ。120光年レベルの業者に委託したんだけど、そいつらが下手打っちゃってさ、あなたの記憶に残るわ、あなたをさらった時に目撃者も出すわでもう結構な騒ぎになったんだから≫
・・・120光年レベルって何?
≪あー、地球からどの位離れた距離からやって来た宇宙人なのかを表してるのよ。そいつらはたった120光年の奴等だからやる事がお粗末なのよ。ちなみに私達は、60億光年よ!≫
・・・なんか途方も無い話だな。
≪まあこれから慣れるわよ。と言っても、機密事項だらけだから答えられる事項は限られてるけどね≫
・・・じゃあ、これは答えられるかな?君は誰?
≪私の名前はアール。あなたの観察者よ≫
・・・なんで俺を観察してるんだ?
≪それは、機密事項に当たるから答えられないわ。とにかく私はずーっとあなたの事を観察してるの≫
・・・ずーっとって、それってストーカじゃん!
≪まあ、あなたの国の法律的にはそうなるわね≫
・・・ダメだろ犯罪じゃん!
≪私達は別にあなたの国の法律に縛られてる訳じゃないし関係ないわよ。それに、あなたを観察する事は、我が国の方針なの!≫
・・・何で俺の観察が国の方針なんだよ?!
≪だからそれは答えられないの!≫
・・・なんかモヤモヤするな。まてよ?ずっと監視ってさ、もしかして俺の恥ずかしい事とかも知ってたり?
≪安心して。気にしてないから≫
・・・安心出来るかっ!俺が気にするわ!!
と言ってみたけど話のスケールでかすぎてピンと来ないな。まあどうこう言ったって宇宙人相手に何が出来る訳でもないし仕方ないか。
それより監視ってんなら俺がこの世界に召喚されてから今までの事も全部見てたって事なんだよな?
≪いいえ、残念ながら見失っていたの。いきなり消えちゃって通信も途絶えたのよ。普通は地球のどこに居ても、いいえ、1000万光年程度までなら通信出来なくなるなんて事は有り得ないから焦ったわよ。調べたらあなたが消えたらしい場所にエネルギーの痕跡が残っていて、それを手掛かりに何とかあなたにまでたどり着いたのがついさっき。そしたら死にかけてるじゃない。普通ならあなたには接触せずに影から助けるのが規則なんだけど、この世界は理が違い過ぎて、あなた自身の力も借りないと助けられないから仕方なく話しかけたのよ≫
・・・ああ、なる程そういう事か、理解したよ。
≪理解が早くて助かるわ。じゃあこれから...≫
・・・やっぱり俺は正気を失ってたんだな。どうせもうすぐ死ぬんだし、その方が苦しまず逝けそうだからまあいいかな。
≪ぜんっぜん理解して無いじゃない!あなたは正気よ!それどころか今頭の中スッキリしてるでしょ?死なないように意識を覚醒させているのよ。そのクリアな頭で正確に理解しなさい!これは現実よ!≫
・・・これは・・・現実?
確かにさっきまでの朦朧とした意識じゃなくて今は頭の中がスッキリしている。
今勉強したらかなり捗るだろう。
でもそんな事があり得るのか?
確かに俺は小学生の頃、UFOに攫われて手術室みたいな所で宇宙人に何かされた。
それははっきりと覚えてる。
まあ誰も信じてくれずそのせいで今に続く『ウソ月』ってあだ名になったんだけどね。
だけどそれがキッカケで宇宙に興味が湧いて宇宙飛行士に憧れたんだよな。
何度「もう1回宇宙人に会いたい」と思った事か。
けどもし今起こってる事が本当だったなら、夢が叶ったって事だ。
どうせ異世界の鉱山で奴隷のように働かされて死にかけてるんだ。
現実だろうが幻覚だろうがどっちでも良いじゃないか。
俺は今、夢が叶ったんだ!
・・・って事にしておこう。
≪だから現実だって!でもまあいいわ。半信半疑なのは仕方ない。とにかく今は私の声に従ってちょうだい。このままだとあなた本当に死んじゃうから早くここから脱出しないと。援護するからさっさと逃げるわよ!≫
・・・援護するからって言っても逃げるのは無理だよ。監視の奴らが一杯いるし手足も鎖に繋がれてるし。いくら宇宙人だって声だけじゃどうにもならないんじゃ?
≪声だけじゃ無いから安心して。あなたが消えてから今までの視覚データを今チェックし終えたし、状況は把握したから。早速動くわよ!準備するからちょっと待ってなさい≫
・・・俺の視覚データを見た?マジで?
宇宙人の技術なら可能なのか?
確か脳にチップを埋め込んだって言ってたよな?
もしかして改造とかされちゃってんの?俺まだ人間だよな?
≪改造はしてないから。脳にチップが埋まってるだけよ。ただ、そのチップが地球のテクノロジーじゃ理解できないレベルなんだけどね。それが脳に埋まってたからこそこうやって連絡も取れたし助けてあげられるんだからね。感謝しなさいよ!≫
・・・あ、ありがとう。
こんな死に際にまさかの展開だけど、とにかくテンションは上がったよ。
人生最後のサプライズって感じかな。
≪人生最後って、諦めてんじゃないわよ!ちゃんと助けるから!私に任せておきなさい!≫




