シンダラリセット その⑤
「……!」
僕ではない何者かの気配が動揺したのを、僕は感じ取った。
そこめがけて、僕は見えない刃を放った。
多分命中したんだろう、何もない空間に血のような赤い飛沫が舞った。
だけど、その姿は見えない。
「……他人に気付かれないような、そういう魔法をかけてるんだろ? 声も出せないならとどめをさすよ」
気配が動く。
その跡に血の雫が点々と落ちていく。
「逃げても無駄だよ。【追尾】!」
【切断】の刃を、【追尾】で自動追尾させる。
案の定、刃が敵に命中した感覚があった。
血だまりができる。敵の動きは止まったらしい。
「かなり推論も入ってるけど、一応説明させてもらうね」
僕は敵の方へ一歩足を踏み出した。
「まず、あなたの能力は、あの銀色の球を操る能力だ。あれで敵の体を貫いたりしたんだろ? で、多分、事前にあの球をいくつか設置しておいたんだ。僕を迎撃するトラップとして」
ロットもあの見えない刃を、かなり自由に操っていた。
スキルの発動に条件をつけることも可能ってことなんだろう。
「だけど、あの銀の球を直撃させるには、あなたが僕の位置を把握しておく必要がある。そのためには、僕が見える位置にいなきゃいけない。で、僕が廊下の突き当りにいた時、あの銀の球の命中精度は低かった。ということは、あなたがこの廊下の入り口付近にいるって証明だろ?」
「…………」
「きっと、あなたと僕は似てるんだ。僕だって見つからずに相手を殺せるならそうしてる。だけど、いや、だから、似てるからこそ、僕にはあなたの手口が分かったんだ。まあ、多少のハッタリはあったけど」
「!」
「無駄だよ」
何か重たいものが壁に跳ね返る音がした。
一回、そして二回。
あの球だ。
だけど僕は、僕の背後に銀の球が迫っていることを感じ取っていた。
だから、あえて、その銀の球の方へ飛び込んだ。
球は、僕の体を跳ね返り、天井を貫いた。
「……この曲がりくねった廊下で、直進運動しかしない球が軌道を変えるには、壁や天井に当てて反射させるしかない。その回数は、三回。さっきの球はまだ二回しか反射してなかったから、僕に当たってももう一度跳ね返る……」
「……………」
「ごめん、先を急ぐんだ。【死線】」
鎌は、敵のいるであろう場所を引き裂いた。
一瞬の間があって、血が飛び散った。
第四章「溢血編」はこれにて完結です!
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次章「閃血編」もぜひご覧ください!




