十五話 嵐は過ぎ去り
クライマックスです。
ゼディアスは村正でレッドを斬ろうとしてレッドが剣で防いだとき刀が折れた。
「ああ。せっかくの村正が。」そうゼディアスは嘆いている。次に小刀を出したが剣を防ぐ事に精一杯なので一回捨てて鬼桜を出してきた。自慢はさっきしたので切れ味は抜群ですよと言っただけであった。鬼桜は最近の刀匠が作った物なのだが切れ味が何人斬っても衰えないとゼディアスは思い妖刀だとだと思ったのだ。
「此はボクの最初のコレクションです。」ゼディアスはそう言った。ゼディアスの言う通り既に妖刀と化している。鬼桜はさっきの村正より新しいので折れにくい。何か良い方法はないかとレッドは思った。近くにオブジェが立っていた。レッドは閃きマサヒトに小声で言い始めた。
「オブジェの所に行くぞ。今、誰もいない。」レッドの言葉にマサヒトははっと気が付いた。刀を折る作戦にしたのかと思った。二人は走ってオブジェの前に来た。魔法で周りを見えなくしていた。ゼディアスは何も知らずにオブジェの前に来た。
「逃げても無駄ですよ。」そう言って刀を振り回したとき刀がオブジェに当たり鬼桜は無惨にも折れた。其処をレッドとマサヒトはゼディアスを捕まえレッド一人で本部に連れて行った。しばらくしてホロンドではゼディアスが弁護士を頼み彼の家の専属弁護士がやってきた。無論求刑は無罪である。やっかいなのが来たなとレッドは思ったが弁護士の鼻息が荒かった。しかし数日後弁護士は弁護を止めて求刑通りに呑むと言い出した。何があったんだとニュースでも報道された。レッドは証人として呼ばれ剣を狙われた事やもう少しで殺されるところまでいった事を証言した。ひとまず求刑は禁固120年だ。他のテロ行為もあったのでそれを含めてそれぐらいになった。このアメミスのドホロには死刑がないのでそうなった。モンスターバスターはバーチャルシュミレーターはプロキシフじゃないところに替えた。レッドはゼディアスの弁護士が止めた理由をもしかしてと思いビリヤードバーの所にフィリップを呼んだ。実はフィリップはフレイヤから連絡を受けてレッドの剣を狙っているのはゼディアス・クロークだと報告を受けていた。
「裏で手を回していたのは親父だな。」レッドはそう言った。
「そうだ。」フィリップはそう答えた。
「余計な事をしないでくれ。オレはオレの道を歩む。」レッドはそう言って去っていった。やれやれひとまず此で大丈夫かなとフィリップは思った。レッドは不機嫌だった。
「ゼディアスは刑が確定した。」レッドは真人にそう言った。随分早いねと真人は思った。法律とか裁判の事をよく知らない真人にとっても非常に早いと分かった。
「そう言えばレッドってお嬢様なのか。家庭教師まで付けて。」真人は今さらと思いつつもそう話した。
「そんなもんだ。」レッドはそう答えた。レッドの父さんって何をやっている人なんだろうとマサヒトと真人は思った。
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ゼディアスはスーツから監獄服になった。ゼディアスの祖父が面会に来た。
「なんて事をしてくれたんだ。よりによって××××××の娘×××の剣を盗ろうとしあまつさえ怪我をさせたなんて。」ゼディアスの祖父はレッドの本名を言っている。本名を聞いてゼディアスは真っ青になった。
「何でそんな子がモンスターバスターに。」ゼディアスはそう言った。藤子の家で真人とフレイヤとレッドがいる。そう言えばレッドの両親最後まで面会来なかったなとマサヒトはそう言った。
「そういえば来なかったな。」真人もそう言った。
「ちょっとした事情で来られなかったのですよ。忙しい方ですから。」フレイヤはレッドの両親を庇っている。無理もない客がレッドの両親だからなとマサヒトは思った。
