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糾弾のアララ その②


 今は攻撃が止んでいる。

 が、下手に動けば撃ち抜かれるだろう。

 もしこれが向こうの言う実験(・・)の続きなら、狙いは僕だ。

 ……待てよ、だとすれば。


「あのさ、ミア。提案があるんだ」

「何?」

「僕の盾になってくれない?」

「盾?」

「そう。相手の狙いが僕なら、向こうはミアを攻撃することはない。だから、ミアさえ盾になってくれれば僕は死なずに研究所まで行くことができる」

「……分かったわ。えーくんを守れるなら、そうする」


 ミアが頷く。

 よし。

 たとえ卑怯者と言われても、生き残った奴が勝ちだ。

 それに敵の位置も分からないんじゃ、こっちから仕掛けようがない。

 今はこれが最善の策だろう。


「よし、それじゃミア、行くよ」

「ええ」


 僕はミアを立たせ、その背後に隠れるようにして立ち上がった。

 そしてそのままゆっくり進む。

 なかなかいい感じだ。

 マショウが言っていたことが本当なら、研究所はこっちの方向に……。


 ん?

 あれ?

 なんか変だぞ。


 ふと僕は、自分の顔を触ってみた。

 血だ。

 頬に傷がある。

 まさか、撃たれた?


 次の瞬間、僕は僕の顔を触っていた手を撃ち抜かれていた。


「っ!」

「えーくん!」


 ミアが僕を振り返る。

 そしてその背後から迫る、流線形の小さな鉛の塊を、僕は見た。

 このコース……僕の額に直撃だ。


 コンマ数秒後、頭部に重たい衝撃が走って、僕は死んだ。

 あんな精度で飛んでくる狙撃なんて、躱しようがない。


 再び僕が目覚めた時、僕はミアに傷を治してもらっているところだった。


「……えーくん、もしかして、さっき死んだ(・・・)の?」

「ご明察。相手の狙撃、精度が半端ないよ。ただ、ある程度タネはバレた。ライフル銃ってやつだ」

「あの、西側から伝わったっていう武器?」

「そう。火薬の力で金属の弾丸を飛ばして敵を殺すっていうアレだよ。ただ、魔法でいくらか強化されてるみたいだけど」


 そうじゃなきゃ右肩を吹っ飛ばされたりはしない。

 だけど、困った。

 このままじゃ勝てない。攻撃範囲が違いすぎる。


「せめて敵の位置が分かれば……」


 僕が呟くと、ミアは難しい表情を浮かべながら、


「えーくん、その武器はほとんど直線軌道で弾丸を飛ばすのよね?」

「多分ね」

「えーくんが殺されたときのことを詳しく教えて。もしかしたら、相手の位置を特定できるかもしれない」

「本当?」

「だけど……」

「だけど?」

「そのためには、えーくん。あなたにやってもらわなきゃならないことがあるの」

「何?」

「えーくん、私のために死んでくれるかしら」


 冗談でもなんでもなく、真顔でミアはそう言った。



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