表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/351

死なないカモの育て方 その⑧


「私を殺す方法――ご教授願いたい――ぜひ」


 マショウが動く。

 僕の方に突っ込んでくる。

 だけど、その足運びや体捌きには無駄がない。

 下手に反撃したら死ぬことは、もう経験済みだ。

 とにかく敵の攻撃範囲に入っちゃいけない。


「【殺戮劇場(サーカス)】!」


 僕は、【切断(キル・ユー)】と【貫通(メーク・ホール)】を乱射した。

 しかし、その間断ない攻撃さえもマショウはギリギリ最低限の動きだけで回避する。


 人間の反射神経じゃない。

 まあ、人間の反射神経じゃないんだけど。


 躱された見えない刃と鉛の球が地面をえぐる。

 【追尾(ストーカー)】も発動されているはずなんだけど、どうして避けられるんだろう?

 まさか、最初に食らったあの薬物の効果だろうか。


 だとしたら……厄介になって来た。


「最大の攻撃か――今のが」


 気づけば、目の前にマショウが迫っていた。

 マショウの光速ストレートを僕は、思い切り横に跳んで躱した――と思いきや、それも予測されていたようで、脇腹を蹴りつけられた。


 衝撃で地面を転がる。

 咳が出る。


「き、【切断(キル・ユー)】……!」

「当たらない――その技は」


 宣言通り、マショウは見えないはずの刃を軽々とかわす。


 だけど。

 だけど、それが予想通りだ。


「いや、当たって(・・・・)ますよ。僕の狙った通りの場所に」

「!?」


 マショウから逸れた【切断(キル・ユー)】が地面を切り裂く。

 そしてその瞬間、切られた地面の周囲が一斉に崩落し始めた。


 さっきから少しずつ傷つけていたのに加えて、【貫通(メーク・ホール)】で地面の中をスカスカにしておいたからだ。


「何――!?」


 マショウが空中に逃げる。

 これを、待ってた。


 僕は地面を蹴り、マショウを追撃した。

 一撃で決める。


「【粉砕(クラッシュ)】!」


 僕の拳が、ようやくマショウの顔面を捉えた。


「ッ――!」


 衝撃でマショウが地面に落ちる。

 それを追って、僕も着地した。


「……空中なら、踏ん張る足場がなければ、どんなに反射神経が良くても回避(・・)はできない。僕の読みが当たりましたね」

「なるほど――な」


 よろめきながらも、マショウは立ち上がった。

 隙がある。

 今ならとどめが刺せる。

 だけど、僕が動こうとした瞬間、


「私の実験は――終了だ、えーくん」

「え?」

「約束通り――強化薬(ティルフィング)の製法は教える。それから、この草原を超えたところにある――我々の研究所は。感謝する――協力に」

「何言ってるんです。まだまだこれからでしょう? 僕もあなたもまだ戦えるはずですよ」

「我々がやっているのは――実験だ。殺し合いじゃない」

「むっ」


 いや、こっちは一回殺されてるんですけど?


「えーくん、顔が怖いわ」


 振り返ると、いつの間にか戻ってきていたミアがいた。

 心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。


「いや……大丈夫。僕は快楽殺人者じゃないはずだからね。ここは見逃してあげますよ」


 僕が言うと、マショウは、


「――感謝する」 


 と、僕に頭を下げた。


 ……研究者とかいう人種は、よくわからないな。

 ひとまずここは気持ちを抑えておこう。

 でないと、ミアに嫌われる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