「オレ自身も忙しいから会う暇がない。しかもアメミスじゃないから直ぐに会いに行ける訳じゃないんだよ。」レッドはそう言った。えっ。レッドってアメミス人じゃなかったのと真人とマサヒトは思った。
「アメミスの他にも色々国があるんだ。お前のいる世界にも色々な国があるだろう。」レッドはそう説明している。あるけど、まさかアメミスで働いているから、てっきりアメミス人だと思っていたんだと真人は答えた。
「まあ。無理もないか。両親の話をしたのは今回が初めてだもの。」レッドはそう話している。そういえばそうだったと真人はそう言った。そう言えばレッドの事何一つ知らない。知っているのはモンスターバスターで鳳凰族・・・。といっても部族の名前でどんな部族かは知らない。メシアであるオレとマサヒトを警護しているとしか知らないなと真人は思った。
「兎も角オレの剣も無事だ。真人とマサヒト協力有り難う。」レッドは感謝をした。
「未だオレは怒っているぞ。勝手に飛んでいってゼディアスと戦おうとしていたことを。」マサヒトはそう言った。
「ごめん。」そう言ってレッドはフレイヤがいなくなった後、真人の頬にキスをした。
「此で許して。」レッドはそう言うとマサヒトと真人は真っ赤になった。フレイヤは帰ってきて真人のテンションが高くなっている事に気付いた。私が居ない間に何があったんでしょうかと彼女は思っている。岡田秀信は刀狩りの犯人が捕まった事を知らずぴたりと犯行が止まったので何で止めたのだろうと思っている。匿名の通報で他の刀がサクラビルに仕舞われているとフレンチは答えた。刀は警察にわたった。刀は警察にわたった後被害者宅に返す事になっている。中にはあんな事があったから刀は要らないと答える人もいた。無理もないかとフレンチは思った。コレクターは何人もおりその家族達が死んだ姿を目撃したからだ。刀が欲しいかと言えば欲しくないという声もあっても当然である。当のゼディアスは120年禁固刑なので、もう外に出られる事もないだろう。ゼディアスは何がいけなかったのだろうとふと思った。その頃ゼディアスの祖父は孫がテロリストだから辞任しろという批判を受けていた。彼一代で築き上げた財産など無くしてしまうだろう。又無一文かと彼は思った。裸一貫で起業しプロキシフを立ち上げた。最初の頃は上手くいかなかったが、だんだん規模が大きくなり世界シェア一位の会社まで育て上げた。まさか孫のせいで会社から追われる事になるとはと彼は肩を落とした。彼の会社の株も大暴落しプロキシフショックという事件も引き起こした。経済的にも大打撃をアメミスで起きたが真人とマサヒトは知らない。いつもの暮らしに戻り真人はホッとした。しばらく自分が狙われてしまったとか、周りの人が狙われるのはごめんだと思った。今回はレッドの剣だったがヘタをしたらタイガーブレイドも危なかった。そんな事を真人は考えた。ゼディアスは今頃牢の中かとマサヒトは思った。レッドは手紙を持ってきた。ゼディアスからで彼女の宿舎に届けられていた。
『拝啓レッド・ナイト様へ。いかがお過ごしでしょうか。ボクは牢の中で何故こうなったのか後悔しております。』手紙にはそう書かれていた。真人は反省したんだと思っている。もう一枚ある事に気付きそっちも読んだ。
『少年へ。君が持っていたのはタイガーブレイドだったんじゃないかと今でも思っています。本当に知らないなら鑑定したらどうですか。』そう書かれていたので余計なお世話だとマサヒトは頭にきたらしい。何故怒ると真人は思った。
兎も角、ゼディアスからの手紙を読み終えた。
未だ真人は知らなかったが水面下で次の事件が始まった事など知らない。レッドも他のモンスターバスターも知らなかった。
「此処が日本か。建物が凄く密集しているな。」男はそう言った。未だ彼らは東京におり今から山神県に行くところだった。山神県まで新幹線が通っており東京から2時間ぐらいで付く距離である。それに乗って彼らは山神県に向かっている。
