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糾弾のアララ その③

※※※


 目の前には、地面に伏せている少女がいた。

 緑色を基調にした妙な柄の服を着ているから、ぱっと見草木と見分けがつかない。

 彼女は両手で長い鉄の筒らしきもの(僕の記憶が正しければ、これがライフル銃だ。恐らくは狙撃に特化すべく改良されたものだろう。微妙に知ってるのと違う)を抱えていた。


「……あの」


 僕が声をかけると、少女は驚いたように僕の方を振り向いた。

ミアにかけてもらった擬態魔法(・・・・)の効果は、もう切れている。


 僕は少女と向き合った。


「あなた、【人体進化研究所(クーパ)】の人ですね?」

「……な、なんでここが? いや、どうやってここに?」


 年齢は僕とあまり変わらないくらいに見える。

 茶色の髪と、やけに黒目の大きな瞳。


「大変でしたよ。いや、僕はよく大げさな言い方をするけれど、今回ばかりは掛け値なし誇張なし冗談抜きで大変だった。軽く十回はあんたに殺されてる」

「こ、殺されているなら、どうして……」

「擬態魔法は、他人にかけた場合一分程度しか持たない。その一分であんたの所にたどり着くために、あんたの位置を特定しなきゃならなかった」


 そのためにミアが考えたのが、僕の体に当たった弾丸の角度から敵の位置を予測するって方法だった。

 より確実なデータを得るために僕は撃たれては死んで、また撃たれては死んだ。

 敵が魔法で弾丸の軌道を歪めている可能性や、その他のあらゆる不安要素が消えたのが、ちょうど僕が十回くらい死んだときだ。


 撃たれて死ぬために生き返るなんて、生命への冒涜だ。

 まったく。

 モラルを疑う。

 僕じゃなきゃとっくに死んでた。


 さて。

 僕は少女を見下ろした。


「あんたたちは僕らが今まで何人も殺してきてるってことを忘れてる。実験だかなんだか知らないけれど、僕はあんたを殺すのを躊躇わないよ」

「そ、そんなことは知ってる。だからこそ、君を使った実験がしたかったんだ」

「僕なら殺されても良いって言いたいのか?」

「ち、違う。君の経歴は異常だ。ほ、本来君に与えられたスキルは……」


 目を大きく開いて、怯えたように少女が言う。

 ……怯える?

 誰に?

 僕にか?


「怖がることはありません。人は誰だっていずれ死にます。あなたの場合、それがたまたま今だっただけですよ」


 殺す理由は単純でいい。

 御託は要らない。

 それが僕のモットーだったはずだろ?

 僕は、少女に見えない刃を放った。


 なのに。

 その瞬間。

 僕と少女の間へ滑り込んできた影に、僕の攻撃は防がれた。


 影は言う。


「このひを、このときを……あたしはまってたんだよ!」




第八章「地血篇」はこれにて完結です!


ここまでの内容はいかがでしたか?

ポイント評価など頂けると幸いです。


既にこの作品にブックマークや評価などして頂いている方! 心よりお礼申し上げます。

次章「継血編」もぜひお楽しみください!

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