ザコの旅 ~a deadful world~ その④
「違うって?」
「僕はただ、自分の手でこの人たちに復讐できなかったのが悔しかっただけだ。別にこの人たちが死んだことを悲しんでるわけじゃない」
「えーくん……」
「だから、僕は、僕から復讐の機会を奪った人間に復讐することにするよ。僕にはそれをする権利があるはずだ」
「ふーん……」
ミアは分かったような分からないような返事をしながら僕の隣に歩いてきて、死体のあった跡を見下ろした。
そこにはもう、ただの血肉の塊が散乱しているだけだった。
「それで、えーくん。その復讐相手をどうやって見つけるわけ?」
「そんなことはこれから考えるよ。最悪、目についた人を一人ずつ殺していけばいい」
「それ、本当に最悪ね」
「……何が言いたいの、ミア?」
「えーくんはここにあった死体が、本当に瓦礫の下敷きになって死んだと思ってるの?」
「ミアは、誰かがわざわざ死体を持ってきて瓦礫の下に置いたとでも言いたいの? まあ、世の中にはいろんな趣味の人がいるからね。一概にありえないとは言えないけど」
「違うわ。きちんと調べたわけじゃないからはっきりとは分からないけれど、この家が壊される前に二人が殺されていたかもしれない。はっきりとは分からないけど」
へえ。
「どうしてそう思うの?」
「死体の傷つき方の違いね。あの傷は、瓦礫によってできた傷じゃなかったように見えたわ。はっきりとは分からないけど……誰かが調べもせずに処理しちゃったせいで」
「悪いけど、僕は死体を眺めて興奮するような人間じゃないんだ。それで? 僕の両親の死因について、ミア博士の見解は?」
「調べてないからはっきりとは分からないけど……」
「しつこいよ、ミア」
「あら、ごめんなさい。……私の考えでは、尋問された挙句の死だと思うわ」
「ま、僕らお尋ね者だしね。親の一人や二人、拷問にかけられても仕方ないと言えば仕方ないか。残念なのは僕がその場にいなかったことだけど、まあ、これも仕方ないかな」
「えーくん」
「何?」
「声が震えてる」
「気づかないふりくらい、してよ」
「……ごめんなさい」
「ま、いいけど。それで、僕は誰に復讐すればいいの?」
「私たちが原因でえーくんのご両親が狙われたとするなら、やったのは間違いなく王国の関係者だわ。そして、王国の中枢機関の人間がわざわざこんなところに来たというのは考えにくい。だとしたら……」
「この街にいる王国関係の人間――つまり、ギルドの人間の仕業ってことか」
「そういうこと。あくまでも予測だけどね。だって、誰かさんが死体を……」
「ミア」
「なに、えーくん」
「それ以上言うと、パンツを脱がす」
「じゃあ、この辺りで口を閉じておくわ」