「でも何故山神県からなのですか。」少年の姿をした魔物は男に話しかけた。
「まずは地方からの方が良いだろう。今後の参考になるだろう。」男はそう言って雑誌の方を目を通した。ホロンド語でこう書かれている。『メシアがいるかも知れない町』
「もしかしてメシアがいるって噂があるから先に手を打つんですか。」小声で少年は言った。
「まっ。噂だから尾ひれは付いているだろうが注意はした方が良いだろう。」男はそう言った。真人とマサヒトは同時にクシャミをした。
「何だ。お前もクシャミをしたのか。」マサヒトは真人に言った。
「そうだよ。」真人は答えた。
「二人とも風邪には注意しろよ。」レッドはそう言った。シアターで風邪を引いている人はいないので風邪は引かないのにとマサヒトは、なんだか嫌な予感がしていた。だが未だ何も起きていないので言わなかった。それを後で後悔する事になるとはその時は分からなかった。2時間後男達は夜闇駅に到着した。普通の人間と一緒に駅の中を歩いている。
「ひとまず何処か宿を探さないとな。」男はそう言った。もう夜である。
「宿代払えるのですか僕たちこの日本来たばっかりで、あんまり大金は払えませんよ。」魔物は少年の姿で、そうホロンド語で話している。周りは日本人で男達の事はどこかの外国の人とだけ思っている。
「何処か人の気配がないところを探そう。飯代ぐらいは持っているからな。」男はそう言って魔物達と共にどこかへ行ってしまった。未だ誰も男達の存在に気付いてなかった。その頃フレンチは突然魔物が引き起こした事件が、ぴたりと止まったので違和感を感じていた。変ね。魔物の気配は残っているのに急におとなしくなるなんてと思っている。まるで嵐の前の静けさのように魔物達の動きがなかった。何を企んでいるのかしらとフレンチも警戒していたが彼女ももう少し現場を見ていたらと後悔する事になるとは思っていなかった。フレイヤは気配が読めないので何時も通り食事を作っていた。
「やけに魔物が静かだ。」レッドはそう言った。
「たまにはそういう日があっても良いじゃないですか。」フレイヤはそう言った。この二人も後悔する事になるとは思っていなかった。
マサヒトは真人に今日はもう寝て良いぞと言い始めた。
「えっ。何で魔物が暴れているんじゃあ。」真人はそう言うとその魔物が暴れていないだとマサヒトは答えた。珍しい事もあるんだなと真人は思った。
「この市内の魔物がひっそりとしているんだ。今までにはない光景だ。」マサヒトはそう言った。何処かで暴れているものだがそれがないのだ。
「もしかしてそれってマサヒトは初めてなの。」真人にとって見れば魔物のいない日常が日常だったので変には思わなかった。もっとおかしいと思えば良かったと真人も後に後悔するが、その時はしなかった。他のモンスターバスターも妙に思っていたが仕事が増えなくて良かった程度しか思わなかった。真人は魔物が暴れていないので、いつもより早く寝始めた。夢の中でボンヤリとした光が見えた。少女のようだが姿がはっきりと見えない。
「真人。これから大変な事が起こるよ。」少女は何故か名前を知っていたが真人は寝ぼけているせいか不思議に思わない。聞き慣れた声のようだが霧が掛かったように思い出せない。
「大変な事って。」真人は少女に問いかけた。
「こうやって話している間にも進んでいるよ。早く止めないと。あっ。まずい。あいつにばれるから此でおしまい。」そう言って不思議な光に包まれた少女はどことなく消えた。待ってと真人が言ったときにはもう目が覚めた。未だ真夜中の2時だった。夢かと思い寝直した。後で夢の忠告をもっと、ちゃんと真剣に考えれば良かったと彼は思うのだが未だその時はただの夢にしか考えていなかった。妙に覚えていたのは心の何処かで何か引っかかっていたのだろう。何故魔物は動きを止めたのかという疑問を彼自身思っていたことを。圭一は、ルナの夢を見ている。ルナは未だ生きている頃の姿だった。
