ハイツクバルD×D その②
こいつについていって、僕は無事で済むのか?
「……どうしたの、来ないのかい?」
「いや……ついては行かない。だけど、解毒剤は貰う」
「へえ」
白髪ホモが笑う。
作りものみたいな笑顔だ。
いや、実際、作った笑顔なんだろう。
「君が今ここで僕を殺し、解毒剤を奪う。そう言いたいんだね?」
「うん、まあ、そんな感じ」
「やってみなよ。もう、仕掛けは終わってるんだろう?」
「!」
やばい、バレてる。
僕が既に、あの見えない刃と銀色の球で敵を包囲していたのが、バレてる。
完全に死角を突いたつもりだったのに。
でもまあ、やらない後悔よりやる後悔っていうし、とりあえずやってみるか。
一発くらいは当たるだろう。
それが致命傷になればなお良し。
僕は、白髪ホモの周辺に滞空させていた刃と鉛玉の群れを、敵めがけて発射した。
「【抹消】」
白髪が呟く。
そして、その一瞬後には、僕の放ったはずの攻撃全てが消失していた。
「……【切断】に【貫通】。ボクの部下のスキルだ」
無傷でその場にに立つ白髪。
「えーっと、あれ? おかしいな。僕、攻撃したはずだけど」
「【切断】は圧縮された空気の刃を生成するスキル、【貫通】はすべてを貫通する球を生成するスキル……だね。どちらにしても、当たる前に消してしまえば問題ない」
えー、ちょっと待って、冗談じゃないんだけど。
あれで傷一つつかないんじゃ、ますます絶望的じゃないか。
やってもやらなくても後悔するなら、やらない方が疲れないだけマシってことか。
っていうか、あの透明人間のスキルの名前、【貫通】っていうんだな。初めて知った。名前を考える手間が省けた。
「さて、えーくん、僕について来てくれる気になってもらえたかな?」
「断ったら?」
「この場で君を帰してあげるよ。毒で苦しむガールフレンドのところにね」
「……それってさ、すごく不公平じゃない? そっちから仕掛けてきたくせに」
「不公平も何も、これまで君は何人も殺してきたわけだろ? そうじゃなくても、この魔導王国じゃ、今この瞬間でさえ何人も死んでるんだ。今更死人が一人増えたくらいじゃ、どうってことないだろう」
「……………」
やりづらい。
帰りたい。
完全に会話のペースを握られてる。
「じゃあ、そうだね。ボクが君に多大な興味を持っているように、ボクも君に興味を持ってもらわなきゃいけないな。えーと、えーくん。ボクから一つ質問だ」
「なんですか」
「君、今まで何回死んだ?」




