表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/351

ほぞかみっ! その①


「もう一回聞くけど、どうやって敵の動きを止めたの?」

「交信魔法で相手に情報を送っただけよ。人間の脳じゃ処理でき(・・・・・・・・・・)ない(・・)ほどの、莫大な量の情報をね」

「へえ……」

「キャパシティを超えた脳は一時的に機能を止める。そうすれば動きは止まる……ギリギリの賭けだったけどね」

「欲を言えばとどめを刺しておきたかった。できるだけ残酷に」

「えーくん、それって……相手とやってることが同じじゃないかしら」


 ん?

 ああ。

 まあ。

 それはそうだけど。


「復讐って、そういうものだろ?」


 と、その時。

 遠くから馬の足音が聞こえてきた。

 だんだん近づいて来る。


「荷馬車みたいだけど……」

「こんな時間に?」

「確かに、妙だわ……何か人に知られたくない(・・・・・・・・・)ものでも運んでるのかしら」

「人に知られたくないもの?」


 ミアは一度目を伏せ、そしてもう一度僕を見上げた。


「例えば、一般に出回っていないお薬とか」

「……確かめてみる価値はあるかもね」



※※※



 ミアの予想は的中していた。

 荷馬車が運んでいたのは、強化薬(ティルフィング)だった。

 だけど、御者はただ雇われただけらしく、強化薬(ティルフィング)の出処までは知らなかった。

 どうやら、何段階にも場所を経由して運ばれているらしい。


「本当に知らないんですか?」

「知らねえもんは知らねえよ。配達の時間に遅れちまう。そろそろいいか?」


 僕の質問に、御者はぞんざいに答える。


 うーん。


「どうする、ミア。こうなったらしらみつぶしに配達元を当たってみる?」

「でも、王国を揺るがすような薬なのよ。手当たり次第にやって何とかなるものでもないわ」

「じゃあ、諦める?」

「…………」


 唇を尖らせるミア。

 とはいえ、これ以上御者を問い詰めてもあまり情報は手に入らないだろう。


「……あっ」

「どうしたの、えーくん」

「あの、メティスって地名、知りませんか?」

「メティス?」


 御者が自分の顎を触る。


「ああ……あの不気味な平原地帯だろ。化け物が出るって、人も寄り付かねえ。そこがどうかしたか?」

「それだけですか?」


 僕は彼に、僕の持っていた分の紙幣を握らせた。

 御者の顔つきが緩む。


「あそこはな、人が寄り付かねえだけに、この妙な薬の工場があるんじゃねえかって仲間内でも噂になってんだ。もし行くなら用心しなよ」

「はい。どうも。それでは」

「ああ、それじゃあな」


 御者は馬を走らせ、街の方へ去っていった。

 マネーイズパワー。

 時は金なり。

 金持ち喧嘩せず。


「ということで、ミア、次の目的地はメティスだ」

「……えーくん、いつの間にお金を?」

「君が寝てる間にちょっとね」


 ちょっと、何枚か、頂戴した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