十三話 刀を求めて
この話はぜディアス・クローク視点も入ってます。
ゼディアス・クロークはバーチャルシュミレータープロキシフの会長の孫である。そんな彼が鬼桜と会ったのは12歳の頃でおじいちゃんに買って貰った最初の日本刀だった。何となく普通の刀ではないと感づいた。この鬼桜は妖刀であった。その魅力に惹かれて始めて人を斬ったのは1年後の13歳の時だった。以来たまに殺す程度使った。日本刀の弱点である三人斬ると切れ味が悪くなるのだがそれが全くと言っていいほど無かった。そんな中ずっとじいちゃんの会社の弁護士が殺人をもみ消した。日本刀が欲しいと思うようになったのは時間が掛からなかった。テロ組織から刀や剣はやるから仕事をしないかと誘われた。それでホロンドの剣や刀はそろったが異世界の日本にはいろいろな刀がある事やフェニックスソードの使い手がいると聞かされた。仕事が休みの時ちょくちょく日本に来ていた。スマホが鳴ったのでゼディアスは目を覚ました。
「何だ。もう朝か。」そう彼は呟いた。スマホを目覚ましモードにしていたのだ。パジャマからスーツに着替えた。魔物は朝はあまり動けないので一人で刀の情報収集をしている。持っている人は限られているので情報を集めるのには時間は掛からなかった。
「ふーん。この夜闇市では刀所有者が30人もいるのか。」ゼディアスはそう呟いた。刀所有者の免許を発行しているところにハッキングをして情報を得ていた。このハッキング方法はホロンドで出来た方法なので、ばれることなく不正侵入が出来た。
「さて。何処から行こうかな。比較的ホテルから近い所から行こうかな。」ゼディアスはそう言って夜になるのを待った。その間、日本の観光をしていた。スーツを着ているのでビジネスマンとしてみられた。そんなとき夜闇市の博物館に来た。そこで真人と出会った。その時はただの日本人に見えた。ゼディアスは不思議な力を所有しておらず魔法ショップの物で代用していた。不思議な力が無くても魔物と契約が出来るのだ。なので、マサヒトの存在に気付く事はなかった。真人と別れた後彼はコーヒーショップにいた。コーヒーを頼み飲み始めた。そこで竹刀を持っている小学生の男の子と出会った。あれは剣道に使う竹刀か。コレクションでも持っているが比較的手に入りやすいから高級品しか持ってないんだよなとゼディアスは思った。彼は剣道を習っていた時期があり戦いのベースは剣道である。腕前は良かった方である。男の子は外国人のお兄さんだと言っているのがゼディアスには聞こえた。
「少年。剣道は好きか。」ゼディアスはそう言った。うんと少年は答えた。少年の名は草壁良太(10歳)である。ゴールデンウィーク中は彼の指導に当たった。夕方になると魔物を連れてゼディアスは刀を集めるために人を殺したり刀を奪ったりしていた。そんな中目的のフェニックスソォードを見つけた。赤眼赤髪の美少女レッドが持っていたのだ。最初会った時にモンスターバスターだと気が付いた。剣を奪う事だけを考えた。ゼディアス・クロークという名を言えば捜査はできないだろうと思っていた。
良太は学校が始まり剣道を教える時間も限られたがゼディアスの協力で良太は強くなっていた。
「今度県大会に出られる様になったんだ。」良太は嬉しそうに話している。
「そうですか。良かったですね。」ゼディアスは自分もこんな頃があったなと思っている。良太にはホロンドの事や自分が刀や剣を探して人を殺している事はいっさい言わなかった。
「お兄ちゃんはいつまで日本にいるの。」良太は尋ねると目的の物を取ったらこの場所を離れるつもりだとゼディアスは答えた。
「もう少し日本に滞在する事になるでしょうか。私が居なくても剣道の腕は磨いてくださいね。」ゼディアスはそう言った。
「分かった。」良太はそう答えた。次の日良太は約束の時間になっても来なかった。おかしいな。確かこの時間のはずだったのにと思って良太の家の近くまで来てみると良太の両親が夜逃げをしたという。ゼディアスはやるせない気持ちになった。良太は県内にいたが夜闇から遠い場所にいた。
