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うちの子のマフラー

うちは3人家族で、一人息子は高校でバレーボールをしている体育会系。女の子にも人気な様だけどおしゃれには無頓着な子。スポーツが苦手で、裁縫が趣味の私とは似ても似つかない。


あの子は寒くなり始める頃から、毎年同じマフラーをしている。少しピンクがかった赤いマフラー。幼い頃に誕生日プレゼントでもらってからずっと大切にしている様だ。


ものを大切にするのは素晴らしいのだが、体育会系のあの子には、そのマフラーの色は女の子っぽい様な気もして、私は何度か別のを買ったら?と言ってみた。でもあの子はそのマフラーが大好きなようで、ずっとそのマフラーをし続けている。学校で何か言われているだろうに、そんなことも気にせず、自分の好きを貫けるあの子はやっぱり、私とは似ても似つかない。


だが、ある時私はふと疑問に思った。幼い頃にもらったマフラーということは、マフラーも小さくて短いはず。なのに、高校生のあの子がそれを巻いていても、全然小さくなってない。


突然、これまでにあの子がマフラーを巻いている様々な場面が私の頭をよぎった。あの子は毎年ぐんぐん大きくなっていた。そして、マフラーもまた、あの子の成長に合わせたかの様に大きくなっている気がした。


私は、急いでアルバムを見返した。小学校の卒業式、中学生の頃のスキー合宿、高校受験、どの写真を見ても、あの子が大きくなるにつれて、マフラーもまた大きくなっていた。


背筋に寒気が走った私は、あの子にまた、マフラー違うのを買ったらと言ってみた。それでもやはりあの子はそのマフラーをするのをやめなかった。


ある時私は聞いてみた。誰かマフラーを編み足してくれている子がいるの?


夫も裁縫をしないし、そういう友達や恋人がいるとの聞いたこと無いので、私は恐る恐る聞いた。


何を言っているの?お母さんが毎年やってくれているじゃん。


あの子の答えに、私は凍りついた。


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