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僕にできるのは即死だけかよ その①

※※※


「グルツさん、あなたが逃げてきた経路を覚えているかしら?」

「ふむ……わしも必死でおじゃったからなあ。よくは覚えておらんが……おそらくこの道をこう進んでじゃなあ……」


 ミアとグルツおじさんの前には、僕らが暮らす首都シュルルツの地図が広げられていた。

 結局僕らは、グルツおじさんを部屋に上げてしまっていた。

 そしてミアはグルツおじさんにつきっきりで、ファーなんとかって組織の所在地を聞き出している。

 つきっきりで。


 …………。

 べっ、別に嫉妬なんてしてないんだからねっ!


「だとしたら、貴方が捕らえられていたのはこの辺りかしら」

「おお、そうじゃ。逃げだしたとき、確かにこの辺りを通ったことを覚えているでおじゃるよ」

「なるほど、分かったわ。えーくん」

「何?」


 僕は先ほどまで寝転がっていたベッドから体を起こし、ミアたちの方へ寄った。


「ここが【異能力者処理統括機関(ファーバ)】の位置らしいわ」


 ミアが、地図の中に大きな赤丸を書きながら僕に言う。


「じゃあ、僕はそこに行って目についたものを全部ぶっ壊してくればいいんだね?」

「簡潔に言えば、そういうこと」

「ちょ、ちょっと待つでおじゃる」


 口を挟んできたのはグルツおじさんだ。


「何、おじさん」

「君たちは何をするつもりなのでおじゃるか?」

「この国ごとムカつく奴らを一掃するんだよ。だよね、ミア?」

「そうね」


 ミアが頷く。

 反対に、グルツおじさんは目を見開いた。


「ほ、本気でおじゃるか?」

「本気も何も、今の僕はそのためだけに生きてる」


 そしてそのために、何度も死んでる。


「そうなのでおじゃるか……。君たちは恩人でおじゃるからな、命を粗末にするようなことをしては欲しくないでおじゃる。もし金に困って仕方なくそういうことをやっているのなら、わしが手を貸してやれるのでおじゃるが?」

「グルツおじさん、僕が困ってるのは金にじゃない。たまたま自分の運がよかったんだだけなんだってことに気づかないで、僕みたいな運の無い人間を見下しながらのうのうと生きてる人たちに困ってるんだよ」


 グルツおじさんは腕組みをして、唸った。


「そうなると、わしにしてやれることは少ないでおじゃるな。まあ、健闘を祈るでおじゃるよ」

「うん。で、おじさんはどうするつもり?」

「そうでおじゃるな。身支度を整えて、遠くの地方にでも行くでおじゃるよ」



※※※



 宣言通り、グルツおじさんは数日僕らと過ごした後、大きなバッグを片手にどこかへ旅立って行った。



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