横難横死と笑えない雑魚。 その③
とはいえ、相手は子供だ。
僕のコピーだかなんだかしらないけど、一体どういう力を……。
なんて、僕が様子見していると。
「お兄様、こないの?」
「まあね。最近学習したんだ。むやみやたらに攻撃してもろくな結果にならないって」
「そう。じゃああたしがさきにこうげきしてあげる。お兄様がよくつかってるのは、このスキルなんだよ?」
「!?」
風切り音。
僕は咄嗟に身をかがめた。
頭の上を何かが通り過ぎていく。
僕を掠めて行ったそれは、平原の草木を切り裂いた。
「おいおい、冗談だろ?」
これの攻撃って……。
「お兄様が【切断】なんてなまえでよんでるスキルなんだよ」
「すごいね。だけど外しちゃったみたいだけど?」
僕が言うと、ツヴァイちゃんは声を上げて笑った。
「お兄様、あたしはお兄様のコピーなんだよ」
「それ、さっきも聞いたよ」
「いみがわかっていないようだからおしえてあげるんだよ。あたしがあなたのコピーってことは、あなたにできることはあたしにもできるってことなんだよ」
「つまり?」
「こういうことなんだよ」
気がついた時には、僕の背中には鋭い痛みが走っていた。
あの見えない刃が僕を背後から切り裂いたわけだ。
「っ……まさか、【追尾】!?」
「それだけじゃないんだよ」
とにかく、ここに棒立ちなのはまずい。
とりあえず身を隠して……。
「!」
次の瞬間、僕の腹部に大穴が空いた。
僕の口から血が飛び出る。
この攻撃は――知っている。
「【貫通】……!」
「さすがのお兄様も、ようやくわかってきたみたいなんだよ」
薄れゆく意識のままに、僕はその場に倒れこんだ。
そんな僕をツヴァイちゃんが見下ろす。
その周囲には、あの鉛の球がいくつも浮かんでいた。
そしてあの空気の刃らしきものが多数。
「悪い夢みたいだな」
僕の言葉に、ツヴァイちゃんはあの冷たい笑みで返す。
「お兄様、これはげんじつなんだよ……【殺戮劇場】」
ツヴァイちゃんがそう言ったのと同時に、彼女の周りに滞空していた空気の刃と鉛の球が一斉に僕めがけて襲来した。
これは――駄目だ。
勝てない。
予想通り、僕は散り散りになって死んだ。
そして生き返った。
「お兄様、こないの?」
「…………」
冗談だろ?
死なない体に、複数のスキル。
それじゃまるで僕と同じじゃないか。
「どうしたんだよ、お兄様。こないならこっちからいくんだよ?」
「来ないでっていったら、来ないでいてくれる?」
「それはだめなんだよ。あたしはけっこう粘着質だからね。ねらったえものはのがさないんだよ」
「……へえ」




