「桃太郎」のプロローグ
昔々、本渡から北東へ数里の所に鬼ケ島という島がありました。
鬼ケ島には人間から鬼と呼ばれる者達がひっそりと住んでいました。
見た目は人間とほぼ同じですが、鬼達にはツノが生えていました。ツノは力によって本数が違い、殆どの者は1本、力の強い者には2本のツノが生えていました。
元々本度に住んでいた鬼達は、その容姿から人間に差別を受けて鬼ケ島に逃げてきたのでした。
そして怯えた鬼達は邪気を寄せ付けないという桃の木を島を囲むように植えて静かに暮らしていました。
しかしある日のこと、そこに大勢の人間が攻め込んで来たのです。
「本渡の奴等が武器を持って大勢で攻め込んできたぞー!」
「2本持ちは応戦準備、子供達は避難だぁぁ!」
鬼達は必死に抵抗しましたが数には勝てませんでした。一人、また一人と倒されていく中である2本持ちの鬼が言いました。
「ここはもうダメだ、小舟に乗せてこの子だけでも海に逃がそう」
海に浮かぶ1艘の小舟。
そこには邪気を払う実を沢山乗せて一人の赤ちゃんがいました。
『強く生きてくれ』
親の願いが込められた子を乗せたその小舟は
どんぶらこどんぶらこと流れていきました。
---ここから本編