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シヌマギワ先生 その①


「それよりも、ボクなんかに構っていていいのかい?」

「……先にぶつかってきたのはそっちのはずだけど?」

「なるほどね、確かにまだ帳消し(・・・)にはなってないか。それじゃあボクから二点アドバイスをさせてもらうよ」

「アドバイス?」

「そう」


 シロは頷いて、人差し指と中指を天井に向けた。


「一つ目は、解毒剤はボクが持って(・・・・・・・・・・)いる(・・)こと。二つ目は、ボクらが標的としているのは、君だけじゃないってことさ」


 標的が僕だけじゃない?

 おかしいな、僕は万年ぼっちの一匹狼、誰ともつるまない単独行動が信条のはずだけど……。


 あ、いや、違う。

 忘れてたわけじゃないけど、思い出すのに時間がかかった。


「ミアか!」

「ご名答」


 気持ち悪いくらい爽やかに、シロは笑った。


「……僕としては今すぐにでもミアの所に戻りたいところだけど、お前はそれを許してくれないよね?」

「いや、ボクがここで君を見逃して、それですべては帳消し(・・・)さ。【異能力者処理統括機関(ファーバ)】で待っているよ」


 シロは何事もなかったように立ち上がり、そして店を出て行った。

 僕はその自然な立ち振る舞いに、一瞬呆然としてしまった。

 だけど、ミアのことを思い出し、僕はすぐに店を飛び出した。



※※※



「ミア!」


 ミアのアパートのドアを開けた僕の目に飛び込んできたのは、床に倒れたまま動かないミアと、その傍らに立つ緑の拘束衣を着た人間だった。


 拘束衣が僕の方を振り向く。

 藍色の長髪をした女だ。


「遅かったな、えーくん☆。残念だがミア・ミザルは私のスキル【毒物(ズューサー・トート)】の前に敗れたぞ☆。フフ、実にあっけなかった。抵抗する間も与えずに処理した私の能力もさすがというべきだが。リーダーに言われていなければとどめを刺していたものを☆」

「えーと……」

「おっと、焦るなよえーくん☆。これはゲームなんだ。私たち【異能力者処理統括機関(ファーバ)】と君のな。この、汚いジャギア族の娘はまだ生きている。ギリギリ限界首の皮一枚繋がっているという状態でな。もしこの娘を救いたければ私たちを倒すしかないというわけだよ。どうかな。わくわくするだろ」

「あの……」

「これを考えたのはリーダーだ☆。あの人も性格が悪い。それはそれとして、最初の相手は私ということになるのかな? フフ、えーくん。私の【毒物(ズューサー・トート)】の威力を存分に、」

「ちょっとうるさいんで、死んでてもらっていいですか?」


 僕は、拘束衣の女を殺した。

 瞬殺だった。




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