シンダラリセット その③
考えられる可能性は二つ。
敵が何か巧妙な手を使ってミアの探知魔法から逃れているか、もしくはミアの頭がおかしくなったか。
どちらにしても面倒だ。
さて、どうしよう。
このドアを開けると敵がいる、かもしれない。
少なくとも確実なのは、僕は穴を開けられて死ぬってことだ。
同じような穴がドアにも開いたことを考えると、やっぱりドアの向こうから攻撃されているはずなんだよな。
槍みたいなもので貫くような攻撃で、だ。
だけど、ドアの向こうには誰もいなかった。
じゃあ、どこに?
ミアには悪いけど、やっぱり廊下に敵がいないとは考えられない。
ということは、やっぱり敵は、廊下の奥の僕には見えない位置に潜んでいるって考えるのが妥当だ。
だったら。
見えない敵の攻撃を躱しながら、廊下の奥まで突っ込むしかない。
「……【切断】」
僕は目の前のドアを、見えない刃で切り裂いた。
ドアが崩れ落ちると同時に廊下の中へ走りこむ。
すると、廊下の奥から、甲高い金属音が聞こえた。
何だろう?
一定の間隔で鳴る金属音は、三回目、僕のすぐ目の前で鳴った。
「!?」
いやな予感がして咄嗟に身をひねる。
その瞬間、僕の右腕は弾け飛んでいた。
「くっ……!」
回避してなきゃ、また胸に穴が開いてた。
続いて、再び金属音が迫ってくる。
一回目、廊下の奥から。
二回目、少し近づいて。
三回目、僕のすぐ近くで。
そして、僕は、僕の目の前に迫る銀色の球を見た。
それはちょうど握りこぶしくらいの大きさで、ものすごいスピードを出しながら僕の心臓めがけて飛び込んできた。
こいつが、攻撃の正体か!
僕が身をのけぞらせると、球は僕の頬を掠めながら、僕のすぐ後ろの壁に穴を開け、そして消えた。
いったいどういうスキルなんだ?
幸いにもまだ僕は生きている。
今の命は、それを確かめる分に使おう。
あの金属音は聞こえてこない。行くなら今だ。
僕は廊下の突き当りを目指し、スタートを切った。
「ミア、廊下はどこまで続いてる?」
『今のえーくんの速さなら、すぐに突き当りだわ。……攻撃を受けているの?』
「ミアは心配しなくていい」
そして近づいて来るのはあの金属音!
まただ。
だけど、僕の方が早い。
僕が廊下の突き当りに到着する方が……!
「!」
おかしい。
妙だ。
今、音は僕の背後から聞こえなかったか?
そう思ったときには、僕は背中からあの玉に貫かれていた。
「っ……!」
だけど、まだやれる。
もうすぐ廊下を突きあたる。
どんな奴が僕を狙って――。
廊下の突き当りを見て、僕は思わず足を止めていた。
そこにあったのは木製のドアが一つ。
そして、想定外というべきか、案の定というべきか、何者の姿もなかった。