「圭一君。気を付けて。」今まで実際ルナはそんな事を言わなかったのだがこの日の夢に限って、そう言った。妙に圭一も引っかかったが夢とわかり涙がこぼれている。ルナの指輪が、うっすらと光っている。コンコン白虎は魔物が出ない日は夜もぐっすり寝ている。この二匹も後で後悔するが今はそんな事も関係なく寝ている。二匹は同時に目を覚ました。嫌な夢でも見たのか若干震えていた。もう夢の内容は忘れたが怖い夢を見ていたという事しか覚えていない。水を飲んで気分を落ち着かせた。
「変だコンね。普通の怖い夢ならあんまり震えないのに。」コンコンはそう言った。
「オレもだ。同じ内容の夢でも見ていたのかな。」白虎はそう言った。二匹は水を飲むと布団に入り寝てしまった。夜も更けていき、何事もなかったかのように朝を迎えた。何時もと変らない朝だ。藤子は真人と共に登校をした。真人は朝練で忙しいので藤子は警護のために付いてきている友子は真人を学校に送り出しホッと一息を付いた。今日は曇っているので軒下に干している。雨降らなきゃ良いけどと彼女は思った。
美加は一人で登校していると魔物を連れて駅を歩いていたあの男が何かを置いている。
「粗大ゴミは今日じゃないですよ。」美加は男にそう言うと途中で外国人だと気が付いた。外国人だ。話し通じるかなと美加は思ったが通じたらしい。
「アイムソーリー。」男は、この世界ではポピュラーな英語を使った。そう謝った後、一回それを撤去したのだが美加がいなくなった後、又、設置して居なくなった。美加はさっきの外国人の事を忘れて藤子の所へ来た。藤子は今日はゼディアスみたいに何かを狙う輩が居ないので教室で圭一と話をしている。話している内容は昨日のテレビの話だった。
「へえ。あのドラマ面白いのか。」圭一はそう言っている。
「うん。誰が亡くなるか全然予想が付かない。」藤子はそう言っている。サスペンスドラマの話をしているのかと美加は思った。
「美加ちゃん。おはよう。」藤子は美加に気が付きそう話しかけた。
「おはよう。ふーちゃん。」美加はそう言った。しばらくして雨が降り出した。予報では明日の夜に降ると言っていたので傘忘れちゃったなと美加は思っている。雅人もおり雨降り出しちゃったなと言っている。
「降ってきちゃったの。傘忘れちゃった。」藤子はそう言った。オレも忘れちゃったよと真人は頭が濡れている。終わった直後に降り出したらしい。かなりの土砂降りである。こりゃ午後の部活も濡れてやるか中止だなと真人は思っている。テレビでは豪雨注意報がなっている。フレイヤは家の中で洗濯物を干す事にしたが隣の真人の家では部屋干しはせず乾燥機に入れた。友子は節約のため太陽が出てきているときは天然乾燥で雨は部屋干しか乾燥機に入れている。フレンチは車の中でワイパーを見ている。今人間が犯したと思われる殺人事件のホシを追っていた。今は張り込み中である。其処に秀信がやってきた。
「令状が取れた。行くぞ。」秀信はそう言ってホシの居る部屋に来た。
「警察だ。」秀信はそう言うと犯人は飛び出して逃げようとするがフレンチが一本背負いをして捕まえた。
「良くやった蝶野。」そう秀信が言った。蝶野フレンチがフレンチの警察の時の名前だ。そのまま男を連行した。大分濡れたと彼女は思いながら取り調べをしている。この時モンスターバスター達や真人とマサヒト達は気が付かなかった。まさか水面下で巨大な事件がもう始まっている事に。魔物は歓喜をし始めた。雨の日は魔物は昼や朝でも出られるのだ。
「今日は絶好の日じゃないか。皆祝おう。この時を。」緑色のカッパを着て男はそう言い始めた。魔物達はいつもより盛り上がっていた。藤子は魔物達が公園に集まっていた事に気が付いたがこの時、もう次のカウントダウンに入っていた事を未だ誰も知る由もなく始まった。
レッドの気持ちは分からくもない。ちゃんとした終わり方の方が良いよね。