横難横死と笑えない雑魚。 その①
……なんだこいつ。
なんだこいつ!?
その影は、よく見ると、ライフルを抱えた少女よりも一回り小さかった。
短い手足に丸みを帯びた体。
少女というか、幼女。
白衣を着た幼女だ。
それが、僕の【切断】を受けて血まみれで立っていた。
「な、あ、え!?」
いくら僕でも、僕よりはるかに小さい子供を殺して気分がスッとするほど人殺しが大好きってわけじゃない。
殺す気がない人を殺す理由なんてない。
僕は理由ありきの殺人者だ。無差別快楽殺人者じゃない。
あれ?
本当にそうだっけ?
うーん。
まあいいや、深く考えるのはやめよう。今はそういうことにしておこう。
要するに。
今の状況は。
あれ、僕また誰か殺っちゃいましたか?
って感じの……。
「うっ……ううう……いたい! いたいんだよ!」
幼女が叫ぶ。
「ご、ごめん。あの、悪気はなかったんです! ああそうだ、すぐに治癒魔法が使える人を呼んでくるから安静にしてて、君!」
僕は幼女にそう言って、それから交信魔法でミアを呼び出そうとした。
しかし。
「いたいけど……そのひつようはないんだよ」
「え?」
再び幼女の方を見た時、僕は目を疑った。
切り裂かれたはずの幼女の体が、再生している。
まるで、千切れた人形を縫い直すように。
ばらばらになった紙切れを繋ぎなおすように。
もともと傷ついてなんかいなかったように。
治っていく。
そして、ついに傷は完全に治りきってしまった。
……嘘だろ? 治癒魔法を使ったようにも見えなかった。
ということは、自然治癒したってことなのか? この短時間で?
「ほらね、ぜんぜんだいじょーぶ。あたしはだいじょーぶなんだよ、お兄様」
「お兄様? あいにくだけど僕は妹萌えってタイプでも幼女萌えってタイプでもないんだ。もしそういうのを狙ってるとしたら別の誰かにやってくれ」
できることなら胸の大きいお姉さんに膝枕して頭をなでてもらいたい。
死ぬまで甘やかされたい。
「ちがうんだよ、お兄様。あたしはあなたのいもうとなんだよ」
「えっ、うちの両親……僕以外にも作ってたのか。子供を」
うちの両親、いつの間に?
……ちょっと想像しちゃった。なんかイヤだな。
「それもちがうんだよ。あたしはあなたのデータをもとにつくられたんだよ」
「僕のデータ? 造られたってどういうこと?」
「そう、つくられた……あたしたち【人体進化研究所】のリーダー、ラフィさまに」




