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横難横死と笑えない雑魚。 その②


 また知らない人の名前だ。


「そのラフィってのは誰? 君?」


 僕がライフルを抱えた少女に言うと、彼女は首をふるふると振って、


「わ、わたしはアイです」

「ああ……」


 別に名前を聞きたかったわけじゃないんだ……。

 ヤバいな。ここ最近色々な人に会いすぎて、そろそろ名前を覚えきれない。

 まあ、今までも覚えてたわけじゃないし、僕にとってはミアの名前以外は覚える価値もないのだけれど。


 閑話休題。


「えーと、ちょっと待って、整理させて。もう一回訊くけど、造られたってどういうこと?」

「もじどおりつくられたんだよ。銅四十グラム、亜鉛ニ十五グラム、ニッケル十五グラム……」

「それから、照れ隠し五グラムに悪意九十七キロか?」

「いったいなんのはなしをしてるんだよ、おにいさま?」

「……ちょっとしたジョークだよ」


 はあ、と幼女はため息をつく。


「つたわらないジョークなんて、うわきしてる夫みたいなものだよ」

「どういう意味?」

「いったままかえってこない」

「ははーん、なるほど……」


 60点だな。

 僕が言えた立場じゃないけど。


「で、君は誰なんだ?」

「あたしのなまえはツヴァイ。お兄様のいもうとにして完全コピーの上位互換なんだよ」

「上位互換? おいおい、僕は人間の底辺だぜ。わざわざ言わなくても、この世の生きとし生けるものすべてが僕の上位互換だ」

「お兄様……」

「何?」

「もっとじしんをもって、お兄様。お兄様みたいにせーかくがゆがんでて人にきらわれやすくて、つい人をころしちゃうような変な人は、この世界にお兄様くらいしかいないんだよ」

「もっと別の部分で自信を持たせて欲しかった……!」


 っていうか、それってただの罵倒じゃん。

 良いところ何もないじゃん……。


「いや、僕の話はもういいんだ。ツヴァイちゃん、いったい僕に何の用? もしかして研究所まで案内してくれるの?」

「そうするのもやぶさかではないんだよ。でもね、お兄様。そのまえにあたしはやらなきゃいけないことがあるんだよ」

「やらなきゃならないこと?」

「そう。コピーであるあたしとオリジナルであるお兄様、ほんとうにつよいのはどっちかってことをためさなきゃならないんだよ」

「そんなの君に決まってるじゃん。さっきも言った通り僕は人間の底辺にして最弱の存在だからね。弱さ比べなら負ける気がしないけど、強さ比べなら勝てる気がしない。戦う意味なんて皆無だね」

「……お兄様、ミア・ミザルをひとりきりにしてるのをわすれてない?」


 ツヴァイちゃんが笑う。

 とても子供の笑顔とは思えない、冷たい笑みだ。


「どういうことかな?」

「あたしのようきゅうをことわった場合、あたしはミア・ミザルをころしにいくんだよ」


 チッ。

 やれやれ。


「じゃあ、やるしかないじゃないか」






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