「ゼディアス兄ちゃんにお礼言いたかったな。」そう良太は呟いた。彼は何も知らないままゼディアスと別れた。そしていつか完全にゼディアスのことを忘れてしまう事も分からなかった。ゼディアスは自分らしくないと思いつつも刀とフェニックスソォードを求めて中学校で気配を魔法道具でチェックしていた。其処にレッドが現れてマサヒトも現れた。レッドとマサヒトを斬り勝ったと油断していたところに真人が金眼金髪の姿になり戦い始めた。しばらくしてモンスターバスターの増員が来ると思い逃げ出した。逃げた後ホテルに戻った。恐らく今頃モンスターバスター本部にある、モンスターバスター中央病院に運ばれているだろうと思っていた。襲撃しに病院に行ったがグリーンに止められて逃げてしまった。
「まさかグリーンが病院勤務だったとは思いませんでしたね。」ゼディアスはそう言った。病院なのであっさり行けるかと思っていた少し手口を変えるかと彼は思った。真人は学校に行くとき圭一が言い始めた。
「どうした。眼鏡の真人鞄にピンクのファーが付いているぞ。」圭一の言葉にいつの間にと真人は思った。もしかして藤子の仕業かと真人は感づいた。素早いスピードでピンクのファーを付けられるのは彼女しかいない。急いで彼はピンクのファーを取り外した。後で藤子は止血作業の際、下着を見なかったか言い始めた。
「見てないよ。」真人は正直に答えた。
「聞いたとき凄く恥ずかしかったんだぞ。」藤子はそう言っていなくなった。もしかしてプライド高かったのかなと真人は思った。
「年下に助けられたの。恥ずかしかったんだろうか。」マサヒトはそう言った。もしかしてファーを付けられたくらい恥ずかしかったのだろうかなと真人は思った。マサヒトがレッドを年上と言っているがレッドの歳は不明である。勝手に年上と言っているだけである。
「勝手に年上にしちゃ駄目だよ。もしかしたら同じ歳かも知れないのに。」真人はそう言った。そうだよなとマサヒトはそう言った。
その間にも、ゼディアスの刀狩りは続いていた。夜闇市だけには、あきたらず山神県の中で行った。フレンチはレッドから自分の剣が狙われていると聞いていたので、それとは別に刀が欲しいのだと思った。ゼディアスはレンタカーで県内を回っていた。無論偽名を使って居るのでなかなか足が着かなかった。警察も躍起になって捜査をしているが、なかなかゼディアスを捕まえる事が出来なかった。魔物は車の中で寝ている。怪しまないためブランドスーツを着てない。
「今日は大量でしたね。」ゼディアスはそう言って車に乗り込んだ。魔物は起きて入っていった。刀は魔物の力で刀をかくしている。車を走らせ夜闇に戻った。車を返した後ホテルに向かった。後はフェニックスソォードを盗るだけだがレッドの住所を知らないのでどうすれば良いか考えて中学校に通っていた事を思いだし、その中学に行けばもしかしたら盗れるチャンスがあるかも知れないと思ったが今はもう帰っている時間だろうと思った。今日は金曜日なのでもし部活が体育会系じゃなかったら居ないと思い、月曜日に行こうと思った。その頃レッドはフレイヤとコンコンそして白虎と共に食事をしていた。其処に真人がやってきた。
「お裾分けに来たぞ。」真人は藤子の姿になったレッドに言い始めた。毎日の事なのでフレイヤもその件については口を出さなかった。此が文化なのだと理解をしたようだ。おまけに真人の母とも子の作った料理が美味しかったので文句も言えない。
「いつも有り難うございますと母君に伝えてください。」フレイヤは真人にそう言い始めた。真人は伝えておくよと言って自分の家に戻っていった。レッドとフレイヤは食事を再開した。真人はお風呂に入った後でTVを見ていた。自分の部屋なので、いつでも寝る準備をしていた。最近マサヒトが靴を取りに行くのが面倒だと言っていたので靴を部屋の中に入れている。何時でも行く事が出来るようにパジャマは一回目をさましたら着るというスタイルにしている。何かマサヒトの存在に気が付いてからライフスタイルが変ったよなと真人自身思っている。その時魔物の気配がしたので屋根に上り代ジャンプした後、玄関に降りた。レッドもやって来た。
