「かぐや姫」のエピローグ
---ここまで本編
月へ向かう空を飛ぶ車の中、1人の天女が泣いているかぐや姫に寄り添い言いました。
「どうして最後に羽衣を身に着けると記憶がなくなるなんて嘘を言ったの?」
「私はおじいさんとおばあさんから離れるのが嫌でずっと泣いていたの。今でも嫌だわ。
でも私がずっと泣いていたらおじいさんとおばあさんも泣いてしまうもの。だから私は大丈夫だから泣かないでと思って言ったのよ」
「そっか、あなたは愛を知ってきたのね。形があると言った1つがそれよ。守り、育ててくれた人達への想い、きっとおじいさんとおばあさんもあなたを愛してくれているわ」
「この気持ちがそうなのね」
そう言うとかぐや姫は大切なものを抱える様に両手で胸を抑えました。
また別の天女がかぐや姫に訪ねました。
「男性が苦手なのは変わらない?」
「今も変わらないわ、私を自分のものにしたくて嘘をつく人達ばかり。。。
でも、1人だけ私を守ろうとしてくれた人がいたの。その人とは手紙を送り合っていたわ」
「その人の事を愛していたの?」
「・・それは分からない、でも気になってあの方の手紙をいつも待っていたわ。いつかまた会える時を願って最後に不老不死の薬を渡しました。飲んでいただけたかしら」
また涙を流すかぐや姫に天女は言いました。
「その気持ちが何なのか、もう一度確かめに行きましょうか」
驚くかぐや姫を乗せて車はぐんぐん帝のいる所へと向かうのでした。
--次の日、かぐや姫を連れていかれてしまった帝は生きる希望を失ってしまいました。
「彼女がいないなら、こんな物はいらない」
不老不死の薬を眺めながら帝はそう言うと城を飛び出し、月に1番近い山を目指しました。
山の頂に着いた帝は不老不死の薬を燃やしました。もくもくと天高く伸びる煙を見上げながら帝は手を合わせて願いました。
『もう一度かぐや姫に会わせてくれ』
すると煙の中から空飛ぶ車が現れ、かぐや姫が泣きながら駆け寄ってきました。
「かぐや姫、会いたかった」
「私も帝様に会いたかったです」
こうして不老不死の薬によって、永遠に溶ける事のない、後に不死山と呼ばれる雪山で2人は抱き合い、永遠を誓いずっと幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。