だから僕は、長生きができない。 その⑧
「えーくん? 間抜けな呼び名だな」
「人の名前をバカにするのは、人殺しと同じくらい良くないと思いますよ。僕の個人的な意見ですが」
「殺人鬼の方がカッコいいと思うんだが、どうかな?」
「あなたは犯罪者って呼ばれて嬉しいんですか?」
「少なくとも、えーくんと呼ばれるよりはマシだな」
「話が通じませんね。ええと、念のためお願いしてみますけど、このまま僕を見逃してくれたりしませんよね?」
「無理な相談だな。殺人鬼はこの街に二人も要らない……俺という殺人鬼以外にはな」
なんで僕の周りには、話し合いで平和にモノゴトを解決しようって人が寄ってこないんだ!
類は友を呼ぶってやつか?
だとしたら、僕の周りには平和と秩序を愛する真面目で誠実な人間ばかりが集まってくるはずだけど……。
いや、さすがにこれは冗談だけど……。
「とにかく、僕はあなたと殺し合う理由がないし、あなたを殺さなきゃならない理由もない。それにそんな暇もないんですよ。ラギリルって男を探さなきゃ」
「……ラギリルと言ったな?」
ハリシの反応が変わる。
「知ってるんですか?」
「つい最近、奴から直々に頼みごとをされたばかりだからな」
そこまで言って、ハリシは何かに気付いたような顔をした後、薄く笑った。
「殺人鬼、お前が俺を殺す理由ができたかもしれないな」
「どういう意味です?」
「奴の頼み事は、ある夫婦から情報を引き出せというものでな。俺は俺の持てる技術すべてを費やして、二人から情報を引き出そうとした……仕事には真摯な態度で臨むのが俺の信条だからな」
「……それで?」
「だが、奴らは強情で口を割ろうとはしなかったな。息子は人殺しなんかしないってな。だから俺もついうっかり善意無過失でほんの興味本位でちょっとやりすぎちゃって、相手を殺してしまったというわけだな」
「…………」
「そういえば殺人鬼、お前は俺が不本意ながら殺してしまったあの二人にどことなく似ているな。これはどうしてだろうな?」
前言撤回。
「それは、まあ、多分……あなたが殺したのは、僕の両親だったからじゃないですか?」
こいつは僕が殺す。
殺して〇して×べて△えて□してやる。
「……殺人鬼、いい目だな。これで俺を殺したくなったかな?」
このっ………――危ない危ない、これじゃ相手のペースだ。
落ち着け、僕。深呼吸深呼吸。
それから口を開いて、一言。
「うるせえ、死ね」
お読み頂きありがとうございます。
「へえ、案外おもろいやん」
「結局落ち着けてないじゃん!」
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次回の更新は12月15日21:00分です。お見逃しなく!