「へぇ。こんな事も出来るようになったのか。」レッドは真人に言い始めた。
「早く行こう。」真人はそう言ってレッドと共に現場へ向かった。魔物はゼディアスの配下ではなく単独で動いていたが刀を見ている。
「凄い。侍になった気分だ。」魔物はそう言った。此処は博物館で魔物は警備員を二人殺している。レッドとマサヒトがやってきた。
「ゼディアスの手下か。」レッドはそう言うとゼディアスって誰と魔物はそう言ったので無関係かとマサヒトとレッドは思いつつ魔物と戦い始めた。一匹相手なのでレッドとマサヒトが剣と大剣を構え始めた。レッドが先に攻撃をする事になった。
魔物は長い爪を出してレッドの所に来た。レッドは爪を全て斬った。
「未だ戦おうとするか。投降したら命は助けてやる。」レッドはそう言い始めた。魔物は刀を持って逃げ出した。レッドとマサヒトは追い始めた。博物館の外で魔物は人の姿になり刀を抜いた。
「これぞ日本の侍なり。」魔物はそう言った。何でなりと真人はシアターで様子を見ながらそう思った。
「まずいな。あれ貴重な資料なのに。」マサヒトはそう言い始めた。
「大丈夫だ。この間来た時刀の紹介で其処にはレプリカって書かれていたぞ。」そう言って彼女は魔物の腹にパンチをして気絶させた。その時魔物は、畜生。レプリカかよと思いながら気絶した。
「じゃあ。本部に送ってくる。」そう言ってレッドはそう言って魔物を連れていなくなった。マサヒトはもう真人が出ても平気だと思い入れ替った。レッドが戻ってきたので一緒に帰った。もうレッドの姿は藤子になっている。
「やっぱりあの魔物はゼディアスと無関係だった。時代劇のマニアらしい。」藤子はそう話している。やっぱりそういう魔物もいるのだと何処か冷めた目を真人はしている。レプリカの刀は元の場所に置いてきた。ゼディアスはそれに気付き盗らなかったのだ。レプリカなら要りませんねとその時の彼はそう思っていたのだ。その後警察がやってきた。殺された警備員を見て殺人事件だと思った。監視カメラが科捜研に回された。魔物とレッド等が居るときだけ映像が乱れて見れない状況だった。
「故障したのかな。でもその後はちゃんと映っているな。」映像を分析している科捜研の男の人は言い始めた。フレンチは既に犯人の魔物が捕まっていると聞いたので正直複雑な心境で捜査をしていた。連続刀狩り事件の犯人と今回の犯人は別人と判断された。土日になっても秀信の仕事が忙しく休みを取れなかった。
「今回も休み無し。」真人は父親を見送るときそういった。
「ごめんな。いつか埋め合わせするからな。」秀信はそう言って行ってきますと仕事に行ってしまった。いつも埋め合わせをすると言って守られた事はあんまり無いと真人は思っている。
「お前が羨ましいよ。」マサヒトは真人に聞こえないほどの声でそう言った。
「えっ。マサヒトなんか言った。」真人はそう言うが何でもないと答えた。この日は部活で練習をしていた。藤子も近くにおり練習を見ているというよりも周りを警戒している。剣が狙われても本分のフィルダへの警戒は忘れていなかった。その近くには黒翼が居る。彼はバスケ部を見ている。彼の警護する雅人はバスケ部にいる。
「こちら01。異常なし。」01とは藤子の事である。02異常なしと黒翼は無線で答えた。この日は特に異常はなく真人は部活を終えたので藤子は終了だと言って家に帰っていった。
真人は家に帰ってきた。友子はお帰りと話している。帰ってきたときにはもうメガネは付いている食事が終わりお風呂も入り終わりテレビを見たとき今日も魔物の気配がしていた。最近魔物が増えたなとマサヒトは思いながら真人に言い始めた。
「おい。真人。魔物の気配がした。行くぞ。」マサヒトはそういうと真人もしょうがないなと思いながら靴を履いた。屋根から玄関の方に降りた先に藤子が居た。
「行くぞ。今日はマネキン工場だ。」藤子はそう答えた。マネキン工場はルナがいた場所で何もない限り真人は近付きたくない場所だ。久しぶりのマネキン工場は真っ暗だ。ライトを付けての戦いになりそうだ。其処には大量の刀が置いてある。どうやらゼディアスが倉庫代わりにしているようだ。魔物はレッドとマサヒトが居る事に気付き戦闘体勢に入った。
「フェニックスソードの所有者だな。」魔物はそう言い始めた。
「さて。どうかな。」レッドはそういって剣を出して構えた。マサヒトも大剣を出して構えている。
「やっぱり所有者じゃないか。」魔物はそう言ってレッドに襲いかかった。レッドは避けて一打パンチをして魔物を気絶させた。魔物はモンスターバスター本部に連れて行かれた。フレンチに盗まれた刀が見つかったとレッドは話をしている。フレンチは匿名の電話がきたと他の警察関係者にそう言った。ゼディアスはいつものようにマネキン工場に行くとパトカーが止っておりコレクションした刀を何個か持っている姿を見てこの場所はもう使えないなと思った。
「此処ならばれないと思ったのに。」ゼディアスはそう言い始めた。彼は刀の管理場所にサクラビルという使用されていないビルの中に入れた。警察が持っていった分は諦めて違う刀を探している。警察は犯人の指紋はないか調べたがゼディアスは出来るだけ汚さないように手袋をしていた。そのため出る事はなかった。
「ノーズが帰ってきません。」ゼディアスはホテルで魔物達にそう言った。
「恐らくモンスターバスターに捕まったんでしょう。」ゼディアスは今度からサクラビルを使うことにしたことも伝えた。レッドは藤子の姿をしており真人と共に家路につこうとしている。家の近くに誰もいないのを確認すると真人はジャンプで2階の所まできて自分の家に帰っていった。その間下にいる秀信と友子は真人が家の外にいる事には気が付いていない。靴をしまい窓を閉めたとき母の友子が来た。
「真人。そろそろ寝なさい。」友子はそう言うと1階に戻っていった。今日もセーフだったと真人は思った。何時留守に母親から寝なさいと言われるのか心配だった。今日は間に合ったから良かったが言い訳なんて言えば良いんだろうと真人は思った。月曜日になり今日は朝練なので藤子と共にいつもより早く登校をしている。藤子は屋上におり気配を探っているが今のところ近くにゼディアスの気配はしなかった。その頃のゼディアスは未だホテルのベッドの中だった。
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「うーん。」今ゼディアスは起きた。スーツを着て朝食を取りにレストランへ人間の姿をした魔物と一緒に食事を取っている。魔物はゼディアスに話しかけている。
「ゼディアス様。今日はどちらに。」魔物である男はゼディアスに質問をしている。ゼディアスは考えた。フェニックスソードを奪えるのは放課後になってからだ。モンスターバスターが何人学校にいるか分からないからなと考え始めた。少なくても二人(実際は一人)が居たからなと彼は思っている。
「そうだな。近くの中学の放課後になるまであの博物館のレプリカの刀でも見ているか。」ゼディアスの言葉に魔物は戸惑った。何故中学の放課後に行くんだろうと思っていた。ゼディアスレプリカの刀の姿も気に入っていたが博物館にあってこそのレプリカなので実際使用するとき人を斬れないので見ているだけでも彼は幸せだったりする。
「レプリカだと分かっているが良い色つやだ。」魔物は外で待機している。ゼディアスはこの間この刀が盗まれそうになったと聞きレプリカだと見抜けなかったその魔物の目を疑った。魔物じゃなく人だったと彼は思っていた。
草壁君の場合これでよかったと個人的には思う。